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「arrows We2/We2 Plus」発売直前、新たな販路や限定モデルなど“新生FCNT”の販売戦略とは

左からFCNTプロダクト事業本部長の近藤洋一氏、プロダクトマーケティング統括部副統括部長の正能由紀氏、プロダクトビジネス本部副本部長の外谷一磨氏、プロダクトマーケティング統括部の野村俊介氏

  FCNT製スマートフォンの最新機種として「arrows We2/We2 Plus」を8月9日以降、携帯電話各社やMVNOから順次発売される。9日にNTTドコモからarrows We2 Plusが発売されるのを皮切りに、14日にIIJmioからarrows We2 Plusの限定モデル(後述)、16日にarrows We2(ドコモ/au/UQ mobile/SIMフリー)とarrows We2のSIMフリーモデル、10月15日に楽天モバイルからarrows We2 Plusが発売される。

 製品自体は5月に発表済みだが、8日にはFCNTによる説明会が開催。製品の魅力や特徴があらためて紹介されたほか、新たに楽天モバイルやIIJmioで発売されること、SIMフリーモデルの詳細、IIJmio限定モデルなどが、FCNT プロダクトビジネス本部 副本部長の外谷一磨氏などから発表された。

FCNT プロダクトビジネス本部 副本部長の外谷一磨氏

楽天モバイル、SIMフリーモデルを発表

 arrows We2シリーズについては、5月の発表会でNTTドコモ(arrows We2/We2 plus)、KDDI(arrows We2)から発売されることが明らかにされていたが、今回楽天モバイルからarrows We2 plusが発売されるほか、SIMフリーモデルがMVNOや量販店、ECサイトなどから提供されることが発表された。

楽天モバイルからは「arrows We2 Plus」

楽天モバイル ビジネス推進本部 デバイス戦略部 副部長の佐々木愛氏とFCNT外谷氏

 楽天モバイルからは、「arrows We2 Plus」が10月15日9時に発売される。価格は、4万9900円。

 登壇した楽天モバイル ビジネス推進本部 デバイス戦略部 副部長の佐々木愛氏は、同社の料金プランとポイント特典などのプログラムとarrows We2 Plusとの親和性について言及する。

 同社では、家族での契約で月110円の割引が受けられる「最強家族プログラム」や、13歳~22歳までのユーザーに月110ポイントを還元する「最強青春プログラム」、12歳までのユーザーの月額利用データ量が3GBまでの場合440ポイントを還元する「最強こどもプログラム」を提供している。

 一方、「arrows We2 Plus」は、「子供からシニアまで安心して使える高品質でハイスペックなスマートフォン」(佐々木氏)で、価格も含め多くのユーザーに満足してもらえる製品になっている。たとえば、スマートフォンを落としたり汚したりしがちな子供にも安心の耐衝撃性やハンドソープ洗浄への対応や、6.6インチの大画面で初心者でもさくさく利用できる操作感、シニア世代が利用しやすいシンプルモードなどを紹介。

 子供から若者、シニアまで幅広い世代が安心して利用できるスマートフォンと、楽天モバイルの各種プログラムを組み合わせることで「さらに多くの価値を提供できる」と佐々木氏はアピールする。

 なお、楽天モバイルで同機と対象プランを申し込むと、特典のポイントを含めて実質4万3900円で購入できる。また、事前予約と購入、キャンペーンの応募で楽天ポイントが2500ポイント進呈されるキャンペーンが実施される。

 楽天モバイルの発売日がほかのモデルよりも2カ月近く遅れる理由について、FCNT外谷氏は「特に個別の理由があるわけではない」とコメントする。

SIMフリーモデル

 SIMフリー市場に求められるポイントとして、FCNT 外谷氏は「競合価格帯と比較してワンランク上の体験」、「日本のユーザーにとって必要な要素の全部入り」、「SIMフリー市場向けモデルのラインアップ」の3点を挙げた。

 高性能チップセットや大容量メモリーの搭載や、妥協なく機能を搭載するなど、性能面での取り組みをあらためて紹介。文字入力ソフトとしてATOKを搭載することをあらためて発表した。

 今回キャリアモデルにはないSIMフリーモデル限定のラインアップとして、「arrows We2」にメモリー4GBとストレージ128GBのモデル(キャリアモデルは4GB+64GB)をラインアップする。

 外谷氏は、「大手通信キャリアとSIMフリーモデルのユーザーでは、ニーズが異なる。画一的な商品提供ではなく、ニーズに合った商品を提供していきたい」とSIMフリーモデルラインアップ拡充の意義を説明する。

 「arrows We2 Plus」(8GB+256GB)の市場想定価格は5万9950円、「arrows We2」(4+128GB)は3万6850円で、どちらも8月16日以降に発売される。MVNOでは、イオンモバイルとHISモバイル、mineoなどで取り扱われる。そのほか、エディオンやコジマ、上新電機、ソフマップ、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、Amazon.co.jpなどで提供される。

