レビュー
ドコモの「home 5G HR01」レビュー ――固定回線代わりに使える? オンライン契約時の注意点は?
2021年9月2日 00:00
NTTドコモが8月27日に提供を開始した「home 5G」。5G対応の通信サービスながら自宅の固定回線のように使えるもので、工事要らずで設置できます。
今回は、その最初の対応機種である宅内向けルーター「home 5G HR01」の基本的な機能や特徴についてご紹介しましょう。
「home 5G」サービス概要
「home 5G」は、ドコモの4G/5G回線を使ったインターネット接続サービスです。ドコモのモバイルネットワークは、2021年8月末時点で5Gが下り最大4.2Gbps / 上り最大 480Mbpsに、4Gでは下り最大1.7Gbps / 上り最大131.3Mbpsに対応しています。
「home 5G HR01」が対応する通信速度は、5Gで下り最大 4.2Gbps / 上り最大 218Mbps、4Gではネットワーク側のフルスペックである下り最大1.7Gbps / 上り最大131.3Mbpsに対応しています。ちなみに「home 5G HR01」の5Gでの上り通信速度がネットワーク側の理論値を下回る理由は、5Gのミリ波帯に非対応のためです。
LAN側のWi-Fiは、Wi-Fi 6をサポートしており、通信速度は1201Mbps。2.4GHz帯と5GHz帯で別々のSSIDを設定できるため、5GHz帯をサポートしていないデバイスを2.4GHz帯に繋ぎつつ、パソコンやスマートフォンなどを高速な5GHz帯に接続することも可能です。Wi-Fiの同時接続台数は最大で64台。有線LANの通信速度は1000Mbps(1Gbps)で、背面にポートが1つ備えられています。
「home 5G HR01」が対応する料金プランは、専用プランの「home 5G プラン」で、月額料金は4950円です。定期契約による割引や違約金はありません。
また、ドコモのファミリー割引グループ内でギガホ・ギガライトなどのプランでスマートフォンを契約していると、1回線ごとに最大で月額1100円の割引が適用されます。
プラン名 | データ容量 | 利用料 (月額、割引適用前) | home 5G セット割 | みんなドコモ割 3回線以上 | dカードお支払割 または2年定期契約 | 割引適用後料金 | ホームルーター料金と合算 |
5Gギガホプレミア | 無制限 | 7315円 | -1100円 | -1100円 | -187円 | 4928円 | 9878円 |
~3GB | 5665円 | 3278円 | 8228円 | ||||
ギガホプレミア | ~60GB | 7205円 | 4818円 | 9768円 | |||
~3GB | 5555円 | 3168円 | 8118円 | ||||
5Gギガライト ギガライト | <ステップ4> ~7GB | 6765円 | 4378円 | 9328円 | |||
<ステップ3> ~5GB | 5665円 | 3278円 | 8228円 | ||||
<ステップ2> ~3GB | 4565円 | -550円 | 2728円 | 7678円 | |||
<ステップ1> ~1GB | 3465円 | 対象外 | 2178円 | 7128円 | |||
オンラインは手数料無料、店頭は即日開通が魅力
「home 5G HR01」は、ドコモショップや家電量販店などの店頭のほか、公式オンラインストア「ドコモオンラインショップ」で申し込めます。
ドコモショップや家電量販店で申し込むと即日で受け取れるため、急に決まった引っ越しなどでインターネット回線が急ぎ必要となる場合でも、固定回線として使えるインターネット環境が即日整います。
オンラインショップでの申込みは、契約時の事務手数料が無料になるほか、好きな時間に手続きできるメリットはあります。
なお「home 5G HR01」は事前予約が多数あったため、すぐに購入ができず予約が必要となるほか、商品が入荷した場合でも申込み~受け取りまで、1週間~10日程度を要するケースがあるとされています。
今回試用品とは別に、実際に筆者が事前予約のうえドコモオンラインショップで発売日に購入(申込み)をしたところ、注文の翌々日には受け取りができました。
このため、申込時の本人確認書類や申込み内容などに誤りが無く、通常通りに申込みが受付された場合には、ドコモオンラインショップでの通常スケジュール通りの翌日に発送、翌々日に受け取りできるようです。
「設置するだけ」で使える、オンライン契約時は"開通"をお忘れなく
「home 5G HR01」は携帯電話各社のスマートフォンと同様に、本体にSIMカードを入れて電源をつけるだけでインターネット接続が完了しますが、オンラインでの契約時は 契約者自身が"開通"作業 を行う必要があります。
