レビュー

iOS 8 ファーストインプレッション

iOS 8 ファーストインプレッション

アプリに新たな可能性が与えられたiOS 8

 今年も新たなiPhoneが発売される直前に、既存のiPhoneに対し、iOSの最新バージョンの配信が開始された。2013年のiOS 7では大幅なデザイン変更があり、ひと目見ただけで「変わった!」とわかるものだった。

 一方の今年のiOS 8は、見た目だけでは「iOS 7」とあまり変わらず、使ってみても新鮮みに乏しいように思える。しかしアップルは、「これまでで最も大きなiOSのリリースです」と謳っている。果たして何が「iOS 8」で変化したのか、今回は、iPhone 5sにインストールし、ファーストインプレッションとしてレビューをお届けする。

「iPhone 6」と「iOS 8」

まずはアップデートのインストール

 「iOS 8」は、iPhone 4S以降、iPad 2以降~、iPod touchの第5世代以降といった各種iOS機器で利用できる。無料でアップデートできるが、基本的には、いったんバージョンアップしてしまうと、元のバージョンに戻す(バージョンダウン)ことはできない。

iOS端末単体でのアップデート画面

 iOS 7に比べると、2010年夏発売のiPhone 4が対象外となった。iPhone 4はシングルコア、その後登場したiPhone 4Sはデュアルコアなので、そのあたりがサポートの境界になったのかもしれない。

 iOSの場合、Androidに比べると長い間にわたって、継続的にOSアップデートが提供されるが、いったんOSアップデートの提供が終わると、よほど重要なセキュリティ問題以外ではアップデートは提供されない。2010年夏に登場したiPhone 4の場合、キャリアの割引も終わっているケースも少なくないだろう。買い換えを強く推奨したいタイミングでもある。

 iOS 8へのアップデートは、パソコンとiTunesを使っても行えるが、Wi-Fi環境があれば、端末単体でもアップデートできる。ダウンロード中とアップデートファイルの準備中はほかの機能を利用できるが、インストールが開始されると、通話も含めて、各種機能は使えなくなる。なお、アップデートの準備が終了した後、手動で操作しないとインストールは開始されないので、寝ている間にアップデートしたいときは注意が必要だ。

 端末単体でのアップデート時にダウンロードするファイルは、筆者のiPhone 5sの場合で1.1GB、iPad mini Retinaディスプレイモデルで1.3GBとなっていた。また、iPhone 5sは1時間半ほどでダウンロード→インストールまで進めることができたものの、iPad mini Retinaディスプレイモデルの方は、7時間経ってもインストールが完了しなかった。全員に当てはまる話ではないだろうが、時間に余裕がないときには、アップデート作業は避けた方が良さそう。

iCloud Driveのアップデート画面

 端末単体のアップデートでは、各種データは削除されないが、インストール時にはiPad mini Retinaディスプレイモデルで6.9GB以上の空き容量が必要だった。空き容量が足りないときは、一時的にアプリや写真などを削除し、アップデート後に戻そう。また、iOS 7で利用できていたアプリが、iOS 8へのバージョンアップ後、不具合が発生する可能性は否定できない。仕事などで使えなくなるとどうしても困るアプリがあれば、アップデート前に互換情報をチェックしておこう。

 Apple IDの2段階認証を使っているときは、再インストール後、認証コードが必要になるが、こちらはアップデートしている端末自体に認証コードを送信すると、自動入力されるようになっていた。

 インストール後、iCloudのストレージ機能を「iCloud Drive」にアップデートするかどうか案内される。アップデートすると、iCloud Drive非対応デバイスからストレージが使えなくなる。とくにMacはiCloud Drive対応の「Mac OS X Yosemite」がまだリリースされていない状況なので注意したい。

システムを拡張するアプリが作れるように

 iOS 8では新しい機能が一般のアプリ開発者に解放され、これまでにない機能を持ったアプリが作れるようになっている。iOSでは、これまでもアプリに組み込める新機能(新API)が追加されてきたが、iOS 8では過去のiOSのアップデートとは比べものにならないほどの新機能が開放された。とくにシステムを拡張し、別のアプリと連携できるようなアプリが開発できるようになったことが、非常に大きな変化となっている。

