ニュース

米エコースター、スペースXに周波数帯利用権を売却 次世代Starlink直接通信の実現へ

 衛星通信を手掛ける米エコースター(EchoStar)は、同社が保有する周波数帯を米スペースX(SpaceX)に売却する最終契約を結んだと発表した。売却額は約170億ドル。

 対象となるのは、エコースターが保有する「AWS-4」と「Hブロック」の周波数ライセンス。スペースXは最大85億ドルを現金で、残り最大85億ドルを株式で支払う。

 両社は商業契約も締結し、エコースター傘下の通信キャリア「Boost Mobile」の利用者は、クラウドネイティブの5Gコアを通じて、次世代の衛星直接通信サービス(Starlink Direct to Cell)を利用できるようになる。

 次世代の直接通信衛星は、この周波数帯を最大限に活用するよう設計され、スペースXが独自開発したシリコンとフェーズドアレイアンテナを搭載する。これにより、第1世代と比べて約20倍のスループットを実現するという。

 さらに、最適化された5Gプロトコルにより、総容量は第1世代の100倍以上に拡大し、多くの環境で地上のLTEサービスに匹敵する完全な5Gセルラー接続を提供できるとしている。

 スペースXのグウィン・ショットウェルCOOは「第1世代のStarlink Direct to Cellは、自然災害時の緊急連絡や圏外地域での通信を支えてきた。今後は専用周波数を活用して次世代衛星を開発し、性能を大幅に向上させることで、世界中のどこにいてもユーザーへのカバレッジを強化していく」と述べている。