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「HTC J One」説明会、チョウ氏「情熱を感じてほしい」
(2013/5/21 11:47)
HTC NIPPONは、5月20日にKDDIから新端末「HTC J One」(HTL22)が発表されたことを受け、同日夜に端末メーカーとしての説明会を開催した。HTC本社のCEO、ピーター・チョウ氏が登壇したほか、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏もゲストとして登場、ブロガーも招待されたパーティ形式の会とあって和やかな雰囲気のトークショーも行われた。
最初に登壇したHTC CEOのピーター・チョウ氏は、「アジアは市場として大きな勢いがあり、スマートフォンのトレンドセッター。日本はその最前線。HTCは常にチャレンジしていきたいと考えており、ブレイクスルーのためのリスクも取っていく。革新的な体験を提供したい」とスマートフォンに注力する同社の意気込みを語る。
また、「HTC J One」のベースとなったグローバル市場向けの端末「HTC One」は、すでに発売された地域で好評を得ているとしたほか、一日中絶え間なくスマートフォンで情報を確認するユーザーの行動の変化を指摘し、ソフトウェアの面でもこうした流れに追随していく姿勢を示す。「伝統的なスマートフォンができないようなことを、HTC J Oneで提供したい」と語り、使い勝手も含めて常に躍進を求めていく同社の意気込みをアピールした。
チョウ氏の挨拶が終わると、特別ゲストとしてKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が登場し、トークショーを行った。田中氏は、同端末に新たに搭載されるホーム画面上の機能「BlinkFeed」について、「auスマートパスもミックスして表示されるようになっている。使いやすいのでぜひ使って欲しい」とアピールすると、チョウ氏も「一度使うと病み付きになる。必要な情報がすぐに出てくるようになる」と応えた。
田中氏は、「BlinkFeed」に代表される取り組みについて、「端末メーカーと端末を購入する側(キャリア)という関係だけでなく、ソフトウェアでも協力している。これで、ひとつ上のステージに上がったのかなと思う」と語り、メーカーとの協力体制が新たな段階に進んでいることを印象づけた。田中氏は、カメラ(ZOEモード)でお気に入りというビデオハイライト機能にも言及すると、チョウ氏は「この二人のCEOの情熱を感じて欲しい」と集まったブロガーや報道陣に語りかけ、緊密に連携している様子をアピールした。
「BlinkFeed」、カメラ、端末デザインなどを解説
端末の具体的な機能については、HTC 商品企画バイスプレジデントの伊藤泰氏から解説された。伊藤氏は「ホームスクリーンの進化」「更なるサウンドの進化」「新しい写真の撮り方」「革新的なデザイン」の4つの項目を挙げて解説する。
「ホームスクリーンの進化」は「BlinkFeed」を指しており、頻繁に利用するSNSなどの機能を集約しホーム画面から手軽に確認できる様子を紹介した。サウンド面では、「HTC J」「HTC J Butterfly」で搭載している「Beats Audio」によるチューニングや専用チップの搭載に加えて、映像と音楽を一緒に楽しむ機会が増えているとし、ディスプレイ側にステレオスピーカーを搭載したことがポイントであるとした。
メインカメラが400万画素で、表面的なスペックでは多くのスマートフォンに劣るが、伊藤氏は「新しいアプローチをとった。現在は800万~1300万画素が主流で、一般的に画素が多いほど画質が良いと思われている。しかし、より綺麗な写真を撮るためにはセンサーに多くの光を取り込むことが大事で、そのために重要なのはセンサーのサイズを大きくすること。HTCは独自のセンサーを開発しており、これはスペック競争に勝つために再定義されたカメラ」とカメラの仕様について説明する。
この大きなセンサーを搭載したカメラは「暗い場所で威力を発揮し、センサーが大きいのでノイズも少なく、シャッター速度を上げられることで手ぶれを軽減する効果もある」とメリットを解説した。また、「ZOEモード」ではシャッター前後の数秒を連続した静止画や動画の撮影を組み合わせて記録でき、さらにそれらを活用してギャラリーや音楽と合わせたビデオを自動的に作るといった新たな楽しみ方も紹介した。
デザイン面では、フルメタルとする金属素材にこだわったボディが特徴。手触りや質感にこだわりを見せており、ボディに含まれる一部の金属をアンテナとして利用するなど、技術革新にも言及した。なお、このメタルボディの実現を優先するため、防水への対応は見送られている。
この後、ステージにはITジャーナリストの西田宗千佳氏が登壇し、伊藤氏とトークショーを行った。西田氏は、「文句をあまりつけようがない製品。ひとつひとつのスペックを見ていくと、この端末よりすごいものは他にもあるが、使ってみると満足度が高い」とバランスの良さを指摘。伊藤氏は、「スピーカーは(一般的には)なぜか背面にあるが、これはおかしい。こんな単純なことも改善していった」と、使い勝手を中心に据えて、従来の常識に囚われること無く開発している様子を語る。
西田氏が、さまざまな点を含めて「HTCの考えているベストバランスがHTC J Oneに集約されている?」と向けると、伊藤氏は「そのとおりで、単純にスペックを上げていくことはしない」と、スマートフォンのスペック競争に一石を投じていく姿勢を改めて示した。