レビュー
Google 「Pixel 9」シリーズはどこが進化した? 前モデルと比較する
2024年8月14日 02:02
Googleが「Pixel 9」シリーズを発表した。今回登場するのは「Pixel 9」「Pixel 9 Pro」「Pixel 9 Pro XL」と、折りたたみの「Pixel 9 Pro Fold」の計4機種となる。
Pixel WatchやPixel Budsの新モデルも発表されているが、本稿では、スマートフォンにしぼって、それぞれ前モデルと比較し、どこが変わったのかをチェックしてみた。
Proモデルで小さいサイズが選べるようになった
まず、大きく変わったのはProモデル。Pixel 8シリーズでは「Pixel 8 Pro」の1モデルのみだったが、今回は「Pixel 9 Pro」と「Pixel 9 Pro XL」の2モデル構成になった。
「Pixel 9 Pro XL」のサイズは、前の「Pixel 8 Pro」とほぼ同様だ。そのため、今回はProモデルで小さいサイズが選べることになる。
小さい「Pixel 9 Pro」はノーマルモデルの「Pixel 9」は同じサイズで、数字を見比べると「Pixel 8」よりも「Pixel 8a」に近い。
なお、「Pixel 9 Proと9 Pro XLは、サイズの違いからくる重さやディスプレイ解像度、バッテリー容量などの違い以外は、基本的に同じスペックだ。
サイズは前モデルとほぼ同じだが、ディスプレイはわずかに大きくなった。「Pixel 9 Pro XL」のディスプレイは「Pixel 8 Pro」よりも0.1インチ大きくなって6.8インチ。「Pixel 9 Pro」とノーマルの「Pixel 9」は「Pixel 8」よりも0.1インチ大きい6.3インチになった。
ディスプレイの明るさとバッテリーの違い
ディスプレイの解像度に大きな変化はないが、ピーク輝度が上がっている。Proモデルは2400nitから3000nitとなり、Google史上最も高くなった。ノーマルモデルも2000nitから2700nitに上がった。
バッテリー容量は前モデルとほぼ変わらないが、「Pixel 9 Pro XL」は“Google Pixel史上最速の充電速度”をうたい。別売りのGoogle 45W USB-C充電器を使用した場合、30分ほどで70%まで充電できる。
カラーバリエーションとデザインの進化
カラーは「Pixel 8 Pro」が3色展開のところ、「Pixel 9 Pro」「Pixel 9 Pro XL」は、Obsidian(黒曜石)、Porcelain(磁器)、Hazel(ヘーゼル)、Rose Quartz(ローズクオーツ)の4色展開になった。
ノーマルの「Pixel 9」は、Obsidian、Porcelain、Wintergreen(ウィンターグリーン)、Peony(牡丹)の4色展開だ。
カメラバーを特徴とするデザインは継承されているが、側面の処理が変わった。
「Pixel 8 Pro」や「Pixel 8」の側面は丸みを帯びて薄さが際立っているが、「Pixel 9」シリーズの側面はフラットでやや幅広に感じる。
Proシリーズの側面はピカピカに磨き上げられている一方、ノーマルモデルは「サテン仕上げ」でサラッとした触感だ。あくまで個人的な印象だが、Pixel 8シリーズの方が薄く感じるが、「Pixel 9」シリーズはしっかり握れるといった持ち心地だ。
Tensor G4と16GB RAMを搭載。「Gemini」が調べものをサポート
Pixel 9 Proシリーズは「最もパワフルなGoogle Pixel」とされ、新しいTensor G4プロセッサと16GBのメモリー(RAM)を搭載する。
Tensor G4により、Webブラウジングは20%、アプリの起動は17%高速化されるという。デバイス上でAIを活用できるのはもちろん、さらにより強力なAI機能が利用できる「Google One AIプレミアムプラン」を6カ月間無料で使える。
ノーマルモデルもTensor G4を搭載するが、こちらのメモリーは12GBだ。ただ、それでも「Pixel 8」の8GBより増えている。Proモデルとノーマルモデルで、メモリーの容量は異なるが、現時点でAIアシスタントの「Gemini」で利用できる機能は変わらない。Geminiは電源ボタンを長押しすると起動する。
Geminiは、これまでのGoogleアシスタントのように利用できるが、自然に会話するように質問を続けていくことができる。また、文字だけでなく、写真を撮って質問することも可能だ。
カメラはより強力に
Proシリーズのカメラについては、画素数はPixel 8 Proと変わらず、5000万画素の広角、4800万画素の超広角、4800万画素の光学5倍望遠で、引き続きトリプルカメラ構成。