IIJmioは、限定モデルを発売

 「arrows We2/We2 Plus」のSIMフリーモデルを発売するインターネットイニシアティブ(IIJ)は、「arrows We2 Plus」の同社限定モデルとしてメモリー12GB+ストレージ256GBモデルをラインアップする。arrows We2は3万2800円で8月16日に、arrows We2 Plusは5万4800円で8月14日に発売する。

 IIJとしては、arrowsのSIMフリーモデルは5年ぶりのラインアップだといい、IIJ MVNO事業部 コンシューマーサービス部部長の亀井正浩氏は「日本のユーザーに向けて企画したプロダクトが少なくなりさみしい」とし、今回のarrows We2シリーズの登場を歓迎するとコメント。性能としてはミドルハイの立ち位置になるとする一方、自律神経の測定機能など後述の特徴的な機能は、「日本製の部分以外にも十分満たされたコンセプトだ」とし、すべての人が使いやすい製品に仕上がっていると評価した。

IIJ MVNO事業部 コンシューマーサービス部部長の亀井正浩氏

 IIJ限定モデルの価格は、5万4800円(24回払いは2289円/月)だが、他社からの乗り換え(MNP転入)特典を利用すれば3万6800円(同1543円/月)で購入できる。また、IIJmioサプライサービスユーザーに一定の条件で配布される「mio優待券」の対象商品になるとし、既存ユーザーの機種変更でもお得に購入できるとした。

IIJ 亀井氏とFCNT 外谷氏

「arrows We2」シリーズの魅力

FCNT プロダクトマーケティング統括部 副統括部長の正能由紀氏

 「arrows We2」シリーズの魅力の1つとして、FCNT プロダクトマーケティング統括部 副統括部長の正能由紀氏は、堅牢性と防水性をまず取り上げる。

 再生素材を利用しながらも、ワンランク上の落下耐性と防水防塵性能を担保しているほか、ハンドソープ洗浄にも対応する。規格への準拠だけでなく、落下試験やコネクタ耐久試験、圧迫試験やねじり試験など独自の基準を設けて、試行錯誤や改良を繰り返した結果生まれた製品とアピールする。

 社内での試験だけでなく、ユーザーが破損した製品を調査し、実際にユーザーが損傷させた経緯を想定し、そのシーンを再現して破損の要因も調査し、性能向上に役立てられている。

ハンドソープ洗浄の実演
コンクリート床への落下試験。ディスプレイは割れていない

 次に挙げたのが迷惑電話対策。

 たとえば、通話を受けた際に相手に「録音されている旨」を自動アナウンスすることでけん制するほか、音声認識技術で危険な会話を検出し、ユーザーに知らせる機能を搭載する。具体的なロジックは安全の為に公開していないとしながらも、警視庁の特殊詐欺対策本部の助言を得た取り組みであるといい、ユーザーに安心を与える機能の1つになっている。

 カメラ機能については「センサーサイズの大きさだけに頼らないカメラ画質のチューニングも実施している」と正能氏。

 カメラのスペックはそれぞれ異なるものの、たとえば内部でRAWデータを重ね合わせることで暗所でもノイズの少ない明るい写真が撮影できる「Super Night Shot」は、両機種に搭載されているなど、コスト削減と効率的な画質向上が図られている。

arrows We2 Plus(左)とarrows We(右)で暗所での撮影体験を比較

CMにオダギリジョーを起用

 「arrows We2/We2 Plus」のCMには、俳優のオダギリジョーを起用。

 「arrows漂流記」と題されたシリーズでは、オダギリジョー扮するスーツ姿の男性が、とある孤島に漂流してしまい、手元にあるarrows We2 Plusの自律神経測定機能で自分の状況を把握しつつ、高耐久性や高い電池持ちを表現するものとなっている。

ソフトバンクから出ないの?

FCNT 外谷氏

 質疑では、これまでのarrowsシリーズで取り扱いがあったソフトバンクからの発売はないのか? という問いがあった。外谷氏は「(回答するのが)非常に難しいがあえてのノーコメント」と回答。「期待と想像にお任せしたい」とした。

 また、SIMフリー市場を拡充した理由として外谷氏は、“2台目需要”に言及し、年々高まる2台目としてのニーズとしての期待感も口にする。

 レノボからの出資を受けた初の製品と言うことで、記者からはレノボとのシナジー効果についても質問が飛んだ。「レノボグループになり、使えるリソースはすべて使っている」(外谷氏)とし、部材調達ルート、カメラや音響周りなどレノボの方が優れているアセットがあれば、そっくりそのままではあるが取り入れている部分があるとした。