共有オプション(中断)とカスタムアクション(下段)。Evernoteと1Passwordが加わっている

 まず「共有オプション」と「カスタムアクション」をサードパーティ製アプリが使えるようになった。これらの機能は、Webページや写真、そのほかの各種コンテンツを表示しているとき、共有アイコンをタップすると下からニョキっと現われる画面で、コンテンツの共有に使うアプリやブックマーク追加アイコンが並んでいる。

 この画面自体は、iOS 7から存在していたが、ここから利用できるのは、iOS自体の機能に限られていた。しかしiOS 8では、共有オプションとカスタムアクションに対応したアプリがインストールされていると、それぞれの機能をこの画面から利用できるようなる。

 こうした機能で、iOS 8公開直後に利用できたのは、たとえば「Evernote」や「Pinterest」の共有、1Passwordのカスタムアクションといったもの。コミュニケーションアプリの「LINE」もiOS 8対応版として更新されていたものの、共有オプションに対応していない。今後の対応アプリの拡充に期待したいところだ。

待望のサードパーティー製キーボードがiOS 8で実現

mazecでの文字入力

 iOS 8では、文字入力に使うキーボードをサードパーティが作ることが可能になった。これまでiOSの文字入力は、アップル純正のキーボードしか選べなかったので、とくに日本のユーザーにとっては大きな進化だろう。

 早くもApp Storeでは手書き認識エンジンの「mazec」やスマホ向け日本語入力システム「Simeji」などが公開されている。あとは日本語入力システムの老舗、ジャストシステムが「iOS 8向けATOK」の開発を発表しており、まもなく登場する見込みだ。

 サードパーティ製キーボードは、Androidやパソコンでは当たり前の機能ではある。しかし、このようなアプリ(機能)がサードパーティに開放されるのは、iOSの歴史上、画期的なことだ。

 さて、iOSのキーボードアプリは特別に厳しい枠内でしか動作できないようだ。たとえば、標準ではネットワークアクセスできない、つまり、アプリではあるものの通信できない形で、ネットワークアクセスが必要なときはユーザーに確認を取るようになっている。たとえばクラウド上の辞書データを使う、変換履歴を統計的にまとめて学習させて変換精度の向上に活かす、といったことができない。ただ、キーボードアプリが通信するということは、入力したデータがアプリ開発者側のサーバーに送信される可能性があるということ。これは、iOS 8でも長文ながら案内されている。

フルアクセスを許可することで何が起きるか案内
キーボードの設定画面。ここでフルアクセス許可を設定できる

 このアクセス制限については、実装はアプリごとに任されているようだ。たとえば「mazec」は、フルアクセスを許可しないと文字を認識してくれなかった。ただ、「フルアクセスを許可しないとサードパーティのキーボードを使えない」ということが常識のような形になってしまうと、許可・不許可が選択できることに意味がなくなってしまう。キーボードアプリでは、標準的なモードで基本機能が利用できるようにして、何らかの拡張機能を利用したい場合にはフルアクセスを許可、という形のほうが、安全性と利便性を両立できるように思える。

通知センターのウィジェットもサードパーティに解放

通知センター。Yahoo! JAPANのニュースアプリのウィジェットを表示

 画面上端のステータスバーを下にフリックすると表示される「通知センター」では、「今日」のタブで表示できるウィジェットをサードパーティが作れるようになった。これまでも株価や天気など、元から用意しているウィジェットは表示できたが、ウィジェット対応のアプリがインストールされると、通知センターにそのアプリのウィジェットを追加できる。

 たとえばYahoo! JAPANのニュースアプリが、iOS 8公開直前、ウィジェットに対応した。ほかにもいくつかのアプリがウィジェットに対応している。まだ数は多くないが、今後も情報系アプリを中心に、ウィジェット対応が進みそうだ。

