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ソニー、「Xperia 1 VII」不具合の原因や再発防止策を改めて説明

 ソニーは10日、報道陣向けに説明会を実施した。説明会では、モバイルコミュニケーションズ事業部の大島正昭事業部長が、スマートフォン「Xperia 1 VII」で発生した不具合について、その原因と対応策、再発防止の取り組みを説明した。

ソニー モバイルコミュニケーションズ事業部 事業部長 大島正昭氏

Xperia 1 VII不具合の原因と現象

 Xperia 1 VIIの不具合は、基板の製造工程で温度や湿度の管理が不十分だったことによる基板自体の不具合が原因と説明された。特に、基板製造における温度・湿度管理の基準が甘かった点が問題とされた。

 この不具合は、Xperia 1 VIIの製造工程の変更に伴って生じたものであり、製品設計上の問題ではなく、工程設計での評価不足が背景にあるとしている。

 発火などの危険はないが、電源が落ちる、再起動を繰り返すといった症状が確認されている。最終的には電源が入らなくなる可能性があり、データが取り出せなくなる恐れがあるため、不具合が起きる前に交換対応を受けてほしいと呼びかけている。

 原因は製造工程にあるが、現象自体は輸送中やユーザーの利用環境など、時間の経過とともに表面化する可能性があるという。交換対象製品については、データをバックアップしたうえで、速やかに交換するよう促している。

再発防止策と品質管理体制の強化

 ソニーは今回の事態を重く受け止め、再発防止策として複数の取り組みを進めている。

 まず、製造工程の管理基準を見直し、基板製造プロセスにおいて温度・湿度の影響を適切に制御する工程を追加。変動する条件下でも安定した品質を確保できるよう、管理基準を強化した。

 また、Xperia 1 VIIについて総点検を実施。今回の原因と関連する工程や機能に対して、影響を及ぼす各設定値の点検を行った。今後の機種の製造でも品質管理の強化を目的として、製品や状況に応じた点検体制を構築・運用していく方針を示した。

 さらに、製造工程におけるリスク評価体制を強化するため、品質に影響するリスクを検証・評価する新たな仕組みを導入。Xperia 1 VIIの交換用製品の製造から既に運用を開始しており、今後すべての製造工程に展開し、より厳格な品質基準の運用に取り組むとしている。

問題発覚からの経緯とユーザーへの周知

 ソニーは、不具合について6月末に電源関連の再起動などの声が増えたことを認識し、直ちに解析を開始した。その後、7月4日にはキャリアと自社Webサイトを通じて出荷・販売を停止し、ユーザーへの情報公開を行った。

 当初はソフトウェアアップデートでの対応やデータバックアップの推奨が行われたが、その後の解析により基板のハードウェア不具合であることが判明。7月16日には交換のお知らせが発表された。

IMEI確認プログラムの不具合

 7月16日のお知らせにあったIMEI判定プログラムの不具合についても説明された。特定の状況で誤判定が生じ、本来は交換対象である製品が「OK」と表示されてしまう事象があったという。

 原因はIMEIスロットの照合にあり、製品には2つのスロットがあるが、スロット2のIMEIとの照合でエラーが発生していた。この不具合はプログラム公開から約2時間後に判明し、ソニーは急遽修正対応を行ったと説明している。