ニュース

孫社長に「やりましょう!」って言ってほしい――株主から提案相次ぐ

孫正義氏

 6月20日に開催されたソフトバンクの株主総会は、朝から多くの人が訪れ、来場者数で過去最高を記録した。総会の後半に行われた質疑応答では、株主から多くの意見・要望・提案が寄せられた。

――社外からの新規事業の提案を受けていただけますでしょうか? 電子書籍の事業をやっています。本日企画書を持ってまいりましたのであとで5分だけでいいので時間ください。

孫氏
 今日はスケジュールが埋まっていますので、担当に受付させていただいて、すばらしい内容であれば次のステップに……。がんばってください。

――モンゴルにとてつもなく広大な広い土地を借りていたが、その後どうなったのでしょうか?

孫氏
 さまざまな実験を行っている最中。夢とロマンは持っていますがまだ先の話です。構想はいろいろあります。

――これからの情報革命として、たとえば「ソフトバンクマネー」のように金融分野にも広げていくことで、よりソフトバンクの未来が開けるのでは?その可能性について聞かせてほしい。

孫氏
 もともと金融と情報革命は相性がいいと思っている。強い興味をもっている。グループ会社にもその種を持っている会社もあり、思い描いている。未発表なので言及をさけるが、近い将来なんらかの形で実現したい。

――外国人観光客からの日本への不満点でいろいろ出るのが無料のWi-Fiがあまりないということがあります。個別にやっているところがあるが、ソフトバンクでたとえば2週間の期限と速度制限を設けて、観光案内の事業とのシナジーとしてYahoo!ショッピングと連携して収益をあげたり、広告モデルにするなど。繋がらないイメージを引きずっていたり、総務省とやりあっていろいろあったが、短期間で使えるような無料のWi-Fiをバーンと提供して、日本のイメージを挙げると共に、ソフトバンクのイメージも良くなるようなことをやってもらいたいので、ぜひ「やりましょう!」と言ってもらえるよう、お願いします。

孫氏
 やりましょう。

――ひとつだけ圧倒的No.1になってほしくないもの、それは有利子負債です。減らしてほしいです。3月末時点で7兆円超えで、今後T-mobileを買収するとなれば10兆円を超えてしまうのではないか。経営上のリスク、株主が安心していくために、どのような心持ちでいらっしゃるか聞きたい。

孫氏
 難しい問題ですね。有利子負債はゼロにすべく努力を行ってきた、返済がすすみ半分にまできた。負債をゼロにすることがソフトバンクにとっていいことなのか、自問自答した。結論はバランスを崩すような負債はよくない。絶対額ではなく、返済能力を持っているか、物差しをしっかり持って、自信があって計算が成り立つ場合は成長を優先することが、時としてあってもいいのではないだろうか。ボーダフォンジャパンを買収した直後は、返済すべきキャッシュフローが6倍を超えていたが、2倍にまで減った、その後スプリント買収で4倍になった。健全な範囲のバランスの中で行っていきたい。

――今回優秀な取締役の方が増えましたが、その考え方が現場に伝わっていないようですが、どのように考えていますか?

孫氏
 これは永遠のテーマですよね。できるだけ頻繁にコミュニケーションして、かつわかりやすく、イントラネットなどを使ってさまざまな形で工夫はしています。道具だけではできない、想いをもっていなければならない。ご指摘の件は重要だと思うので、実現していきたい。

――ソフトバンクのアメリカへの挑戦に対して柳井さんはどのようにお考えですか?

柳井氏
 リスクがあるからプロフィットがある。グローバルNo.1になるにはアメリカの市場は不可欠なので、孫さんにがんばってほしい。その第一歩がスプリントなわけで、その後続く第二歩・第三歩が失敗しないように、しっかり監視しておきます。

孫氏
 柳井さんから取り締まられ役です。がんばります。

――思いつきの提案なのですが、以前、東京ガスのCMソングで八代亜紀が「発電・節電・発節電」と演歌調で歌っていてすごくいいのですが関東地区だけで埋もれさせるのはもったいないので、ぜひ今度使ってください。

孫氏
 いろいろ、考えてみます。

――孫社長は、経営者を辞められた後どのように過ごす予定ですか?

孫氏
 60代のうちに経営者は退くつもり。もしそのときにまだ元気で健康ならば、ソフトバンクアカデミアの校長先生として、後身の人に思いを語り続けていきたい。そのときに古いからいらないと言われれば押し売りはしない。あとは世界中旅をして絵を描きたい。今はソフトバンクのことで頭がいっぱいなので、まだ引退後のことはそこまで考えていない。

――以前は大変あたたかいコマーシャルだったのですが、最近は「1番、1番」が鼻について謙虚さに欠けるように思います。コマーシャルを見るのが嫌なのですが、私だけでしょうか?

孫氏
 あんまり1番1番言っちゃいけないですね。人に言われるようにならなければならないですね。今、反省しました。

――株主優待についてぜひ「やりましょう!」と言ってほしいのですが。iPadの株主優待が欲しい。あとPepperを優先または安く購入できるなど。それから、ユニクロにPepperをスタッフとして置くのはどうでしょう? ぜひ「やりましょう!」と言ってほしい。

孫氏
 検討しましょう!

柳井氏
 孫さんと検討します。

――3年ぶりに鹿児島からきました。ガンホーの株を1600円台で買っちゃったんですが、680円くらいにまで下がってしまいました。なにか対策を、ぜひここで「やりましょう!」とお願いします。

孫氏
 遠いところからありがとうございます。弟に、兄の権限としてガツンと“おまえがんばれ!”って言っておきます。

――被災地支援を今も続けているのでとても良いとおもいます。震災時に繋がらない問題の対策を具体的に教えてほしい。

孫氏
 まずは基地局の数を倍増しました。何兆円かかけて基地局の数を増やした。それでも鉄塔が倒れたり、電線が切れたりということもあり得る。その対策として世界で初めて気球を使って電波を届かせるという試みも行っている。さらに臨時の車載基地局を、おそらく世界最多の数を用意している。十分ではない、完全ではないが、これからも体制の強化をしていきます。

来場した株主にお土産として配られたとらやの「おとうさん羊羹」には“志高く”という孫社長の思いが詰まっているとのこと。なお、羊羹を切った断面はソフトバンクのロゴマーク(二重線)になっているのだとか

川崎 絵美