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YouTubeショッピングで楽天市場に送客、「Vコマース」強化で変化する顧客層に対応

 グーグル(Google)は19日、日本国内の動画プラットフォーム「YouTube」で、「YouTubeショッピング アフィリエイトプログラム」を開始すると発表した。国内初のパートナーシップとして、楽天市場が参加し、動画作成者が楽天市場の商品で利益を上げられるようになる。

動画制作者がより手軽にアフィリエイトで収益を上げられるように

 「YouTubeショッピング アフィリエイトプログラム」は、条件を満たした動画制作者が参加できるアフィリエイトプログラム。動画に関連した商品をタグ付けすることで、動画の視聴ページに商品欄が登場する。その商品欄から視聴者が商品を購入すると、動画制作者に利益の一部が還元される。

対象の動画には「商品を表示」ボタンが表示され、押すと「商品欄」が表示される。商品を押すと直接楽天市場の商品ページにアクセスできる

 動画制作者は、チャンネルを管理する「YouTube Studio」の「収益化」メニューからYouTubeショッピングに参加できる。動画投稿時に、タグ付けする商品を商品名やブランド名、販売ページのURLなどで検索し、商品を追加、保存すると、選択した商品をタグ付けできる。タグ付けされた商品は、視聴ページに反映され、収益化につなげられる。動画の説明文からAIが商品を自動で検索してタグ付けする機能も用意されており、今後動画の内容をAIが分析して商品を探す機能も開発しているという。

 YouTubeショッピングの商品タグは、長尺動画とショート動画で最大60個、ライブ配信で最大30個付けられる。

 あわせて発表された楽天グループとのパートナーシップは、商品検索で楽天市場で販売されている商品が、YouTubeショッピングで検索できるようになる。ユーザーは、楽天アフィリエイトなどからわざわざURLを取得しなくても、より手間なく収益化につなげられるようになる。

購買につながるユーザーの変化

 グーグル日本法人代表の奥山真司氏は、YouTubeの立ち位置を「単なる動画配信のプラットフォームから個人の創造性を発揮する巨大な経済圏を生むクリエイターエコノミーの拠点へと進化している」と説明。

グーグル日本法人代表の奥山真司氏

 第三者機関の調査では、YouTubeが日本のGDPのうち4600億円分貢献しており、8.5万人のフルタイム相当の雇用を創出したという結果がある。このほか、チャンネル登録者数10万人を達成したチャンネルが1万4000以上、チャンネル登録者数100万人を達成したチャンネルは1000以上あると奥山氏は語る。YouTubeの収益化という点では、YouTubeから年間100万円以上の収益を得ているチャンネルは、2023年→2024年の1年間で15%以上増加しており、収益化につなげられているチャンネルが増加傾向にある。

 奥山氏は「クリエイターがYouTubeで利益を得て、それを情報収集や雇用などコンテンツ作りに役立てられるポジティブな循環がYouTubeのクリエイターエコノミーを支えている」と、YouTubeでの動画制作に、収益化は切っても切れない関係にあると説明する。

 一方、広告主にとっても「ブランドと消費者の関係性が劇的に進化している」と奥山氏は指摘。かつては、広告を通じたブランド認知が購入の出発点だったが、現在ではこれに加え、「自分が信頼するクリエイターの言葉を通じて納得を得る」ことが、視聴者の行動につながると分析する。

 「クリエイターの情熱と視聴者の信頼がむずびつくことで、従来のeコマースとは一線を画す新しい購買体験が生まれる」と奥山氏は語り、今回の取り組みは「この信頼の連鎖を強固にかつシンプルにビジネスへとつなげる大きな一歩」とした。

クリエイターの新たな収益源に

 「必要なものを探すだけでなく、信頼する、あるいは好きな人が勧めるからほしいという新しい購買体験が起きている」と話すのは、YouTube Japan代表の山川奈織美氏。山川氏は、グローバルにおけるYouTubeショッピングの現況について「ショッピング関連動画の視聴時間は、2025年だけで400億時間を超えている」と説明。日本でも対前年比で180%としており、ショッピング動画への需要と供給が増えてきていると指摘する。

YouTube Japan代表の山川奈織美氏

 動画制作者の収益化という面で山川氏は「クリエイターは、単なるコンテンツ制作者ではなく、一人ひとりが起業家であると捉えている。これまでも広告収益の分配以外に、スーパーチャットやチャンネルメンバーシップなど、さまざまな収益化ツールを提供してきた」と説明。YouTubeショッピングでは「クリエイターが持つ高い専門知識や影響力を大いに発揮し、新たな収益を得られる方法」と紹介。米国、韓国、インドネシアといった先にスタートしている市場での成功を踏まえ、満を持しての登場だと胸を張った。

Vコマースの流れを加速

 山川氏は、YouTubeショッピングの成功の鍵は「クリエイターやユーザーによって広く使えるものが重要」と指摘。そのために、強力なパートナーシップが必須だという考えのもと、今回楽天市場との連携を実施したと語る。今回の提携により、動画で紹介されている楽天市場の商品を、画面上のリンクからシームレスに楽天市場の商品ページに移動でき、そのまま購入できる。山川氏は「クリエイターには新しい収益を、店舗には熱量の高いプロモーションを、視聴者にはシームレスで快適なショッピング体験をもたらす理想的な循環」だと説明。日本に先行して実施されている韓国のクリエイターの中には、収益が4000%増加したものもあると成果を強調する。

 楽天側のメリットは何か。楽天グループ専務執行役員コマース&マーケティングカンパニープレジデントの松村亮氏は、「eコマースでは、さまざまな環境変化が起きている。ビデオコマース(Vコマース)は特に重要な変化の1つ」と指摘。これまでは、文章と写真で特徴を説明していたが、近年はビデオによる説明が重要になってきており、特にユーザーによるレビューなど店舗からユーザーへの紹介だけでなくさまざまな活動が行われていると分析する。

楽天グループ専務執行役員コマース&マーケティングカンパニープレジデントの松村亮氏

 楽天グループでもROOMやライブコマース、ディスカバリーレコメンデーションなど、さまざまな商品の見せ方に取り組んでいる。たとえば、ライブコマースでは、1配信あたりの流通総額は、2023年から2025年の2年間で約5.7倍に、ROOMの月間アクティブユーザー数は、2023年から2026年の3年間で約41%増加している。今回のYouTubeとの連携は、Vコマースの流れを加速させる大きな活動になると説明する。

 説明会に駆けつけた楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏も「歴史の1ページに残る革命的なパートナーシップ」と評価。松村氏によると、今回の提携では楽天アフィリエイトの仕組みを活用しているといい、今後さまざまなノウハウやイベントなどを提供することで、YouTubeショッピングでの収益拡大をサポートしていくという。

楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏

クリエイターも「革命に感じた」

 一般提供に先立ち、早期テストに参加したヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロ氏は、今回の取り組みについて「本当に革命を感じた」とコメント。動画から購入まで自然につながる体験は、視聴者からも好評だったという。

ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロ氏

 動画を見て「欲しい」と視聴者が感じても、一旦YouTubeから離脱して商品を探す行動に移るなかで「欲しいの熱量が落ちてしまう」と小田切氏は説明。今回の取り組みでは、熱量が維持されたまま購入につながるとし、「クリエイターにとっても、視聴者にとっても、すごくいい形になっている」と評価した。