石野純也の「スマホとお金」
Galaxy Z Fold8とGalaxy ZFold8 Ultraの違いとは? 26万円台で価格据え置きの理由と実機スペック比較
2026年7月30日 00:00
フォルダブルスマホをリードしてきたサムスン電子から、8世代目となる「Galaxy Z」シリーズが8月7日に登場します。シリーズ内のモデルは「Galaxy Z Fold8 Ultra」「Galaxy Z Fold8」「Galaxy Z Flip8」の3機種。フォルダブルスマホとしては、大手4キャリアが初めて全モデルを一斉に取り扱うほか、サムスン電子自身もオープンマーケット版(SIMフリー版)を展開します。
“無印”とも呼ばれるいわゆる標準モデルのGalaxy Z Fold8は、オープンマーケットモデルの256GB版が26万9880円。昨年登場した「Galaxy Z Fold7」の26万5750円から、大きく変わっていないようにも見えます。
メモリーやストレージなどの部材が高騰する中、 “無印同士”であれば価格が据え置き になっています。その理由は、ラインナップや位置づけの変更にあります。実機とともに、その答えを見ていきましょう。
従来モデルはUltraに昇格、横長ディスプレイは迫力十分
既報のように、Galaxy Z Fold8はこれまでのGalaxy Z Foldとはコンセプトが異なるフォルダブルモデル。閉じると16:10の縦長、開くと3:4の横長ディスプレイになり、写真などのコンテンツが大画面にピッタリフィットします。これまでのGalaxy Z Foldは、開くと正方形に近いディスプレイになるため、4:3の写真は上下に黒いデッドスペースが生じていました。 実機で写真を表示してみると、没入感が非常に高い ことが分かります。
一方で、標準モデルの役割が大きく変わったこともあり、サムスン電子は既存モデルの延長線上にある端末を、Galaxy Z Fold8 UltraとしてUltraモデルに“昇格”させています。こちらは、「Galaxy Z Fold7」の直接的な後継機。筐体サイズは開いた時に0.1mm薄くなっていますが、ディスプレイサイズなどの大枠は変わっていません。これまでのGalaxy Z Foldのコンセプトを受け継いだのはこちらと言えます。
その観点で価格を見比べてみると、Galaxy Z Fold8 Ultraは256GB版のオープンマーケットモデルが29万6780円となっており、Galaxy Z Fold7の26万5750円から 約3万円の値上げ になっています。チップセットなどのベースのスペックが上がったのはもちろんですが、メモリーやストレージの価格上昇が影響したものとみられます。
実際、 米国での価格も約2000ドルから約2100ドルへと100ドルほど上がっています 。Galaxy Z Fold8は約1900ドルなので、標準モデル同士という意味だと値下げにはなっていますが、日本では円安ドル高を反映したものとみられます。 もっとも、Galaxy Z Fold8は、1ドルあたり約129円 に設定されており、実勢のレートと比べてかなり割安。拠点が韓国ということもありそうですが、頑張った価格設定であることは間違いありません。
標準モデルの位置づけを変え、主役に躍り出たGalaxy Z Fold8ですが、コンテンツの表示や処理能力の高さという点では、これまでのモデルに負けず劣らずの性能を持っています。先に述べたように、開くと4:3になるディスプレイは7.6インチと大型で、8インチのGalaxy Z Fold8 Ultraよりは小さいものの、迫力があります。見開きで表示した電子書籍の文字も、しっかり読むことができます。
Ultraより安くても性能は十分、処理能力やバッテリーも強化
また、チップセットには上位モデルのGalaxy Z Fold8 Ultraと同じ、クアルコム製の「Snapdragon 8 Gen 5 for Galaxy」を搭載しています。残念ながら、試用機ではベンチマークなどのアプリはインストールできなかったものの、レスポンスはサクサク。かつ、この世代からAI性能も一段と強化されており、先回りするAIの「Now Nudge」などを利用することができます。
Galaxy Z Fold8やFold8 Ultraでは、Now Nudgeのサジェストと同時に、ディスプレイを2分割することが可能。メッセージアプリとそこでやり取りされた日時を確認するためにカレンダーアプリを開き、そのまま返事をするといった使い方ができます。同じNow Nudgeでも、「Galaxy S26」シリーズはアプリを行き来する必要がありました。この点は、ディスプレイの広いGalaxy Z Fold8の分かりやすいメリットです。