ただ、超解像ズームが初めて動画撮影にも対応し、20倍までズーム可能となった。動画の夜景モードがさらに強力になっているほか、動画ブーストを使うと8K動画も撮影できる。動画から3000万画素の静止画を切り出すことも可能だ。
フロントカメラの解像度は、Pixel 8 Proの1050万画素から4200万画素に大幅アップ。Pixelシリーズのフロントカメラとしては最高の解像度で、画角も103度と最も広角になった。
ノーマルモデルの「Pixel 9」のカメラは、デュアルカメラ構成はPixel 8シリーズから変わらないが、超広角カメラが1200万画素から、マクロ撮影にも対応する新しい4800万画素カメラに変わった。さらに、これまで固定フォーカスだったフロントカメラにオートフォーカス機能が搭載された。
「編集マジック」に新機能追加
「Pixel 9」シリーズには、「一緒に撮る」というユニークな撮影機能が追加される。
グループで写真を撮る場合、他人に頼めない場合は誰か1人が撮影者になる必要があるが、この機能を使うと、いったん写真を撮った後、撮影者を交代してもう1度撮影。それを1枚の写真に合成してメンバーが全員揃った集合写真を撮ることができる。
また、Googleフォトに保存されている写真を加工できる「編集マジック」は、フレーミングを自動的に再調整する「オートフレーム」が追加された。機能を選ぶだけで、AIが背景を生成した引きの写真、寄りの写真、横位置の写真を縦位置にするなど、フレーミングし直した写真を複数提案してくれる。
さらに、「イマジネーション」機能を利用すると、簡単なプロンプトを入力することで、空に雲や花火を加えるなどして写真をイメージチェンジすることができる。ただ、これは言語設定が英語の場合のみ利用可能だ。
「Pixel 9 Pro Foldは開くと正方形に近い形に
Googleの折りたたみスマホとしては、昨年発売の「Google Pixel Fold」に続き2モデル目となる「Pixel 9 Pro Fold」。大きく変わったのはディスプレイだ。
先代Foldは、閉じた状態で5.8インチ、開くと7.6インチのディスプレイだったが、今回の「Pixel 9 Pro Fold」は閉じると6.3インチ、開くと8インチのディスプレイに。しかもアスペクト比が変わり、閉じた状態では先代の17.4:9から20:9に。
しかも、より薄くなったので、閉じた状態だと一見、普通のスマホのように見えるほどだ。
開いたときは、先代Foldがアスペクト比6:5の横長形状だったのに対し、「Pixel 9 Pro Fold」は正方形に近い形になった。
「Pixel 9 Pro Fold」は他の折りたたみスマホに近い形状になり、サードパーティ製アプリの互換性が向上する。また、閉じたときには一般のスマホと同じ感覚で使うことができる。ディスプレイのピーク輝度は、外部も内部も2700nitとなり、先代から大幅に向上している。
当然、本体サイズも変わっている。縦方向に長くなり、幅は狭くなった。厚さは閉じたときで10.5mm、開いたときは5.1mmと薄くなっている(先代Foldは閉じたときが12.1mm、開いたときは5.8mm)。
バッテリー容量は4650mAhで、先代の4821mAhから若干減ったが、スペック上の駆動時間は変わっていない。Tensor G4という新プロセッサー、そして16GBのメモリーを搭載し、最先端のAI機能を快適に利用できる。
背面はマットな質感で、サテン仕上げのメタルフレームを採用。新しくなったヒンジはステンレススチール製で、カバーは航空宇宙分野で使用される強化アルミニウム合金製。毎日の折りたたみ動作にも耐えられる。
カラーはObsidian、Porcelainの2色展開だ。引き続きIPX8準拠の防水性能を備える。
「こっちを見て」で子どものベストな写真を
「Pixel 9 Pro Fold」のメインカメラの画素数は、先代モデルからほぼ変わらず、4800万画素の広角カメラ、1050万画素の超広角カメラ、1080万画素の光学5倍望遠カメラのトリプルカメラ構成。ただ、前面カメラとインナーカメラは1000万画素になり、やや上がっている。
写真を合成して全員が写った集合写真に仕上げる「一緒に撮る」や、生成AIを活用した「オートフレーム」など、AIを活用した撮影機能、編集機能は、ほかのPixel 9シリーズと同様に対応している。
一方、折りたたみ(フォルダブル)スマホならではの機能として「こっちを見て」がある。子どもの写真を撮る場合に、外部ディスプレイにアニメーションを表示するもので、子どもの興味を引き、カメラ目線のベストショットが撮りやすくなるという。