 また、iOS 7の通知センターは「今日」「すべて」「未確認」の3つがあったが、iOS 8では「今日」と「通知」の2つに統合された。「すべて」と「未確認」は使い分ける必要があまりなかったので、個人的には良いデザイン変更だと思う。「今日」に表示するウィジェットを選んだり並び替えたりといったカスタマイズもできるので、使いやすくすることをオススメしたい。

カメラ関連もサードパーティ向けに新機能

標準の写真アプリのフィルタ選択画面

 標準の写真アプリにあるエフェクトフィルタをサードパーティが追加することが可能になった。写真アプリの左上に追加フィルタのアイコンをタップすると、インストールされている対応アプリのフィルタが表示される。こちらもすでにいくつかの対応アプリが登場している。

 サードパーティ製のカメラアプリから、細かい撮影設定を行えるようになった。新たにフォーカス、ホワイトバランス、露出をアプリ側で制御できるようになるという。この機能に対応したアプリはまだ確認できていないが、マニュアル撮影に対応したアプリなども登場しそうだ。

いろいろな機能がオープンに

 ここまで挙げた機能だけではなく、さまざまな機能がサードパーティのアプリで実装できるようになっている。

1PasswordのTouch ID認証画面

 たとえばiPhone 5s/6/6 Plusが搭載している指紋認証センサーの「Touch ID」。これをサードパーティのアプリが認証に使えるようになった。ショッピングアプリを起動するとき、パスワードの再入力の代わりに指紋認証を使ったりできるようになるわけだ。ただし指紋データ自体はセキュアな領域に保存されていて、アプリから直接アクセスできず、iPhone内蔵のチップ(CPU)が認証する形だという。

 こちらも対応アプリはまだ少ないが、カスタムアクションにも対応している「1Password」がTouch IDの認証も利用できるようになっている。

ヘルスケアアプリで表示されるHealthKitのデータ

 「HealthKit(ヘルスキット)」は健康やフィットネスのデータを保存・管理する枠組みだ。これまで、健康やフィットネスのデータは、それぞれのアプリやサービスが保存、管理していて、互いのアプリやサービスが連携したりするのは難しかった。しかし「HealthKit」はそうしたデータを預かるための仕組みで、アップルが新たに提案するもの。つまり異なる会社のアプリ・サービスが1つのデータを利用できるようになっている。こちらも対応アプリがないため試せていないが、たとえば歩数計と体組成計で別の会社の製品を使い、運動した記録や体重の移り変わりといったデータを、他のアプリで管理する、といった展開が期待できそう。ちなみにHealthKitのデータ自体は、後述のアプリ「ヘルスケア」で確認できる。

 あとは「HomeKit(ホームキット)」という家電制御の枠組みも提供される。HomeKitに対応すれば、Siriから操作できるようになるというが、こちらも対応製品が登場していないので、まだ試せない。

 このほかにも、さまざまな新機能がサードパーティに開放されている。そうした新機能も、実装されたアプリが登場しないことには一般ユーザーには関係ない話だ。しかしiOSはAndroidと違い、最新OSの利用率が高いため、アプリ開発者(デベロッパー)にとっても新機能を導入する意義が大きく、実際に新機能が積極的に利用される傾向が強い。今後、数週間のうちに、新OSの新機能を活用したアプリが次々と登場することが予想される。

新しい標準アプリ「ヘルスケア」と「ヒント」

 「ヘルスケア」という標準アプリが追加されている。これは前述の「HealthKit」のデータを扱うためのアプリで、健康やフィットネスに関わるさまざまなデータを見ることができる。

歩数データ

 iPhone 5sなど、モーションコプロセッサーを搭載しているモデルでは、特別なアプリをインストールせずとも、標準で歩数を測定できる。iOS 8へのアップデート以前から計測していたデータも閲覧可能だが、筆者のiPhone 5sには1週間分しか保存されていなかった。「上がった階数」という項目もあり、iPhone 6/6 Plusでは内蔵気圧計を使って階段の上り下りといった運動も測定もする。

