レビュー

「Xiaomi 15」レビュー 数少ないコンパクト×ハイエンドモデルの投入で市場を席捲できるか

 シャオミの最新スマートフォンシリーズとして「Xiaomi 15 Ultra」「Xiaomi 15」「Redmi Note 14 Pro 5G」が新たに登場した。フラッグシップモデルであるXiaomi 15 Ultraやデジカメライクに使用できる「Photography Kit」に目が行きがちではあるが、ハイエンドシリーズのスタンダードモデルとして、満を持して日本市場に投入されたXiaomi 15も、存在感のある端末だ。

 詳細は後述していくが、ハイエンドモデルながら12万3000円~(公式オンラインストア価格)という価格に加えて、近年は数が減っている“片手での操作感に優れたコンパクトサイズ”の上位機種として、多くのニーズに応えられる製品となっている。では、Xiaomi 15の使用感を実際に試しながら紹介していこう。

操作性に優れたコンパクトなハイエンドモデル

 Xiaomi 15は、大きさ152.3×71.2×8.08mmで重さ191gと、コンパクトなハイエンドスマートフォン。近年は大画面化が主流になっているが、片手での操作もある程度こなせる、絶妙なサイズ感を求めているユーザーも多いのではないだろうか。

 同じようなコンセプトとしては「Galaxy S25」や「iPhone 16 Pro」といったモデルがあげられるが、iPhone 16 ProはOSからしてAndroidスマートフォンと異なるので、完全な競合製品とは言いにくい。コンパクトモデルとしては「Pixel 9 Pro」なども候補には上がるが、こちらは処理性能を向上させるというより、グーグルのAI機能を快適に使うことをコンセプトとしているため、負荷の大きなゲームアプリなどでは、他社のハイエンドモデルに一歩譲る面がある。

 このように考えると、コンパクトなハイエンドAndroidスマートフォンとしては、Galaxy S25くらいしか選択肢がなかったとも言える。選択肢が増えたのは、日本市場全体を見てもポジティブな要素だろう。

 本体サイズとしては、Galaxy S25よりも若干大きく重い。特に重さは約29gの差があるため、ポケットから取り出したときなど、ふとした瞬間に、重みを感じることもある。とはいえ、横幅があまり大きくなく、片手にすっぽり収まるサイズ感なので、恒常的に使うスマートフォンとしては、程よいサイズだという印象だ。

 ディスプレイは6.36インチで個人的には、小さすぎず、大きすぎないサイズだと感じる。ベゼルも細く、フラットなディスプレイなので、扱いやすさも抜群。リフレッシュレートは1Hz~120Hzで、25%の表示領域をカバーする最大3200ニトというピーク輝度が特徴。屋外での視認性も高いのが魅力だ。

 本体カラーは、ホワイト、ブラック、グリーンの3色に加え、特別仕様のリキッドシルバーがある。今回試したグリーンは、パステルで明るい色合いだが、手触りはサラサラとしていて、指紋の付着も目立たない。

ハイエンドシリーズのスタンダートモデルらしいバランスに優れたカメラ

 コンパクトモデルではあるが、フラッグシップモデルと同様に、ライカカメラとの協業で開発されたカメラを搭載しているのも、Xiaomi 15の魅力。イメージセンサーなど、上位機種との違いはあるが、チューニングにはライカらしさが落とし込まれており、ライカのフィルターやウォーターマークを利用できる。

 カメラ構成としては、5000万画素、焦点距離23mm相当のメインカメラ、5000万画素、焦点距離14mm相当の超広角カメラ、5000万画素、焦点距離60mm相当の望遠カメラとなる。

 ボケ感の強さなどは、Xiaomi 15 Ultraと比較すると若干弱さを感じるが、サッとピントがあい、色味の再現性も高い、きれいな写真を撮影できるのが魅力。スマートフォンらしいカメラという意味では、Xiaomi 15のほうがバランスのいいまとまり方なのかもしれない。ナイトモードや超広角カメラでも、光をしっかりと取り込み、パキっとした写真が撮影できた。

 ライカらしさを楽しむのであれば、フィルターを変更したり、ポートレートモードでボケ感を強調したりもできる。扱いやすさと本格カメラらしさが両立されておりわかりやすく、使っていて楽しいのがいい。

 光学ズームは2.6倍、デジタルズームは最大60倍に対応する。光学ズームの画質が優れているのはもはや当たり前だが、ワンタップで切り替えられる2倍、5倍のズームも、被写体の輪郭をしっかりと捉えられ、劣化もほぼ見られない。

 Xiaomi 15のカメラを使っていると、Xiaomi 15 Ultraほど、極端にライカらしさを前面に押し出しているわけではなく、スマートフォンカメラらしいAI補正もしっかりと入れつつ、全体的な扱いやすさに優れていることがわかる。ライカらしい“エモさ”は、フィルターやポートレートモードで演出すればいい。ニーズに応じた使い分けができるのが、ハイエンドシリーズ内のスタンダードモデルという立ち位置ともかみ合っている印象だ。

処理性能やAI機能、バッテリー性能もハイエンド仕様

 搭載するチップセットはクアルコムの「Snapdragon 8 Elite」、メモリーは12GB、ストレージは256GBと512GBの2モデルとなる。チップセットはXiaomi 15 Ultraと共通となっており、高い処理性能が魅力だ。メモリーは、ハイエンドモデルとしては標準的な容量で、文字起こしや画像生成といったAI機能も、快適に利用できる。

 「Xiaomi IceLoopシステム」という冷却機構も搭載されており、排熱性能も上々。ゲームアプリをプレイしていると、フレームや背面がほのかに温かくなっていくことを感じるが、手で持てないほどではない。

 バッテリーは5240mAh。本体サイズを鑑みると、かなり大容量のバッテリーを搭載していると言えるだろう。実際、6.2インチディスプレイを搭載したGalaxy S25は4000mAhにとどまっており、使い勝手には大きな差がある印象だ。その分、質量に違いがあるが、Xiaomi 15も200gを切る片手での操作性に優れたスマートフォンであるため、バッテリー持続時間が長いメリットが大きいと感じる。

 搭載するOSはXiaomi HyperOS 2となる。少しずつ洗練されてきている印象もあるが、純粋なAndroid OSとは違う部分も多いため、操作に慣れるのには若干時間がかかる。

FeliCa非搭載が惜しまれるものの、貴重なコンパクトハイエンド

 Xiaomi 15は、グローバル発表からあまり間をあけずに、日本市場へ投入されているため、仕方のない部分ではあるがFeliCa非搭載である点が、唯一惜しいと感じる。

 Xiaomi 15 Ultraの場合は、デジカメライクなカメラ機能に特化したモデルとしての立ち位置があるため、納得感もあるが、コンパクトなハイエンドモデルとして、メイン端末としての運用が見込まれるXiaomi 15の場合は、おサイフケータイを使いたいというニーズもそれなりにあるはず。

 Xiaomiのハイエンドモデルのラインアップでも、スタンダードな立ち位置にある端末が日本市場に登場したのは初めてなので、次回以降の対応には期待したい。

 とはいえ、FeliCaが非搭載になったことで、発売時期がグローバル発表からあまり遅れなかったのに加え、12万3000円という低価格が実現したという見方もできる。おサイフケータイ機能が不要で、コンパクトなハイエンドモデルを探していたという人には、コスパも含め、満足度の高い仕上がりだと感じる。

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