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KDDIなど4社、商用網で「耐量子セキュリティ」の実証実験 57.6Tbpsの大容量伝送に成功

 KDDIとKDDI総合研究所、ノキアソリューションズ&ネットワークス、東芝デジタルソリューションズは18日、商用ネットワーク上で「耐量子セキュリティ技術」を用いた大容量データ伝送の実証実験に成功したと発表した。

 実験は大阪府内にあるKDDIの大阪堺データセンターと大阪市内のネットワークセンターを結ぶ商用網で行われ、57.6Tbpsという大容量データを遅延なく伝送できた。商用環境下で量子鍵配送(QKD)と耐量子計算機暗号(PQC)の両方を用いたテラビット級のデータ伝送は国内初となる。

 将来、量子コンピューターの性能向上により、現在の暗号技術が解読されるリスクが指摘されている。特にAIの普及に伴いデータセンター間の通信量が増大する中、セキュリティの強化は急務となっている。

 今回の実証では、盗聴しようとすると光子の状態が変わるという性質を利用して、盗聴を防ぐ「QKD」と、量子コンピューターでも解読が困難な次世代暗号「PQC」を組み合わせ、物理層とアプリケーション層の複数レイヤーで暗号化する「多層防御」構成を採用した。

 共通鍵暗号には、広く普及している「AES」とKDDI総合研究所が開発した超高速暗号「Rocca-S」を使用。QKDとPQCで配送された共通鍵を用いてデータを暗号化し、大容量かつ高セキュリティな伝送を実現した。

 今回の実証では単に通信できただけでなく、通信事業者として安定運用するためのモニタリング技術も確立したという。量子通信の品質や鍵の生成状況のリアルタイムを実現した。

 また、大容量通信では暗号化に必要な鍵の量も増えるが、今回のシステムはそれを考慮しても問題ない設計になっている。QKDの伝送距離については、現状100km程度までは中継なしで通信可能であり、関東圏などのAIデータセンター間であれば十分対応できるとしている。

 KDDIは今回の結果を踏まえ、金融・医療機関など高いセキュリティが求められる専用線や、AIデータセンター間接続などにおいて、用途やリスクに応じてセキュリティレベルを選択できる商用サービスの提供を目指す。