データを書き込むアプリは「ソース」として許可・不許可を設定できるようだが、ソースになれるアプリがまだない

 これら標準で計測できる項目以外は、ほかのアプリから書き込む形式と思われるが、対応アプリが登場していないので、現状ではとくに利用できない。なお、どのアプリからデータを取り込むかを設定したり、各項目についてどのアプリからのアクセスを許可するかといったことはカスタマイズできる。

ロック解除をしないでも表示できる緊急画面。緊急通報も可能

 ヘルスケアアプリでは、「メディカルID」として、自分の血液型や病状、アレルギー反応などを入力できるようになっている。この情報はロックを解除しないでも、「緊急」の画面から参照できるようになっていて、救急医療を受けるときなどに役立てられるようになっている。問題のない範囲内で入力しておくことをオススメしたい。

 このほか、「ヒント」というアプリが追加されている。これはiPhoneを使う上でのTipsを紹介するチュートリアル的なアプリのようだ。iOSにも直感的ではない操作が増えてきたので、そういった操作方法をここで周知するのが狙いだろう。

「写真」や「メッセージ」などの標準アプリも改善

 お馴染みのアプリも機能が強化され、ユーザーインターフェイス(UI)が変更された。

写真の検索機能

 まず「写真」アプリでは、写真のキーワード検索ができるようになった。アルバム名などは手動もしくはパソコン上で入力する必要があるが、撮影場所と撮影日時は自動入力されたものから検索できる。旅行の写真を探すときなどで便利そうだ。

 「写真」アプリの編集機能も強化された。サードパーティ製エフェクトフィルタの対応は前述の通りだが、それ以外にも、標準で露出やホワイトバランスなどの手動補正、自動およびより細かい手動による傾き補正などが可能になっている。「カメラ」アプリは、標準でタイムラプスの撮影に対応した。

メッセージ入力欄の右のマイクアイコンをロングタップして録音し、上にスワイプすると送信する

 「メッセージ」も強化され。ボイスメールをワンスワイプで送れるようになった。ただしiMessage限定の機能なので、iPhoneやMacなどアップル製品のユーザー同士でしか利用できない。このほか、グループチャットの扱いが簡単になっている。

メッセージの通知バナーを下にフリックすると返信欄が表示される

 通知機能では、画面上にアプリの通知が表示されたとき、対応アプリでは単に通知を確認するだけでなく、たとえばメッセージなら返信したりできるようになった。サードパーティ製アプリも、通知の高機能化に対応できるようだが、現時点ではまだ対応アプリは確認できていない。

タスク切り替え

 ホームボタン2回押しで表示されるタスク切り替え画面には、連絡先の「よく使う項目」(自分でカスタマイズしておくもの)と「履歴」のアイコンが表示されるようになった。通話の履歴だけでなく、メッセージの履歴も反映される。通常の電話以外にもテキストメッセージ(SMSやMMS、iMessage)やFaceTime通話もここからアクセスできる。

新規メッセージのタイトルを下にスワイプすると待避できる

 「メール」アプリでは作成中のメールを画面の下に一時的に待避できるようになり、メールを書きながら他のメールを参照しやすくなっている。従来は一時的に「下書き」に保存しなくてはいけなかったので、かなり簡単になった。

 このほかにもUIがいくつか変更されているが、基本的に従来とやれることは変わっていない。

 標準のキーボードも強化されているが、日本語キーボードはあまり変化がないようだ。多くの言語では、アプリやメッセージの相手によって別々に単語の学習・予測をする機能が実装されているが、この機能は日本語に対応していない。本来ならば、「掲示板で学習したアレな表現を仕事のメールで誤爆しなくなる」という機能だが、残念ながら日本ではその危険性はなくならない。サードパーティ製の日本語アプリを使わない場合は、引き続き注意しよう。

さらに強化されたデバイス連携

 複数のiOS機器やMacを使っているとき、互いに連携させる機能が強化されている。

近くにある他のデバイスで使っているアプリのアイコンがロック画面の左下に表示

 まず「Handoff」(ハンドオフ)という新機能が追加される。Handoffは、ある端末上のアプリの状態を、手持ちの他の端末と同期させて、たとえば作業を引き継ぐという機能だ。もしiPadのブラウザ(Safari)でWebサイトを見ると、近くにある手元のiPhoneのロック画面にSafariのアイコンが表示され、そのアイコンを上方向にスワイプすると、iPadで開いているWebページがiPhoneに表示される。このときロック設定してるともちろんロック解除が必要だ。

