レビュー

いよいよ本日22日発売 グーグル「Pixel 9」レビュー 上位モデルとの違いは?

 グーグルは、Pixelシリーズ最新モデル「Pixel 9」を8月22日に発売する。価格はグーグル直販サイトでは128GBモデルが12万8900円、256GBモデルが14万3900円。そのほかNTTドコモ、au、ソフトバンク各社でも購入可能となっている。

Googleのスマートフォン最新モデル「Pixel 9」

ディスプレイとボディサイズ

 6.3インチ(1080×2424ドット)の「Actua ディスプレイ」で、アスペクト比20:9のOLEDパネルでピクセル密度は422PPIとなっている。

 最大輝度は1800ニト(HDR輝度)/2700ニト(ピーク輝度)で、コントラスト比は2,000,000:1以上。リフレッシュレートは可変で60Hzから最大120Hz、HDRをサポートし、24ビットフルカラー(1600万色)で表現できる。

背面デザイン

 画面の明るさはPixel 9 Proシリーズにはおよばないものの、前モデルのPixel 8と比較して35%も向上しており、明るい屋外でも観やすい。

 本体の大きさは約72×8.5×152.8mmで重さは約198g。ちなみに「Pixel 9 Pro」もまったく同じ大きさで、合わせて発売されるケースは両モデルで共通だ。

サイズ的にはPixel 9 Proと同等で使いやすいサイズ

 フロントガラスおよび背面パネルは傷がつきにくいCorning Gorilla Glass Victus 2カバーガラスを採用する。

 IP68に準拠した防塵、防水性能となっている。製品の全重量に対してリサイクル素材を18%以上使用しており、アルミニウムに関しては100%リサイクル素材を用いている。

本体左側面
本体右側面
本体上部
本体下部にType-CとSIMトレーを装備

 側面はサテン仕上げのメタル素材で、背面のガラスはポリッシュ仕上げで、光沢感あるが指紋は目立ちにくい。

 本体側面には丸みがなく、ほかのメーカーも多くが採用し、最近トレンドとなっている箱形のデザイン。設計や強度的にもこのデザインのほうが有利ではあるものの、やはり「似ている感」は否めない。

背面は光沢はあるが、指紋は目立ちにくい

 カメラ部分もスクエアに突出しているため、見た目にはかなり出っぱっているように感じるが、実測で約11.7mm。iPhone 15 Proは実測で11.7mmあるため、全体の厚さとしては一般的な数値に収まっている。

カメラ回りは突出している印象を与えるが、実測すると厚みは一般的な仕上がり
カメラ部分の最厚部は実測で約11.7mm

 本体カラーはObsidian(オブシディアン/黒系)、Porcelain(ポーセリン/白系)、Wintergreen(ウィンターグリーン/緑系)、Peony(ローズクォーツ/ピンク系)の4色。純正ケース(5720円)も同系色も含めて6色が用意されている。

処理能力は十分

 チップセットは最新の「Google Tensor G4」。メモリーは12GB、内蔵ストレージは128GBと256GBの2モデル。プライバシー保護などの処理を行う「Titan M2 セキュリティコプロセッサー」は前モデルのPixel 8シリーズと同じだ。

 搭載されているチップセットのTensor G4は、CPUが1Prime+3P+4Eの8コア構成。いずれのコアもTensor G3よりもひと世代新しくなっておりクロック数もアップしているが、Tensor G3は1Prime(プライム、高性能コア)+4P(パフォーマンスコア)+4E(エフィシェンシーコア、高効率)の9コア構成だったため、コア数は減っている。

 また、GPUはTensor G3と同じMali-G715。トータルでみればプロセッサーの処理能力は向上しているが、特にグラフィック面などは大幅な向上は期待できない。

CPU-Zでチェックした、Tensor G4の詳細

 チップセット的にはミッドハイといった印象ではあるものの、GoogleのAIサービス「Gemini」を動作させるためのNPUを搭載するなど、今後の実用性は十分。また、7年間のOS、セキュリティのアップデートに対応しており、長い製品寿命に耐えられる性能はありそうだ。

バッテリーと充電

 バッテリー容量は4700mAh。最大輝度でYouTubeの4K動画を充電100%の状態から再生し続けたところ、約13時間29分でバッテリー残量がゼロになった。

 充電は最大27Wの急速充電に対応しており、別売の45W充電器を使用した場合、30分ほどで55%までの充電が可能。

 またワイヤレス充電(最大15W)も利用でき、マグネットも内蔵している。

生体認証をサポート

 生体認証は画面内の指紋認証と顔認証が利用可能。特に指紋認証は超音波センサーに変更されており、使用した印象ではロック解除などで読み取りミスが減っている。

 顔認証でのロック解除も高速なので、両方登録しておけばストレスなく使えるはずだ。

指紋認証はかなり精度がアップしている印象

ステレオスピーカーを搭載

 本体スピーカーはステレオ仕様。若干左(本体上部)のスピーカーのほうが強く本体の共鳴もある、左右のバランスの悪さを感じた。

 オーディオテスターアプリで1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らして、15cm離れたところの音量は約78.4dbだった。