バッテリーパックを2つに分けて薄型のボディに詰め込まなければならず、フォルダブルスマホの弱点とも言われていたバッテリーも 4800mAhに容量をアップ しています。これは、先代となるGalaxy Z Fold7の4400mAhより1割程度の積み増しになっており、使っていると、確かにGalaxy Z Fold7より長持ちする印象があります。サムスン電子によると、バッテリー容量を増量できた背景には、シリコンカーボンを採用したことがあるといいます。
これまでGalaxyに搭載されていたイン、アウト両方のカメラで同時に録画するデュアル録画も進化。Galaxy Z Fold8の形状に合わせて、動画を2分割することが可能になりました。ほかにも、Galaxy S26シリーズで取り入れられた水平ロックに対応するなど、標準モデルでありながら、機能面の多くはUltraモデルと共通していて、使い勝手も悪くありません。
デュアル録画で左右分割して撮影した動画
形状は異なりますが、厚みや重さに関しても先代のGalaxy Z Fold7やGalaxy Z Fold8 Ultraに肉薄しています。開いたときの厚みは、わずか4.5mm。4.2mmだったGalaxy Z Fold7や、それをさらに1mm削減したGalaxy Z Fold8 Ultraと比べると厚めなものの、同時期に発売されるモトローラの「razr fold」や、昨年登場したグーグルの「Pixel 10 Pro Fold」よりも薄く仕上げられています。
また、本体の面積が削減されていることもあり、 重さは201gと最軽量 になっており、この点はサムスン電子も強力にアピールしています。Galaxy Z Fold7の直接的な後継機ではないものの、薄くて軽いというGalaxy Z Foldシリーズの特徴は、Galaxy Z Fold8にもしっかり受け継がれています。
カメラやフレックスモードなしなど、コストカットした部分も
一方で、標準モデルとしてUltraモデルと差別化を図るためか、一部機能にはコストダウンの跡も見え隠れします。分かりやすいのは、カメラの数でしょう。Galaxy Z Fold8 Ultraは、Galaxy Z Fold7までと同様、超広角、広角、望遠のトリプルカメラを搭載し、超広角カメラは5000万画素にアップデートされています。
対するGalaxy Z Fold8は、超広角と広角の2眼構成。超広角カメラは5000万画素で、Galaxy Z Fold8と並んでいる一方、広角カメラはUltraモデルの2億画素ではなく、5000万画素のセンサーが搭載されています。画素が低いことで、ピクセルビニングをした際のピクセルピッチが下がり、光を取り込める量が下がります。カメラについては、Ultraモデルと大きな差があると言えるでしょう。
もっとも、明るい場所で風景を撮影するようなシチュエーションでは、大きな差が出ないのも事実。また、チップセットにSnapdragon 8 Gen 5 for Galaxyを採用し、画像処理を担うISP(Image Signal Processor)が進化したためか、メインの広角カメラを使った望遠撮影の画質も向上しています。
Galaxy Z Fold8の2倍ズームは、5000万画素の中央部分を切り出す仕組みのため、基本的な画質の劣化は少なくなります。ここに2倍のデジタルズームを掛け合わせた4倍ズームの写真は以下のとおり。拡大しても、デジタルズーム特有のモヤっとした雰囲気がなく、シャープに撮影されています。最大の10倍ズームも、メインディスプレイに表示するなら十分なクオリティです。
チップセットの力で画質を向上させ、望遠カメラを搭載していないデメリットをある程度まで解消してきたと言えるでしょう。もちろん、望遠カメラを搭載した機種と比べると、画質のシャープさは劣りますが、中途半端な望遠カメラは不要という向きにはいいカメラ構成かもしれません。
ヒンジやヒンジを利用した半開きの状態で使うフレックスモードがないのも、コストダウンを図った部分かもしれません。重量バランスのせいかもしれませんが、90度以上に曲げるとそのまま倒れて開いた状態になってしまうため、半開きのフレックスモードに向いていない端末と言えます。それも踏まえてか、ソフトウェア側もフレックスモードには非対応です。
価格が据え置きに近くなっているのは、こうしたコスト削減が功を奏した可能性があります。
特にカメラはメインカメラの差分と望遠カメラがない点で、コスト差が大きいところと言えます。とは言え、持ち運びやすく、広い画面でコンテンツを見やすい点ではいい端末です。Galaxy Z Fold8 Ultraより劣る部分はあるものの、価格や横長のディスプレイなどはそれを補う魅力と言えるかもしれません。