 Safariだけでなく、メールやマップアプリ、カレンダーアプリなど、さまざまな標準アプリがHandoffに対応している。また、アップル以外のデベロッパーがHandoff対応アプリを開発することもできる。

 iPhoneの通話やSMS/MMSについては、近くにあるiPadやMac(Mac OS X Yosemite)でやり取りできる機能も追加される。この機能は「10月に登場」とのことで、現時点では利用できない。ただし、音声通話については、近くのiOS 8搭載機器で発着信が可能となっている。

 なお、Handoffや通話連携は、Macからだと最新バージョンのOS X「Yosemite」でしか利用できない。Yosemiteのリリースは「この秋」とアナウンスされているだけで、具体的な時期も未発表だ。

iCloud Drive

iCloud Driveの設定画面

 iCloudは「iCloud Drive」として強化される。iOS 7までだとiCloudには各アプリのファイルしか保存できなかったが、iCloud Driveでは任意のファイルが保存できるようになる。

 しかし記事執筆時点では、たとえばアップル純正アプリであるNumbersからは、Numbers自体のストレージエリアしか見えず、アプリ間で共通のストレージエリアを確認する方法は見つからなかった。

 iCloudのストレージをiCloud Driveへのアップデートすると、先述したように、iCloud Driveに対応していないiOS 7以前、OS X Mavericks以前からiCloudのストレージにアクセスできなくなる。このとき同期済みのファイルはローカルに残る。Macユーザーは、iCloud Driveに対応するYosemiteが登場するまで、iCloudのファイル同期が使えなくなるのがかなり不便だ。なお、iCloud DriveはYosemiteのMacだけでなく、Windows 8以降のWindowsパソコンでも利用できるようになる予定となっている。

 あとはiCloudは「ファミリー共有」という新機能が追加された。家族間では写真やカレンダーなどの情報が共有されるほか、iTunes StoreやApp Storeで購入した項目も共有されるようになる。

アプリやiCloudの互換性に気をつけつつアップデートしよう

 iOS 8ではサードパーティ製アプリ向けの機能が追加になったり変更されたりしているため、アプリの互換性問題は発生しやすいと思われる。完全に起動しないアプリは少なそうだが、特定の機能を使うとアプリが落ちる、みたいな症状がないとは言い切れない。すでに既存アプリのiOS 8対応アップデートラッシュは始まっていて、主要なアプリはiOS 8に対応してきているが、どうしても必要なアプリについては、事前にiOS 8への対応状況をチェックしておくことをおすすめしたい。

 iCloud Driveは、現時点でメリットを享受できるアプリが少なく、非対応デバイスからアクセスできなくなるというデメリットがあるので、iCloudのストレージ機能をiCloud Driveにアップデートすることについては、ちょっと慎重になった方が良さそうだ。とくにMacユーザーは、YosemiteリリースまでiCloudが使えなくなるので注意が必要となる。とりあえず筆者は、NumbersファイルがMacで同期できなくなってしまい、かなりションボリしている。

App StoreのiOS 8アプリ紹介ページ

 毎年、大型アップデートがあり、端末を買い換えないでも新機能が使えるようになるのは、iOSの大きな魅力でもある。今回のiOS 8の場合、新機能に対応したアプリがないと、OSアップデートの意味がないわけだが、しかしすでにいくつかの新機能対応アプリが公開されているし、今後はもっと増えていくと期待できる。

 アプリの互換性やiCloud Driveのアクセスなど、アップデートにはデメリットもある。繰り返しになるが、iOS 8の新機能に対応したアプリが増えないことには、iOS 8にアップデートするメリットも少ないので、実のところ、急いでiOSをアップデートする必要はない。しかしせっかくiOSデバイスを使っているならば、これまでにない新機能だけに、ぜひ体験して欲しいところだ。

白根 雅彦