レビュー

「Pixel 4」の天体撮影モード、首都圏でも星空は撮れるのか?

 10月24日に発売された「Pixel 4」の特徴のひとつは「天体撮影モード」だ。

 星がきらめく夜空を撮影できるという話だが、「それって、普段の生活のなかで撮れるのか?」という疑問がつい湧いてしまった筆者。もし空気のきれいな山間部じゃないとダメ! となれば、筆者にはPixel 4での「天体撮影」がちょっと縁遠くなってしまうが、自宅からほど近い場所でも撮れるのなら、子供と一緒に星空を楽しめるかもしれない。

 そこで今回、自宅近くの公園で、オリオン座が撮影できるか、チャレンジしてみた。

スマホホルダーは100円ショップで入手したもの。以前から保有していた三脚に取り付けて撮影することに

天体撮影モードへの切り替え方法

 「Pixel 4」の特徴のひとつである「天体撮影モード」は、発表時、天の川を美しく捉えた写真で話題になった。その機能は、どうやって使えるようになるのか。

 先代モデルの「Pixel 3」でも十分、美しい夜景を撮影できるようになっていたが、今回のPixel 4でも、手で持ちながら夜景モードを手軽に利用できることに変わりはない。

 ただ「天体撮影モード」へ、どうすれば切り替えられるか、Pixel 4のカメラメニューを見ていても、ちょっとわからないのだ。

 グーグルのサポートページでは、「三脚や岩の上など安定した場所に置き、ぶれないよう安定させたら(三日月マークの)キャプチャアイコンをタップする」としている。

静止させて2秒ほどで「天体写真撮影ON」と表示

 そこで、そのガイダンス通り、三脚に「Pixel 4」を固定して据え置いたところ、画面に「天体写真機能ON」と表示された。

 ここでPixel 4を手にすると、その表示がすぐ消えてしまった。どうやら、本体が揺れていないかどうか検知し、静止している状態であれば「天体撮影モード」をONにするようだ。

天体撮影は4分ほどかかる

撮影する場所

 一方、撮影する場所についてはどうだろうか。グーグルのサポートページで「街の灯りが少ない場所に移動し、日没後90分以上経ってから撮影を開始することをおすすめします」とある。

今回撮影した場所を通常の夜景モードで撮影

 今回は、運良く雲のない夜、東京都と埼玉県の県境である荒川近くの公園内をチョイス。街灯がうまく木々で遮られた場所に三脚を据えて撮影することにした。人の目では、周囲は真っ暗……だが荒川沿いには多くの街灯もある。山間部のような環境に比べれば、かなり明るい。果たしてこんな環境で、本当に星は撮れるのだろうか、といぶかしみながら撮影に挑んだ。

星空撮影は4分程度

 三脚に固定して、「天体写真機能ON」と表示された状態でシャッターボタンを押すと、4分程度でタイマーのような表示に切り替わる。10月15日に開催されたグーグルの発表会での説明によれば、天体撮影モードでは、16秒の露光で15枚の写真を合成している。細かく撮影して合成することで、4分間で1枚を撮影することに比べて、星が動かない形での写真になるという。

中央にオリオン座(拡大画像は元ファイルです)

 では実際どんな写真が撮れたのか……星座に詳しくない筆者が知る、数少ない星座であるオリオン座は、腰のあたりにある三連星や、右肩にあるベテルギウスだけではなく、三連星のやや下にあるオリオン大星雲とおぼしき光もわかる。

オリオン座の一部と冬の大三角形を線で結んで表わしてみた(拡大画像は元ファイルです)

 そうした肉眼でも見つけやすい星々の周囲にある、さまざまな星の姿も記録されている。さらにオリオン座の左を見れば、うまく「冬の大三角形」らしき姿もあった。

 さらにオリオン座だけにズームして撮影することもできた。Pixel 4では最大8倍までのズームができるが、今回は2.2倍での撮影だった。ズームして、少し待つと画面上に「天体写真機能ON」と出るので、そこでシャッターを切るだけ。それなりにわかりやすくオリオン座や、周囲の星々を写真に収めることができた。

オリオン座だけにズーム(拡大画像は元ファイルです)

 続いて、Pixel 4をほぼ天頂に向けて撮影してみた。何が写るかわからないままの撮影だったが、約4分後、写真の左側に目を引く星々がある。ややオレンジ色に見えるのがおそらくアルデバラン。牡牛座の瞳にあたる星だ。その右下にある点が集まったようなところはプレアデス星団。日本では「すばる」として親しまれてきた星だ。

アルデバランやすばる(拡大画像は元ファイルです)
印を付けてみた(拡大画像は元ファイルです)

自宅からすぐの場所で星空を観察できる楽しみ

 ここまで触れた星々は、あまり詳しくない筆者でも知っているほど、多くの方にとって馴染みあるもの。だが、写真を拡大してみると、もっともっと多くの星が記録されていることがわかる。星座に詳しい人であれば、三脚を用いたとはいえ、Pixel 4で撮れるという手軽さの価値をご理解いただけるのではないだろうか。

 しかも、空気の澄んだ山あいではなく、少し住宅地から離れた場所とはいえ、首都圏で撮れた。大きな道具を持ち運んで、しっかりと観察するのも一手だが、ちょっとした楽しみとして星空観察を日常に取り込めるのでは? と思えるほど。

 ちなみに星空と言えば「天の川」をやはり撮影したくなる。今回、筆者が撮影に挑んだ際(11月上旬の深夜)には、天の川は地平線より下に多くある状態だったようで、目にすることはできなかった。

 ただ冬でも比較的早い時間(19時~21時ごろか)は、多くの部分が地表より上にあるよう。とはいえ、地表にほど近い場所のようなので、その方向に向かって開けた場所、それも街の明るさがあまりないところをなんとか探し出して、撮影してみたくなる。都市部での撮影は難しい気はするが、今後、あらためてチャレンジしてみたい。

取材で訪れた新潟県魚沼市で撮影した写真。この日は曇で、星はまったく撮影できなかった(拡大画像は元ファイルです)
同じ場所を天体撮影モードで撮ったら、肉眼では見えなかった建物の姿が記録されていた(拡大画像は元ファイルです)

 そして天体撮影モードで、星空ではなく、目の前にある風景を撮ってみるとその実力は空恐ろしく感じるほど。カメラに詳しくなくとも、星座に詳しくなくとも、スマートフォンとちょっとした三脚、ねじ穴のついたスマホホルダーを手にして、星空をもっと身近に感じるのもオススメだ。