実際にスマートフォンやタブレットなどからインターネットに接続するためには、Wi-Fi接続のためのパスワード入力またはWPSを使って「home 5G HR01」との接続が必要となりますが、固定回線とは異なり宅内工事そのものが不要であったり、ルーター側にプロバイダーのIDやパスワードなどの接続情報などを入力せずとも、インターネットに繋がるようになるのは手軽です。
本体底面には、詳細設定用および初回Wi-Fi接続用のQRコードが印字されているほか、SSID、パスワード、IMEIなどの各種情報が確認できます。
なお、「home 5G」サービスは設置先として NTTドコモに届け出する住所以外では利用が禁止 されています。
このため、回線としてはモバイル回線を使うサービスでありながら、モバイルWi-Fiルーターやスマートフォンのように、モバイルして使うことは仕様上できません。
ドコモオンラインショップでの申込時の注意点として、ドコモオンラインショップより手続きを行います。このとき、開通作業を行うためのインターネット接続手段は、「home 5G HR01」とは別に必要となりますので、別途スマートフォンなどが使える環境が必須です。開通手続きはドコモインフォメーションセンターへの電話でも手続きできますが、受付時間は9時~20時です。
設定画面
管理画面(デフォルトでは http://web.setting/ または 192.168.128.1)にアクセスすると、ネットワークのステータスやデータ通信量、接続中の端末リストなどが表示されます。
設定周りで気になるのは、本体上部にあるLEDインジケーターをオフにする方法がない点。本機を寝室に設置する場合は、LEDインジケーターを暗くしたり、時間帯によってオフにしたりすることができない点に留意しましょう。
今回お借りした機材では、詳細な管理画面へのログインは行えなかったため、管理画面の詳細については別の機会でご紹介できればと思います。
固定回線として使える?
試用した数日間で、合計約30GB(うち1日は15GB以上)を超える通信を使いましたが、特定の時間帯やアプリケーションを利用中に通信速度が著しく低下するなどの影響は感じませんでした。
通信速度制限について、ドコモのWebサイトでは「当日を含む直近3日間のデータ利用量が特に多い場合は、それ以外のユーザーと比べて通信が遅くなる場合がある」としており、直近の3日間または月間のデータ通信量に基づいた一律の制限は行われません。少なくとも現時点では、極端に通信量が多い使い方をしなければ、速度制限は適用されないようです。
ただし、筆者が「home 5G HR01」を設置した場所では、4Gと5Gをいったり来たりする環境であったためか、1〜2分程度通信が正常に行えない事例が1日の間に何度か発生しました。それでも、パソコンやタブレットなどでのインターネット接続、Fire TV経由での動画視聴、オンライン会議などに支障なく利用できたため、固定回線として十分使えると言えます。建物の都合などで高速なインターネット回線が契約できない場合には、有力な選択肢となるでしょう。
基本的には固定回線として不満なく使えた「home 5G HR01」ですが、物足りなさを実感するのは大容量のファイルをクラウドサービスなどにアップロードする"上り"の通信。「高画質の動画や大量の画像をアップロードする用途に使いたい」という場合には、モバイル回線と比較して上りの通信速度が優位な固定回線を検討した方が良いでしょう。
宅内でも設置する場所次第で変わる速度
また「home 5G HR01」で快適な通信環境が得られるかどうかは、自宅や事務所などサービスを利用する場所でのドコモの電波状況の良し悪しに大きく依存します。たとえば、筆者が試用した環境では、マンション室内でも設置場所を変更することで通信速度が大きく改善しました。
近くにあるドコモの5G基地局側の窓際に設置すると、下り通信速度が200Mbpsを超えるなど改善されたほか、“まれに通信が不安定になる現象”も発生しなくなりました。このように、同じ家の中でも最適な設置場所を見つけることができれば、快適に使うことができそうです。
本体を窓際に設置すると、日中時間帯は太陽光によって本体温度が上昇しやすい環境となりますが、本体温度の上昇が理由と思われる性能の低下などはありませんでした。過去、筆者が試した5G対応のモバイルWi-Fiルーターの中には、本体の発熱や太陽光などによって温度上昇が上昇すると動作が不安定になる機種もありましたが、「home 5G HR01」を一般的な住宅に設置して使う限り、過度に心配したり対策したりする必要はないでしょう。
このほか、筆者が実際に契約した「home 5G HR01」で確認してみると、spモードの「通信の最適化」がデフォルトで適用される状態となっていました。通信環境が良好で通信速度に不満を感じない場合や、動画や画像などを本来の品質で楽しみみたい場合には通信の最適化を無効にすると良いでしょう。通信の最適化の非適用化は「my docomo」で手続きできます。