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「行き着く先は周波数シェアリング」、JTOWERが描く5Gインフラの将来像

 携帯電話サービス向けのインフラシェアリングサービスを提供するJTOWERが、周波数シェアリングに向けて取り組みを進めている。インフラシェアリングを通じて、ネットワーク品質の向上に貢献したいと語るのは、21日に報道陣向けの説明会に登壇したJTOWER 代表取締役社長の田中敦史氏だ。

順調に実績を伸ばすJTOWER

 6月時点で、JTOWERの累計導入物件数は全国874件。建物は全館でJTOWERの設備が導入されるケースと、部分的な対策の2種類があり、同社による対策が施された延床面積としては、3348万平方メートルで、東京ドーム700個分ほどに相当するという。

 屋外シェアリングについては、NTTドコモなどからの鉄塔の移管はすでに完了しており、新設した分を含めて総運用数は7498本にのぼる。「2027年国際園芸博覧会」のインフラシェアリング事業者へ選出されており、屋外タワーシェアリングによる会場全体の通信環境整備を担う予定となっている。

 また、保有する鉄塔のメンテナンスの効率化に向け、アラヤと共同でドローン撮影とAI解析を活用した独自の鉄塔点検システムも開発している。高所作業のリスクを減らすだけでなく、将来的には他キャリアの鉄塔点検も一括で担う「共通運用プラットフォーム」への発展も見据える。

 屋内シェアリングの導入物件数の増加に加えて、タワー事業も移管が進み、新設も増えるなど、事業進捗は順調で2025年度の売上高は176億円となった。今後、2030年度に累計導入実績3000件、屋外タワーシェアリングでも中長期的に3万本運用体制を目指す。

地下鉄仕様のRUや上高地でのエリア対策も

 屋内外でのインフラシェアリングを進める一方、JMCIA(移動通信基盤整備協会)の協力事業者として、地下鉄での対策も進めている。新たに、過酷な環境となる地下鉄向けの新型RU(無線装置)も開発した。

 防塵仕様かつ、スペースの限られる地下鉄で効率よく設置するため、同社の既存装置と比較して34%ほど装置容量(大きさなど)を削減した。対応周波数を3.7GHz帯としたうえで高出力化しつつ、消費電力も45%削減している。2027年に導入が始まる見込み。

 また、長野県松本市の上高地「横尾地区」において、インフラシェアリングで通信環境を整備する協定書を同市と結んだ。携帯各社が個別に整備するのに比べて、スペースを削減できるため、景観への配慮へつながるなどのメリットがある。建設による自然環境への負荷も軽減できる。2027年の開山期のサービス開始を予定している。

「周波数シェアリング」実現に向けて

 インフラシェアリングは、中継装置のシェアリングから、無線装置の共有までグラデーションがある。シェアリングの領域が拡大すればするほど、技術的に難しい部分が出てくるが、効率的なネットワーク整備が可能になる。

 JTOWERは、従来の装置の共有の域を超えてMOCN(Multi-Operator Core Network)などの技術を用いた「周波数シェアリング」を目指す。7月には地域枠の5G向け周波数26.8GHz~27.0GHz帯の割り当てを受けている。落札金額は約4億6900万円で、JTOWER 代表取締役社長の田中敦史氏は落札価格について「どれだけの価値を創出できるか次第。振り返った時に、本当に安い金額で獲得できていたと言えればいい」と語った。

 獲得した13地域には、同社の既存導入物件が多い東京23区や大阪、神奈川といった大都市圏に加え、TSMCの進出で沸く「熊本県菊陽町」や、ラピダスの開発拠点がある「北海道千歳市」など、将来的に極めて高度なミリ波需要が見込まれる最先端エリアを戦略的に選定している。

JTOWERは装置も独自に開発している

 田中社長は周波数シェアリングについて「シェアリングの行きつく先は周波数シェアリング」だと認識を示し、従来から重要な戦略のひとつだったと説明する。

 一方で、技術的にも法的にもクリアすべき課題は残っており、キャリアなどとの協議を重ねて実現に向けて進む。サービス開始時期は検討中で、需要の調査や端末の対応などの動向も見たうえで決める。

 さらに、インフラシェアリングの普及を業界全体で加速させるため、同社は7月23日、Sharing Design、JMCIAとともに「インフラシェアリング推進協議会」を設立した。10月の本格始動に向け、想定を上回る企業から入会の意向が寄せられているといい、インフラシェアリングに関心を持つ企業に向けた賛助会員の枠組みも検討する。

 田中社長は、通信回線のスピードテストを世界的に行っている米国企業の調査結果をもとに、日本のネットワーク品質が相対的に落ち込んでいることを指摘。同氏が言及した結果は固定ブロードバンドが28位、モバイル通信速度は68位だったという。

 「もちろん一調査機関の結果にすぎず、絶対ではない」とことわったうえで「個人的にはモバイル通信の速度を国際ランキング20位以内に押し上げたい。我々のインフラシェアリングを通じてそこに貢献したい」と決意を示した。