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スマホ高価格化が加速、出荷台数は前年比10%以上減少

ミリ波対応機種は出荷台数の5.2%にとどまる

 総務省は、6月12日に「競争ルールの検証に関するWG(第57回)」を開催した。本稿では、同WGでまとめられた端末市場の動向について、その内容をご紹介する。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど、主要な事業者における2023年の端末売上台数は2929万台、売上高は2兆2424億円で、2022年の3263万台、2兆2149億円と比べて台数は10.4%減、売上高は+1.2%となった。

 このうち、スマートフォンは売上台数が2535万台、金額ベースで2兆1043億円で、2022年の2792万台、2兆581億円と比べて、台数は9.2%減、売上は2.2%増となった。

 指定事業者の売上台数・売上高から算出した1台あたりの売上単価は、2023年度が7万6625円で、2022年度の6万7707円と比べて13.2%高くなった。また、スマートフォンのみを対象とすると、2023年度は8万2622円で、2022年度の7万3375円と比べて12.6%高くなった。

 価格帯別では、2022年度と比べて16万円以上の価格帯が+3.5ポイント、12~14万円未満の価格帯が+5.2ポイント、2万円未満が1.6ポイント増加した一方、6~8万円未満の価格帯は同水準、それ意外の価格帯が減少した。なお、比較における価格はオンラインショップにおける価格を採用しており、実際に利用者が代理店経由で購入する際の価格とは異なるケースがある。

スマートフォンの価格帯別売上台数構成比

 価格帯別のスマートフォン売上台数構成比では、本体価格10万円を超える高価格帯の機種が45.5%、4 ~10万円未満の中価格帯が29.3%、4万円未満の低価格帯が25.2%となった。2021年度からの比較で、高価格帯は+18.3ポイント、中価格帯はマイナス10.3ポイント、低価格帯がマイナス8ポイントとなり、高価格帯の機種が占める割合が増えている。

 メーカー別の端末販売価格の推移を見ると、各社のフラッグシップモデル以外も、本体価格が10万円を超える機種が増えてきており、高価格帯の販売比率が高くなっていることや、販売台数が減少して平均単価が上がっていることとの関連が確認できる。

端末サポートプログラム加入率

 MNO3者の端末販売台数のうち、端末サポートプログラム加入者の割合は、2023年度は50%を超えるなど、従来と比べて上昇傾向にある。同WGでは、いわゆる「白ロム割」が2023年12月27日より規制対象となったことから、プログラム加入率が引き続き上昇すると予想している。

ミリ波対応端末は5.2%にとどまる

 MNO4者が販売する5G端末に占める、ミリ波対応機種の割合は約2割、ミリ波対応端末のうち本体価格が10万円を超える高価格端末の割合は約9割で、ミリ波対応機種は本体価格が高い機種が多い。

 民間の調査会社による調査結果によると、2023年通期の5Gスマートフォンの出荷台数は約2603万台で、うちスマートフォンは出荷台数の99%を占めるものの、ミリ波対応端末は137万台で、出荷台数に対する比率は5.2%にとどまる。

中古端末の流通について

 中古端末の流通について、MNO4者が2022年度に行った下取りの台数は約462万台、売却数は541万台で、2021年度の下取り562万台、624万台と比べて、下取り台数は17.9%減、売却台数は13.4%減となった。

 一方、中古端末の買い取りや販売を行う事業者団体「リユースモバイルジャパン」からの報告では、同団体の正会員1910店舗による2023年度上期に中古端末販売台数は115.9万台、買い取り台数は114.5万台で、2022年度上期の販売台数83.8万台、買い取り台数102万台と比べて、販売台数は+38.3%、買い取り台数は+12.6%となり成長している。

 また、MM総研の調査によると、2022年度の中古スマホの販売台数は234万台(前年度比+10.4%)で、直近5年間で約1.5倍に成長、さらに2027年度には年間352万台へと成長を予測しているという。

 このように、中古端末の販売台数は増加傾向にあるが、新品の販売台数の約8%程度で、現時点でその割合は大きくはない。

まとめ

 今回のワーキンググループでは、端末価格が高騰傾向にあることや、ミリ波などの高機能端末が順調に普及していない状況と指摘し、また中古端末が増加傾向であることを踏まえると、利用者のニーズに応じて、多様な端末を選択できるようにすることが重要であり、中古端末を含めた端末市場の活性化を図ることが重要としている。