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アップルが「Siri無断録音訴訟」で和解、広告への活用や他社への提供を否定

アップルが「Siri無断録音訴訟」で和解、広告への活用や他社への提供を否定

 アップル(Apple)の音声アシスタント「Siri」を巡って、米国ではプライバシー侵害として集団訴訟がなされ、2024年末に9500万ドル(約150億円)を支払うことで和解した。

 同社は「マーケティングのためにプロファイルが使われたことはない」ことと「どのような目的でも他者に売ることはない」との声明を出した。

できる限りオンデバイスでの処理

 同社によると、今回の訴訟では一貫して“ユーザーの広告のターゲティング”のためにSiriの録音を使用している主張を否定しており、広告主に情報を共有していることはなく、訴訟においても使用した証拠は一切見つかっていないと指摘。また、Siriはできるだけデバイス上でオフライン学習するように設計されており、生成AI「Apple Intelligence」においても、同社がユーザーのデータを保存したりアクセスしたりすることはなく、Apple Intelligenceの基礎モデルの学習には使用されない。

 たとえば、近くのイベントについて質問すると、Siriはユーザーのおおまかな場所を使って情報を提供する。一方、近くの店を質問した場合はより具体的な場所のデータを使用する。また、「未読のメッセージを読んで」といった依頼では、メッセージそのものの内容のデータはこの依頼を遂行するには必要ないため、メッセージのデータが同社に送信されることはない。

 もし、ユーザーがSiriに共有した情報のデータ処理が必要な場合は、そのデータ自体を追跡するためにランダムな識別子を使用する。この識別子は、1つのデバイスに紐付けられた文字と数字の文字列で、Appleアカウントや電話番号を使って識別することはない。また、データは6カ月でランダムな識別子から切り離され、強固な保護を実現しているとしている。

文字起こしデータが使用されることは明記されている

機能改善を目的とした使用は設定でオフにできる

 一方で同社では、Siriで文字起こしした文字列について、Siriにおける文字起こしや検索、言語処理機能など、同社製品やサービスの開発や改良に使用する場合がある。また、ユーザーが「改善プログラム」に参加している場合、音声サンプルを聞けるのは“同社従業員だけ”としているほか、意図せずSiriを呼び出したものと判断された音声は削除されるという。

 「改善プログラム」への参加は、デバイスのセットアップ時に案内されるほか、「設定」アプリの「プライバシーとセキュリティ」→「解析と改善」から確認できる。

「改善プログラム」への参加は、セットアップ後でも、設定アプリから設定を変更できる