レビュー

KDDIとベイスターズの多視点映像配信アプリ「ベイプラ」で、新しい観戦スタイルを体験してきた

 KDDIと横浜DeNAベイスターズは、多視点映像を提供するスマートフォンアプリ「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」(ベイプラ)を7日から提供開始する。

 今回は、「ベイプラ」をひと足早く体験できる機会を得られたので、「ベイプラ」アプリのレビューをお届けする。

横浜スタジアムで開催される、ベイスターズ主催試合でサービスが提供される

10以上の視点で試合観戦できる

 リリース時点で楽しめる映像は、試合展開にあわせた映像がスイッチングされる「メインカメラ」と、特定の選手にフォーカスした「A.追いカメラ」「B.追いカメラ1塁側」「C.追いカメラ3塁側」、投手や打者にフォーカスを当てた「D.投手バックネット裏」「E.打者バックネット裏」「F.投手1塁側」「G.打者1塁側」「H.投手3塁側」「I.打者3塁側」、スタジアムや内野を眺める「J.全景」「K.内野全景」が用意されている。

 このほか、イベント用に「L.イベントカメラ」がラインアップされている。KDDIによると、これらのカメラは今後追加される可能性があるとしている。

 アプリは縦画面と横画面(全画面)で見られる。横画面の場合、カメラ選択は右側のアイコンをタップすると飛び出してくるメニューから選択できる。

横画面では、右側のメニューからアングルを選択できる

 著者は内野から試合を観戦したが、映像では1塁側や3塁側から見た映像を確認できるので、「違う座席から見た光景」を見られるのはなかなか楽しいと感じた。

 しかも、ユーザーの好き勝手にカメラを変えられるので、本来難しい「座席を移動する」バーチャルならではの体験ができた。

内野全景
グラウンド全景
バックネット裏
打者を3塁側(左)と1塁側(右)から
選手にフォーカスした映像も

ディレイは3秒程度

横浜スタジアム周辺はau 5Gエリア内

 リアルタイム配信といえど、気になるのは映像の遅延だ。特にスタジアムで観戦しながら視聴する場合、生の映像が目の前に広がっているので、遅延が長ければ長いほどコンテンツに萎えてしまいそうだ。

 今回の「ベイプラ」アプリにあたっては、どうやらその心配はなさそうだった。

 もちろん、回線環境や端末などにもよるだろうが、筆者が体験した「auの5G回線を使用したスマートフォン」では、あまりディレイを感じなかった。担当者によると、「環境にもよるが遅延は3秒程度」としており、実際の視聴にはほぼほぼ影響がなさそうだと感じた。

 筆者は逆に「見逃したさっきのホームランのシーンをもう一回見たいから遅延がもう少し長いといいのに」と感じてしまう場面があったくらいだ。ちなみに、アプリでは今後「オンデマンド配信」など、見逃したシーンを拾える機能を検討中とのことで、今後の機能拡充に期待したい。

イベントやグラウンド整備も覗ける

 筆者は、プロ野球(1軍)の試合を初めて観戦したが、イニングの途中にマスコットキャラクターなどが登場するちょっとしたイベントやグラウンド整備が行われることがあった。

 テレビによる中継では、たいていこのような場面は放送されずにハイライトなどが放送されるため、筆者は気づくことがなかった。

 「ベイプラ」アプリでは、イベントやグラウンド整備の風景も楽しめるので、「普段テレビで見られないシーンを楽しめる」メリットを感じた。

グラウンド整備の風景もマルチアングルで視聴できる

 「L.イベントカメラ」では、キャラクターが手持ちカメラでイベント風景を撮影するそうなので、グラウンドにいるかのような臨場感ある映像が楽しめそうだ。

グラウンド整備中のベンチの様子

悪天候時の課題も

 筆者が体験した日の横浜スタジアムは、曇り時々雨で、風も強く気温も低く「寒さ」を感じる天候だった。

 このような天候だったためか、途中からカメラ映像に水滴がついて映像が若干見づらくなってしまった。

雨粒で見づらい場面も

 担当者によると、カメラは遠隔で操作しており、カメラ本体は専用のカバーで覆われているという。今回は、どうやらこのカバーに水滴がついてしまったようだった。

 グラウンドに近い場所から撮影しているため、リアルな映像が見れる反面メンテナンスがしづらいのかもしれない。スタジアムの天候がリアルに感じられて「これはこれであり」と声が聞こえてきそうだが、ぜひこの点は改善してほしいと思う。

 「ベイプラ」アプリは、ベイスターズファンはもちろん、プロ野球観戦初心者にも楽しめるような映像を体験できる(解説音声はベイスターズ贔屓のようなので、ほかのチームのファンはご注意)。

 2021年度シーズンは、すべての機能が無料で利用できるので、一度ダウンロードして体験してみてはいかがだろうか。