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Web広告の信頼性の保ち方、LINEヤフーが「なりすまし広告」への対処など説明

 詐欺の疑いや著名人へのなりすまし、優良誤認などWeb広告に対する信頼性への懸念が高まるなか、LINEヤフーは独自の対策で信頼性を高める取り組みを進めている。

「なりすまし」広告への対応、不適切な広告の審査

 LINEヤフーにおける、広告の審査は配信前~配信後の複数の段階に分かれる。広告を出稿するアカウントの審査、広告素材自体の審査、そして掲載後の審査と掲載前から掲載後にわたり、人の目に加えて機械による判断も加わりチェックされる。

 総務省では、著名人になりすました詐欺広告への対処を要請しているが、LINEヤフー MSカンパニーでトラスト&セーフティ本部長を務める一条裕仁氏によれば、同社ではそれに先んじて対策を進めてきたという。

 広告の審査基準は公表されており、なりすましを100%確認することは難しいとしつつも、特定のカテゴリーに絞り監視を強化、不審な点がある場合は出稿者への本人確認を実施している。また、LINEへの友だち登録を誘導する広告などは禁止するといった対応をしてきた。加えて、なりすまし広告や投資詐欺の疑いがある広告アカウントは非承認化するなどの対策にも務める。ただし同社によれば、LINE広告については、なりすまし広告を入口としたSNS投資詐欺は確認されていないという。

 LINEヤフー MSカンパニーでトラスト&セーフティ本部のポリシー室長を務める中村茜氏は、これまで権利者からの削除要請などはないが、問い合わせ窓口の体制整備の強化など、対策を進めていくとした。

LINEヤフー 一条氏(左)と中村氏(右)

 2023年度にはYahoo!広告でおよそ9600万件、LINE広告ではLINEとヤフー統合後の2023年度下期に約10万件の広告素材が非承認になったという。広告素材の審査における非承認の理由には、薬用化粧品などで使用体験談の範囲を逸脱した過剰な表現、人体の局部アップや肌露出などのほか、LINE広告の場合は簡単に大金が得られるかのようなものなどもあった。

広告掲載後にも審査、多様性の取り入れも

 広告掲載後にも人と機械の両面から審査を続けており、不正に広告費を得る「アドフラウド」や違法なWebサイトなど、ふさわしくない内容が掲載されている場所に広告が配信されることを防ぐ。2023年度に事前検知した無効なクリックは広告費にしておよそ302億円にのぼるという。

 このほか24日には「マーケティング事業におけるDE&Iの考え方」(DE&I、ダイバーシティおよびエクイティ、インクルージョン=多様性および公正性、包括性)を公開。広告にも多様性などを尊重する考えを取り入れて「誰もが居心地が良い社会の醸成を目指す」というもので、ガイドラインなどの改定ではない。広告制作に役立てられる情報などを発信していくという。