レビュー

「Google Pixel Tablet」レビュー、価格と性能とのバランスに優れたグーグルのタブレットをチェック

 「Pixel Tablet」はOSにAndroidを採用したGoogleのタブレット。

 海外では同じくAndroid搭載の「Pixel C」やChrome OS搭載の「Pixel Slate」などが発売されていたものの、日本市場には投入されなかったため、Googleが発売するタブレットとしては2014年の「Nexus 9」以来、約9年ぶりの製品となる。

日本市場へは約9年ぶりに登場となるGoogle製タブレット「Pixel Tablet」

 ディスプレイは10.95インチ(2560×1600ドット)で、アスペクト比は16:10。Pixel密度は276ppiとなっている。もちろんタッチスクリーンディスプレイだが、スタイラスペンは付属せず、純正のアクセサリーとしても用意されていない。

 ただし、スペック上ではUSI 2.0 タッチペン対応となっているので、USI 2.0に準拠した製品なら使用できる可能性はある。

ディスプレイは約11インチ
縦位置で持つとこのサイズ感
左が指紋認証センサー一体型の電源ボタンで、右が音量ボタン
本体背面

 大きなディスプレイを活用して画面を分割し、2つのアプリを同時に表示可能。仕切りをドラッグすると分割比率が変更できるがフレキシブルではなく、1:1かおよそ2:1の比率で片方が大きく表示される。

 また仕切りをダブルタップすると、表示しているアプリが入れ替わる。分割したアプリから写真をドラッグで貼り付けるといった操作も可能だ。

「分割」ボタンをタップして、表示したいアプリを選ぶ
左右に等倍で分割
片方を大きく表示
Chromeでも2つのページを同時に表示できる
写真のドラッグ・アンド・ドロップにも対応

 ただしすべてのアプリが分割対応しているわけでなく、さらに一部サードパーティーのアプリでは、タブレットに非対応で横位置での全画面表示ができないものもある。

 Googleのアプリはほぼ対応はしているが、Pixel Tabletが今後普及していくかは、サードパーティーアプリの対応も重要なポイントとなりそうだ。

Facebookアプリはタブレットでの表示に対応していなかった

 本体サイズは約258×8.1×169mmで重量は約493g。本体上部には指紋認証センサー一体型の電源ボタンと音量ボタンを装備している。本体カラーはPorcelainとHazelの2色展開。

本体背面のドッキング用接点

 Pixel Tabletのいちばんのポイントは、充電スピーカーホルダーを同梱していること。マグネットで充電スピーカーホルダーに貼り付けると、「ハブモード」で運用でき、同じくGoogleから発売されているスマートディスプレイのGoogle Nest Hubシリーズのように使える。

同梱の充電スピーカー ホルダー
充電スピーカー ホルダーの背面
ドッキング用の接点
充電スピーカー ホルダーセット時の背面

 ハブモードではスクリーンセーバーとして時計や天気、アートギャラリーなどが表示できるほか、音声入力でGoogleアシスタントが利用できる。Google Homeで連携しているリモコンや照明などのIoT機器も操作も可能だ。

設定アプリに「ハブモード」の項目がある
スクリーンセーバーとして、天気や時計などが選べる

 ただし「Nest Hub(第2世代)」が採用しているクイックジェスチャーには非対応。細かな操作は本体ディスプレイをタッチする必要がある。

 ただし、キャスト機能には対応しているので、手元のスマートフォンを使って、動画や音楽を充電スピーカーホルダーにセットしたPixel Tabletに送って再生できる。一時停止や曲送りといった操作も、スマートフォンから行える。

キャスト機能を使えば、手元のスマートフォンをリモコンがわりに使える

 充電スピーカーホルダーには、43.5mmのフルレンジスピーカーが搭載されており、Pixel Tablet本体のスピーカーよりも音圧を感じるクオリティーでサウンドが楽しめる。ただしモノラルスピーカーのため、ステレオ感は4つのスピーカーを搭載したPixel Tablet本体のほうが上。

