ケータイ用語の基礎知識

第683回:iCloud Driveとは

 iCloud Driveとは、iPhoneやiPadなどのメーカーであるアップルが提供しているクラウドストレージサービスです。以前から提供されていた「iCloud」を強化したサービスとして登場しました。

 クラウドストレージとは、クラウド、つまりインターネット上にあるストレージのことで、インターネットへの通信を使って、さまざまなファイルをアップロード、ダウンロードしたり、共有したりできる仕組みのことです。オンラインストレージ、と呼ばれることもあります。

 iCloud Driveは、Apple IDで1ユーザーあたり5GBの容量が無料で利用でき、それ以上の容量は月額制で有料です。例えば、20GBまでが月額100円(税込)、1TBまでが月額2400円(税込)です(価格はいずれも2014年11月現在)。

 iOS 8のインストールされたiPhone、iPad、iPod touch、OS X(Yosemite)を搭載したMacでは、OSに「iCloud Drive」にアクセスする機能があらかじめインストールされており、Apple IDを持っていれば、設定を行うことですぐに利用できます。

iCloud Driveの設定画面。一番上の設定「iCloud Drive」をONにすることで、iPhone上の書類やデータをクラウド上のiCloud Driveにアップロードできるようになる

 また、Windows 7以降を搭載したWindows PCの場合、同じくApple IDがあればWindows用アプリケーション「iCloud」をインストールすることで利用できます。

 ほかにも、Mac、PCの場合、SafariやGoogle ChromeなどのWebブラウザから、Web版のiCloudにアクセスし、そこからiCloud Driveを利用することもできます。

 これらiPhone、iPad、Mac、PCいずれでも、同じApple IDを使ってサービスを利用することが可能です。

Windows上でのiCloud。これをインストールすると、Windows PCでもiCloud Driveが利用できるようになる。iCloud Drive自体は、他のストレージ同様、「エクスプローラ」から利用する

iPhoneなどでは、アプリごとにフォルダがiCloud Drive上に作られる

 iCloud Driveは、ひとつのApple IDに対してひとつ割り当てられます。したがって、同じApple IDを利用するのであれば、iPhone、Mac、Windows PCなどの端末を問わずに、同じiCloud Driveのデータにアクセスすることができます。つまり、あるファイル、例えばプレゼンテーションやスプレッドシート、PDFや画像などといったファイルをiPhoneでiCloud Driveに保存すれば、それをMacやPCでも共有できるわけです。

 ちなみに、iCloud Driveでは、ファイル単体のサイズが15GBより小さい限り、あらゆる種類のファイルをiCloud Driveに保存することができます。

 以前のiCloudではできなかったPDFなどのファイル保管も現在はできるようになり、利便性が増しています。

 ただし、他のよくあるクラウドストレージと異なり、iPhone、iPadから利用する場合、iCloud Driveへのファイル保存は、基本的に各アプリごとに専用のフォルダがiCloud Drive上に作られ、そこにアップロードされるようになっており、他のフォルダにアップロードすることはできない仕様になっている点は、注意が必要でしょう。

 なお、Mac、Windows PCから利用するiCloud Driveでは、他のクラウドストレージ同様に、iCloud Drive上に任意のフォルダを作ったり、またファイルを置くことが可能になっています。

アップデートした場合、iOS 7以前のiCloud書類が更新できなくなる

 iPhone、iPadがiOS 7搭載だった場合、最新のiOS(2014年11月現在では、iOS8.1)にアップデートする際に「iCloud Driveにアップグレード」の表示に従って進めていけば、iCloud Driveが利用可能になります。

 ただし、iWorkなどのiCloudの書類を利用している場合、それまで保存されていた書類ファイルがiCloud Driveにアップデートされ、(iCloud Driveに対応していない)OS X(Mavericks)やiOS 7からは、書類は編集できなくなりますので、端末によりOSのバージョンが異なる場合は注意が必要です。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)