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サムスン、スマートウォッチの生体信号をAI解析 「ヘルス基盤モデル」研究

 サムスン電子(Samsung Electronics)は、ウェアラブル端末で取得される生体信号を分析するAI技術として、2つの「ヘルス基盤モデル」の研究成果を紹介した。

 Samsung Research AmericaのDigital Health Teamが研究を進めているもので、生体信号同士の関係を学習する「xMAE」と、異なる時間軸の健康データを分析する「HiMAE」が開発されている。

生体信号から健康に関する特徴を学習

 ヘルス基盤モデルは、ラベル付けされていない生体信号データから、健康に関係する特徴を学習するAIモデル。大規模な健康データで事前学習することで、生体信号の解析やバイオマーカーの開発、既存バイオマーカーの精度向上、健康リスクの予測などへの活用が想定されている。

 サムスンの研究者は、ウェアラブル端末向けとして「xMAE」と「HiMAE」の2モデルを発表した。xMAEの研究は国際機械学習会議「ICML」、HiMAEの研究は「ICLR」で採択された。

xMAE、PPGから心臓の状態を分析

 xMAEは、異なる種類の生体信号が時間の経過のなかでどのように関係するかを学習するモデル。

 心電図「ECG」は心臓の電気的活動を直接測定できる一方、一般的にはユーザー自身による測定操作が必要になる。光電容積脈波「PPG」は、血流の変化から心臓の働きを間接的に測定するもので、スマートウォッチなどを使って継続的に測定できる。

 xMAEでは、PPGデータからECGデータの一部を再構成し、2種類の生体信号の時間的な関係を学習する。これにより、手動でECGを測定しなくても、継続的に取得できるPPGから心血管の健康に関係する特徴を分析できる可能性がある。

 研究チームは、約9400時間分のECGとPPGのデータを使ってxMAEを事前学習した。

 心血管疾患の予測、異常な検査結果の検出、睡眠段階の分類など19種類の評価タスクでは、15項目で単一の生体信号モデルや既存のマルチモーダル学習手法を上回ったという。

HiMAE、短期から長期までの変化を分析

 HiMAEは、ウェアラブル端末から取得したデータを複数の時間幅で学習するモデル。

 健康データは分析する時間の長さによって得られる情報が異なる。短時間のデータでは心拍などの急速な変化を捉えられる一方、長期間のデータからは睡眠や身体活動などのパターンを把握できる。

 HiMAEでは複数のエンコーダーを使い、短時間と長時間のデータを個別に分析する。心拍数の解析や睡眠予測など、それぞれの健康タスクに必要となる情報を適切な時間幅から取得する。

 事前学習済みの1つのHiMAEモデルで、分類、数値予測、データ生成に対応できる。

 また、既存モデルより小型化しながら性能を高め、スマートウォッチ級のCPUでも1ミリ秒未満で結果を出力できるという。クラウドサーバーに依存せず、生の健康データをリアルタイムで解析するオンデバイス型のヘルス基盤モデルとしての活用が想定されている。

 サムスンでは今後、さまざまな生体信号で利用でき、限られたセンサーやコンピューティングリソースでも端末上で動作する健康関連機能の実現に向けて、ヘルス基盤モデルの研究を進めるとしている。