 個人的にはPixel Tabletのスピーカーを活かしつつ、低音を充電スピーカーホルダーが担当するといった連携機能があればおもしろいと思った。

Type-C端子とその両側にはスピーカーを配置

 充電スピーカーホルダーへの給電は付属のアダプターで、コネクターは独自形状。Nest Hubシリーズなどもそうだが、Type-Cではない。ちなみに充電スピーカーホルダーセット時には、最大15Wで給電される。

 標準ではバッテリー保護のため100%まで充電されないようになっており、設定アプリからフル充電まで行うよう設定変更は可能だ。

設定の「バッテリー」から、充電スピーカー ホルダーセット時でもフル充電するようにできる
充電スピーカー ホルダーへの給電は独自形状のコネクター

 本体バッテリーは27Whなので、3.7V電圧換算で約7300mAh。11インチクラスのタブレットとしてはやや少なめではあるが、スペック上ではビデオストリーミングで連続12時間となっており、スタミナはじゅうぶん。充電スピーカーホルダーにセットすれば常時給電されるので、バッテリーの持続性については問題なさそうだ。

 ちなみに公式アクセサリーのケースはスタンド付きかつ、充電スピーカーホルダーにそのままセットしてつかえるように接点も装備している。

公式オリジナルケースの試作品
スタンドで自立可能
ドッキング用の接点を装備
ケースをつけたままドッキングできる

 プロセッサーはPixel 7シリーズと同じく「Tensor G2」を搭載。またセキュリティー用の「Titan M2」も搭載している。

 メモリーは8GB、ストレージは128GBと256GBの2モデルをラインアップ。microSDには対応していないので、動画などのコンテンツを多く保存して外出先でも楽しみたいといったユーザーは、256GBモデルを選びたいところ。

 Tensor G2ということもあり、本体操作自体はキビキビと反応しストレスはない。またオフラインでの文字起こしや「消しゴムマジック」といったスマートフォンのPixelシリーズでは人気の機能も利用できる。

 スマートフォンよりも画面が大きいので、撮影はスマートフォンのPixelシリーズで行い、Googleフォトで同期した写真をPixel Tabletで編集するといった使い方が便利だ。

レコーダーでは自動文字起こしに対応
消しゴムマジックも使える

 カメラは背面・前面ともに約800万画素(ピクセル幅:1.12μm、絞り値:F/2.0、固定フォーカス、視野84°、センサーサイズ:1/4インチ)と同じスペックのものが搭載されている。

 スマートフォンのPixelシリーズと比べると、画素数やセンサーサイズでは劣るため、写真を楽しみたいというユーザーは物足りない。とはいえ、QRコードをスキャンしたり、記録的に書類を撮影するといったぶんにはじゅうぶんのクオリティー。もちろんインカメラを使ったビデオ会議も問題なしだ。

アウトカメラは約800万画素
インカメラも約800万画素

 ちなみに充電スピーカーホルダードッキング時は、Google Meetを使ったビデオ会議では、被写体を自動でフレーミングしてくれる。そのための角度調整などは不要なので便利だ。また360度のバーチャル背景も利用可能だ。

Google Meetでオートフレーミングが利用可能
360度のバーチャル背景も利用可能

 本体にGPSは搭載していないため、カーナビとして使うといった用途には不向き。またスタイラスペンやキーボードが公式アクセサリーとして用意されていないことからも、どちらかというとクリエイティビティーな用途でもなく、自宅で動画などのコンテンツを楽しんだり、スマートホームの母艦として活用するといった使い方がメインとなりそう。

 価格は128GBモデルが7万9800円で256GBモデルが9万2800円。どちらも充電スピーカーホルダー同梱なので、「Pixel Tablet」はライトな使い方でコストパフォーマンスの良いタブレットを探していたユーザーにはオススメのモデルだ。