レビュー

月額600円の「Apple Arcade」にどんなゲームがある? iPhoneやApple TVで体験してみた

 アップルがこの秋に導入した新サービス「Apple Arcade(アップル アーケード)」は、月額600円でさまざまなゲームを楽しめる定額制サービスだ。

 追加料金なし、広告もなしという環境で、100以上のタイトルがラインアップされる。iPhoneだけではなく、iPad、Mac、Apple TVでもプレイでき、「外出中はiPhone、帰宅してからApple TVに切り替えてPlayStation 4のコントローラー(DUALSHOCK 4)で遊ぶ」といったシームレスな体験も実現している。

 パズルやアクション、ストラテジー、RPGなど多彩なジャンルのゲームがラインアップされるとうたう「Apple Arcade」には、どんな作品が用意されているのか。その一部を今回ご紹介しよう。

不朽の名作がApple Arcadeで「Frogger in Toy Town」

 「Frogger in Toy Town(フロッガー イン トイタウン)」は、クルマが絶えず走る道路や、さまざまな障害物を避けながら、カエルをゴールまで導くアクションゲーム。

 カエルを前方向へ操作していくというシンプルな流れだが、途中で見つければ高得点になる子ガエルを全て探したり、クルマのスピードを見て間合いを計りながら道路を横断したりする場面は、ついつい熱中してしまう奥深さがある。

 もともとは38年前に生み出されたゲームで、現代のグラフィックに仕立てつつも、往事と変わらない楽しさを今に伝えており、そのゲーム性は色あせていない。

 原稿を書く際、ついつい遊びすぎてしまった筆者は、iPhoneだけではなく自宅のテレビ画面に映し出しながら、小学生の子供と一緒にワイワイと遊びたくなった。iPhoneでプレイする際には、縦向き、横向きでステージの見え方が少し変わる。立ちはだかる障害物にあわせて画面の向きを変えて遊ぶ、といったスマホならではの操作感も楽しめる作品だ。

Sayonara Wild Hearts

 「Sayonara Wild Hearts(サヨナラ ワイルドハーツ)」は、夢の中のような街を、時速200マイルで駆け抜けながら、スピーディで没入感のあるレースゲームと、リズムにあわせてタップしてプレイする格闘シーンという2つのゲームがミックスされた作品。「Switch」向けにも提供されているが、Apple Arcadeの遊び放題コンテンツのひとつとして収録されている。

 筆者にとって、こうしたアクションゲームは得意ではないが、スピードに慣れるに従い、その操作はさほど難しいものではないといった印象を受けた。とはいえ、ステージをクリアするたびに新たな仕掛けが登場するようなので、腕を磨いてプレイしたくなる。全てオリジナルという楽曲は、別途、Apple Musicでも配信中。

深世海 Into the Depths

 Apple Arcade向けに配信されるカプコンの「深世海 Into the Depths」は、人類最後の生き残りが、深海を探査するというアクションゲーム。劇中の音は、水中にサウンドを流し、それをさらに水中で録音したというこだわりの出来映え。ビジュアルも深海らしい暗さの中ながら、高精細に描かれた浮遊感のある世界で、サウンドとあわせもって高い没入感を実現した。

 深海探査とあって、プレイヤーのライフは「残りの酸素量」で表現される。アイテムを集めて武器を作り、敵と戦いながら生き延びていくというスリルを味わえる内容。iPhoneで手軽に電車のなかでプレイというよりも、自宅でPS4コントローラーとともにじっくり遊びたくなる。

VARIOU DAYLIFE

 日常×冒険RPGというジャンルを提唱するスクウェア・エニックスの「VARIOUS DAYLIFE(バリアス デイライフ)」。タイトルの通り、“多彩な日常”を送りながら冒険を繰り広げるという内容で、普段は街中でさまざまな仕事をこなして、自キャラクターを成長させる。

仕事を選ぶ
毎日働くとボーナス
仕事の内容によって変化する能力が異なる。失敗すると向上する量が減るとのこと

 そして冒険に出る際には「○日間かかる」ことを前提に、食料をあらかじめ持っていき、体力の消費を抑えながらモンスターと戦い、新天地を旅する。

持っていくアイテムと食料の量に限りがある
冒険へ行く際のストーリー

 バトルシステムはターン制、コマンド選択という馴染みのある形ながら、仕事で得た能力をもとに、敵に水を掛けて雷に弱くするといった仕掛けを採用。仲間のキャラクターと連携してさらに戦いを有利に進められるようになっている。また仕事というミッション/タスクをクリアしてキャラクターの育成を図り、冒険の際に食料を管理するというリソースマネジメントで、新たなゲーム性を生み出した。

操作は定番な雰囲気のバトル
仕事で覚えた技で、敵に水を掛けたところ

 その一方で、迷路のようなダンジョンは省かれ、スマートフォンでサクサクプレイできるよう仕上げられた。通勤通学の際にも楽しめるよう開発された作品で、“時間泥棒”の予感がするコンテンツ。RPG好きなら一度はプレイしたくなる内容だ。

ダンジョンはなく移動画面はシンプル

ソニックレーシング

 「ソニックレーシング」はソニック・ザ・ヘッジホッグらのキャラクターが登場する本格的なレースゲーム。コース上に落ちているアイテムを活用して、対戦相手の邪魔をしながら、抜きつ抜かれつのスピーディな競争を楽しめる。

 爽快感のあるグラフィックの中、曲がりくねるコースをApple TV&PS4コントローラーで疾走してみると、家庭用ゲーム機と遜色ない印象をもたらす。

今後もゲームはさらに追加

 今後もゲームタイトルは追加される予定とのことで、11月には「Takeshi and Hiroshi(タケシ アンド ヒロシ)」「Guildings(ギルディングス)」といった作品が追加される。

 たとえば「Takeshi and Hiroshi」は、中学二年生の兄が作ったゲームを幼い弟が遊びたいとせがむ。しかしまだゲームは完成していないという状況の中、弟の前でゲームを作ったと半ば嘘をついていた兄は、弟の期待を裏切らないよう、ゲーム上に敵を配置し、弟を楽しませようとする――という凝った設定のゲーム。プレイヤーは兄となってゲームを文字通り“操作”して、弟がドキドキしながら、満足感を味わえるよう難度を調整していく。

Takeshi and Hiroshi
画面内に置かれたオブジェクトの輪郭で遊ぶ「spek」。オブジェクトの向きを変えて遊ぶシンプルな内容だが、影などが描かれておらずオブジェクトの全景がわからない中で、プレイすると、見えないモノの形を推理するかのような思考になって遊ぶことになる
ARプレイにも対応。この場合、オブジェクトは置いた場所から動かない。ユーザー自身が移動して、視点を変えてプレイする

 ライトなゲームだけではなく、アクション、RPG、レースといった多くのジャンルが揃えられている「Apple Arcade」。すでにiPhoneで多くのゲームを楽しんでいる人にとっては、すぐに手が出すかどうか悩むかもしれないが、iPadやMac、Apple TVと他の機器でもプレイでき、さらには月額600円で家族6人まで楽しめることを考えると、オトク感があると考える人もいるはず。

 自宅では家族でSwitchやPlay Stationを楽しみ、外出中はスマートフォン向けの各種ゲームを楽しむ筆者は、まだまだ既存の環境を楽しんでいくつもりだが、今後追加されるタイトル次第では、ゲーム専用機よりも魅力があるという声が出てくるかも? という未来まで想像してしまった。サブスクリプションサービスながら、初月無料とのことで、興味のある人はひとまずプレイしてみるのも良いだろう。