1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らして、約78.4db

通信面の仕様

 通信面では、セルラーの対応バンドが5Gはn1 / 2 / 3 / 5 / 7 / 8 / 12 / 14 / 20 / 25 / 26 / 28 / 30 / 38 / 40 / 41 / 66 / 71 / 75 / 77 / 78 / 79のSub6のみ。物理SIMは本体下部にピンで押し出すタイプのトレーを装備。nanoSIM1枚をセット可能。

SIMトレーはnanoSIMを1枚セット可能

 eSIMにも対応しており、デュアルeSIMでの運用も可能となっている。

 そのほかのネットワーク系は、上位モデルのPixel 9 Proシリーズと同等で、無線LANはWi-Fi 7に対応し、Bluetoothはバージョン5.3。FeliCaも搭載されており、Suicaなどのおサイフケータイにも対応している。

広角カメラと超広角カメラ

 カメラは背面に広角カメラ(5000万画素、画角82度、F値1.68、センサーサイズ1/1.31インチ)と超広角カメラ(4800万画素、画角123度、F値1.7、センサーサイズ1/2.55インチ)を搭載したデュアル仕様。フロントカメラは1050万画素、画角95度、F値2.2となっている。

背面カメラは広角と超広角のデュアル仕様

 背面カメラに関しては5倍の望遠カメラがない以外は、Pixel 9 Proシリーズと同等。

 ただし、こちらは5000万画素のセンサーを搭載していても、カメラアプリにプロ設定がなく、5000万画素での撮影やRAWでの保存には対応していない。

プロ設定はなく、5000万画素での撮影やRAWでの保存には非対応

 本誌掲載の作例は、夜間での撮影以外は手持ちで撮影したもの。望遠カメラがないため、最大望遠はデジタルズームでの8倍までだが、画質的な実用性は十分。特にカメラや撮影の知識がなくても、シャッターを押せばある程度のクオリティに仕上がるのはさすがだ。

広角の1倍で撮影
デジタルズーム2倍で撮影
デジタルズーム最大の8倍で撮影
超広角の0.5倍で撮影
広角の1倍でマクロにならないギリギリの距離で撮影
マクロをオンにした状態で撮影
「夜景モード」の1倍で撮影
「夜景モード」のデジタルズーム2倍で撮影
「夜景モード」の超広角0.5倍で撮影
インカメラで撮影

パノラマ撮影の手法が変更

 大きな変更ポイントとしては、パノラマ撮影がカメラを動かし続けて撮るのではなく、右方向の特定位置で止めて撮影する方式に変わったこと。これはPixel 9 Proシリーズと同じだ。

 ただし、ブースト機能には対応していないため、8K動画や動画の夜景モードには対応していない。

パノラマ撮影の方法が変更されている

カメラ×AIで楽しめる

 さらに同じアングルを2回撮影することで、集合写真を全員で1枚の写真に収められる「一緒に写る」も新たに追加された。

 集合写真だけでなく、同じ人物を1枚の写真に合成するといった使い方もできるので、アイディア次第でインパクトのある写真が作れそうだ。

「一緒に写る」を使えば、二人しかいない場合でも三脚不要で同じ構図に収めて撮れる
同じ人物を1枚の写真に合成して遊べる

 AIを使った「消しゴムマジック」などの、写真編集機能は引き続き搭載。

 新機能として背景の足りない部分を書き足して背景を広くする「オートフレーム」や、写真の中の範囲を指定して別の何かを書き加える「イマジネーション」などが利用可能だ。

「イマジネーション」で書き足したい範囲と内容(現状は英語のみ)を入力
飛行機が書き足された

Geminiは電源ボタンの長押しで

 GoogleのAIサービス「Gemini」もPixel 9ではより手軽に利用可能。電源ボタン長押しで呼び出し、音声入力でGメールなどのGoogleアプリと連携した情報検索もできる。

 ただし、Gemini関連では、日本語で利用できない機能も多く、現時点ではGoogleアシスタントがちょっとだけ賢くなったという印象でもある。今後の進化や対応に期待したい部分だ。

日本語での利用がまだまだ限定されるが、GoogleのAIサービス「Gemini」がいち早く利用できるのは本機のアドバンテージ

 最安の128GBモデルが12万8900円と、円安の影響もありやや割高ではあるが、下取りサービスなどを利用することで、購入費用を抑えることもできる。

 もし、Pixel 6以前のモデルを使っていて、買い換えを考えているなら狙い目といえるモデルだ。