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2020年代を見据えた通信政策、KDDIはNTTの新サービスにルール化求める

 総務省は、2020年代を見据えた新たなICT政策について、情報通信審議会から答申を受けたと発表した。既に発表済のSIMロックの解除義務化などもこの政策の一環。これを受け、KDDIは意見書を提出し、総務省からの回答を求めている。

注目の新政策は?

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年、そしてそれ以降も、日本で世界最高水準のサービスを利用できるようにするには、どうしたらいいのか。日本からイノベーティブなサービスが生み出され、少子高齢化などによる社会問題の対策にも役立ち、五輪などで日本を訪れる外国人にとっても便利にしよう――今回発表された政策は、そうした視点で2014年2月から検討が続けられ、まとめられたものだ。

 たとえばNTT東西は今年、光ケーブルをこれまでより柔軟な形で提供する「光コラボレーションモデル」(サービス卸)を発表してるが、今回の答申では、サービス卸が社会問題の解決に役立ったり、経済にも貢献したりする可能性があるとして、光ファイバー基盤の利活用を進める方針。ただし、NTT東西のシェアが大きいことから、他社に悪影響を与えないよう「一定の透明性が確保される仕組みの導入を検討することが適当」と解説。何らかのルールを策定する方針を示した。またNTTドコモが規制対象となっている“禁止行為”については、公正競争の確保に支障がない範囲で見直す方向で、検討を進める、としている。

 そして現在のモバイル市場は、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3グループとなって、「協調的寡占の色彩が強い」と指摘。ソフトバンク、ワイモバイルのようなグループについては、合併・株式取得について総務省が審査を行えるようにするルールの導入を求めた。また、電波の割当ではグループ単位でのシェアを考慮することにも言及した。さらにMVNOによって競争を促進することが必要としており、そのためにSIMロック解除の義務化、多額のキャッシュバックの適正化などに触れている。

KDDI、ソフトバンクの意見は

 今回の答申を受けて、NTTドコモでは「ドコモ光」の提供について、「ドコモはNTT東西から卸を受ける1事業者に過ぎない。従来通り2月にサービスを開始できるよう準備を進めている」とコメント。

 KDDIでは、答申を受けて総務省に対して意見申出書を提出。NTT東西のサービス卸は相対契約で提供されるため、契約条件が不透明でNTTグループだけ優遇されてもわからない、あるいはドコモショップにNTT東西のスタッフが配属されNTTグループの一体化が進むなどと指摘。サービス卸自体には反対しないものの、本当に公平に提供されるのか、条件を約款化して公表することを義務化するよう総務省に要望。またNTT東西からドコモだけ他社より多額のインセンティブが用意されても現状は規制するルールがないことも指摘し、総務省からの回答も求めている。

 そして、総務省からの回答が出る前に、なし崩しで「サービス卸」による「ドコモ光」が開始されることにも懸念を示し、回答が出るまでサービスが開始されないよう行政指導でストップをかけることも要望する。

 ソフトバンクでは、10月23日に発表した意見と変更はない、として今回は特別なアクションは起こしていない。その内容は「ドコモとのセット割の禁止」「NTTグループ内の優遇禁止」であり、その点は今後も求めていくという。