ニュース
ファーウェイ、ヘルスケア統合システム「HUAWEI TruSense」を発表
搭載製品は今年9月以降に順次、発表予定
2024年9月4日 08:08
これまでの各機能を統合した「HUAWEI TruSense」
ファーウェイは11年前にウェアラブル市場に参入し、現在までに1億5000万台以上のウェアラブル製品を出荷。腕に装着するウェアラブルデバイスでは、2024年第1四半期にグローバルでの出荷台数で1位を記録し、中国市場においても5年連続でトップシェアを確保している。
これまで同社ではスマートウォッチ「HUAWEI WATCH GT」シリーズや「HUAWEI WATCH FIT」シリーズをはじめ、血圧を計測できる「HUAWEI WATCH D」など、数多くのウェアラブル製品を展開し、それぞれの製品には身体情報をモニタリングする「TruSeen」や「TruFit」、睡眠の状態を分析する「TruSleep」、ストレスの状態を測る「TruRelax」、ワークアウトの情報を記録する「TruSport」、血圧情報を記録する「TruBP(Blood Pressure)」などの機能を搭載している。
今回発表された「HUAWEI TruSense」は、これらを統合するヘルスケアシステムで、6つの主要な身体システムを中心にした60を超える身体とフィットネスの情報を記録し、メンタルヘルスを含むユーザーの健康状態を評価するプラットフォームという位置付けになる。「TruSeen」や「TruSleep」などで得られた情報を個別に評価するだけでなく、それらのデータを連携させることで、より的確な健康情報をユーザーが把握できるようにする。
また、これらの身体情報やメンタルの情報などをより正確かつ迅速に得るため、ファーウェイではウェアラブルデバイスを構成する光学センサー、電気センサー、素材に多くの投資を行ない、肌の色の違いや手首のサイズ、気象条件などの変化にも対応できるセンサーとセンシング技術を確立しているという。
「HUAWEI TruSense」の内容をプレゼンテーションしたファーウェイの端末ビジネスグループ スマートウェアラブル&ヘルスケア製品ラインのプレジデントを務めるリコ・ジャン(Rico Zhang)氏によれば、「HUAWEI TruSense」に対応したウェアラブル製品は、今年9月から順次、グローバル向けに発表されることが明らかにされた。今回の発表では日本国内向けの製品について言及されていないが、これまで日本でも数多くのウェアラブル製品が投入され、広く支持を集めてきたことから、今後、「HUAWEI TruSense」に対応した製品の国内投入が期待される。
学術的観点から血圧の継続測定の重要性や慢性疾患の予防、標準化が訴えられる
ファーウェイのリコ氏のプレゼンテーションに続き、ウェアラブル&ヘルスケア製品の重要性や方向性について、学術関係者からの講演も行なわれた。
まず、中国高血圧連盟主席のジガン・ワン(Jigang Wang)教授は、この30年間で高血圧にリスクを抱える人が世界中で2倍以上に増えてきたことを挙げ、今や3人に1人が高血圧による何らかの症状を抱えながら、そのうちの半数近くが自分の状態に気づいておらず、実質的には20%程度の人しか高血圧をコントロールできていないとした。高血圧は脳卒中や心臓発作、心不全、腎臓障害など、人体にさまざまな問題を起こし、毎年、全世界で100万人以上が高血圧によって、命を失っているとした。
こうした状況に対し、これまでのような医師の診断時のみに血圧を計測するのではなく、血圧を継続可能なウェアラブルデバイスを身に着けることで、日常生活で継続的に血圧を計測するメリットを解説した。仕事時間や活動中、移動中に加え、睡眠時や旅行時なども継続的に血圧を計測すれば、自らの健康状態を知ることができ、その内容に応じて、運動を増やすなどの活動を改善したり、より良い睡眠ができるようにしたり、ストレスや心への負担を減らすなどの対策を取れるとした。
次に登壇した浙江大学医学部のシン・ユ(Xin Xu)教授は、人々の健康において、高血圧をはじめ、慢性的な疾患が大きな問題になっていることを挙げ、世界中の死因を分析すると、2000年に比べ、約20年で慢性疾患が関係するものが大幅に増え、すでに死因のトップ10のうち、7つを占めているとした。
こうした慢性疾患を改善したり、予防するには、自分自身による健康管理が重要であり、そのための方法として、ウェアラブルデバイスを身に着け、睡眠や生活リズム、ストレスや心の健康を管理することを推奨するとした。
最後に登壇したリスボン大学ヒューマンキネマティックス学部長のルイス・サルディーニャ(Luis Sardinha)教授は、ファーウェイが学術コンソーシアムとの連携で運営される「INTERLIVE Network」の取り組みについて、解説した。
「INTERLIVE Network」はウェアラブルデバイスなどで身体活動や健康情報などを測定する際の指標やガイドラインを科学的な見地から標準化するもので、ここで標準化された内容がファーウェイのヘルスケアプラットフォーム「HUAWEI TruSense」に活かされているという。将来的には、さまざまなデータの統合や可視化に加え、AIを活用することで、それぞれのユーザーに合わせた最適なガイダンスとフィードバックをできることを目指すとしている。
最後に、品質管理の世界的な権威として知られるジョセフ・ジュラン(Joseph M. Juran、1904~2008)の「基準なくして、決定の論理的な根拠はなく、行動を起こすことはできない」という言葉を引用し、ウェアラブルデバイスとヘルスケアにおける標準化の重要性をアピールして、プレゼンテーションを締めくくった。