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イオンモバイルが大容量/シニアプランを値下げ、最大200GBのシェアプランで家族まるごと契約をねらう

左から経済アナリストの森永 康平氏、タレントのくわばた りえ、イオンリテールのイオンモバイル商品マネージャー 井原 龍二氏

 イオンリテールは15日、MVNOサービス「イオンモバイル」で料金改定を4月1日に実施すると発表した。また、イオンフィナンシャルサービスのイオンカードカウンターでの「イオンモバイル契約手続き」サービスの提供を発表した。

 料金改定では、大容量プラン「さいてきプラン MORIMORI」で最大50GBまでだった大容量プランに、最大200GBまで追加するほか、30GB~50GBプランを値下げする。また、60歳以上向けの「やさしいプラン」では、一部プランの値下げと1~10GBまで1GB刻みでデータ容量を設定できるようプランラインアップを追加する。

 加えて、シェアプランの音声契約の回線上限数を、3月21日に5回線→8回線まで拡大する。

 割安な価格帯や小中低容量で支持されてきたMVNOであるにもかかわらず、大容量プランを拡大するねらいや、オンライン移行が進む中、リアルの顧客接点を拡大する理由などを、イオンリテールのイオンモバイル商品マネージャー 井原 龍二氏から聞いた。

2024年はイオンの格安スマホ10周年の年

イオンリテールのイオンモバイル商品マネージャー 井原 龍二氏

 井原氏は、2014年4月に発売した同社初の格安スマホ「Nexus 4」(LG電子製)から今年で10周年を迎えることに触れ、同社やイオンモバイルブランドの端末、料金価格が値下がりしているにも関わらず大幅に性能が向上していることを強調。

 加えて「コンシューマー向けに通信と端末をセットで、キャリア以外で出したのは、多分これがはじめて。これが国内最初の格安スマホとなり、それから10年目の年になる」とした。

 イオンモバイルでは、2023年度も純増で終えることができそうだとし、直近の解約率も1%前半(2月で1.36%)まで低下させることができたという。

 近年では、大容量プランを複数端末で分け合うシェアプランの契約数が伸びてきており、2月で平均契約容量は6.2GB、プラン構成もシングルが65.1%、シェアプランが34.9%とシェアプランの比率が上昇傾向にある。加えて、40代以上のユーザーが多く、特に60代以上のユーザーが3割を超えてきており、井原氏は「家族でシェアすることが増えたのかなという気持ち」と分析している。

料金改定の理由

 ユーザーからのアンケート調査では、「ユーザーがイオンモバイルに感じている価値は、安さと料金体系であることがわかった」という。

 家庭でシェアプランを契約するユーザーも増加してきており、近年では4割が20GB以上のプランを契約しており、契約データ容量も拡大傾向にあると指摘。

 今回の料金改定では、これを踏まえ、30GB、40GB、50GBのプラン料金を値下げし、20GB~50GBまでは、10GBごとに550円増加するような料金体系とした。これについて井原氏は、「現状、30GB以上から料金グラフの角度が急になっている状況。これを今回の改定でなだらかになった」とコメント。

 さらに「現状、20GBが容量単位で一番安くなっており、30GBの方が単価が高くなっている。ここを値下げで改善する」とし、大容量プランほど単価が安くなるような体系になったと説明する。

新料金のイメージ

 なお、60歳以上のユーザー向けプラン「やさしいプラン」も料金改定を実施。0.2GBプランは、220円値下げし528円で利用できるようになる。井原氏は「音声通話ができるプランが約ワンコインで利用できるようになる」とコメントする。

シェア回線、足りないというユーザーの声

 シェアプランの回線数を、3月21日から8回線まで改定する。井原氏は「ユーザーから5回線では足りないという声があった。両親やユーザー自身で2枚使うユーザーなどもおり、今回8回線まで拡大した」と説明する。

イオンカードカウンターで契約手続き

 全国のイオンモールにあるイオンフィナンシャルサービスのクレジットカード「イオンカード」の契約カウンターの一部で、イオンモバイルの回線を契約できるようになる。

 15日時点では、全国47カ所の店舗で実施され、8月までに100カ所までに拡大する予定としている。

 井原氏によると、これまではテスト的に実施しており、実際に回線契約するユーザーも多く、多くは他社からの乗り換えで契約しているという。

 イオンモバイルでは、このほか、イオン銀行の住宅ローンやイオン少額短期保険といったイオングループのほかのサービスとの連携を進めている。

 また、2月からau回線でのeSIMの提供を開始した。ドコモ回線については、今夏以降になるとしている。

 井原氏は、継続的な取り組みで、2029年3月末には契約回線数100万回線を目指し、MVNOのコンシューマー市場でシェアナンバーワンを目指すとした。

トークセッション

 説明会の後半は、タレントのくわばた りえと経済アナリストの森永 康平氏が登場し、トークセッションが行われた。

 普段のスマートフォンの利用状況について、くわばたは「スマートフォンがなければ仕事もできない。移動時には乗換案内アプリを活用しているほか、YouTubeなどもスマートフォンで配信している」とコメント。

タレントのくわばた りえ

 森永氏も「出張などで移動が多く、スマートフォンでニュースや簡単なデータの確認など、原稿や資料作成など以外は基本的にスマートフォンで完結させている」とした。

経済アナリストの森永 康平氏

 スマートフォンの料金を確認しているか? との問いに、くわばたは「銀行の引き落としで確認している。自分と子供2人で大体月1万5000円くらい。無制限プランを契約しているが、大体合わせて4GB程度の利用量」と回答。

 井原氏は「無制限プランでも、実際にどれだけ使っているかは一度確認した方が良い。もしかしたら月に10GBしか使っていないかもしれない。その場合は、今契約している事業者のほかのプランや、サブブランド、オンライン専用プランなどに見直すだけでも安くなる可能性がある」と井原氏が語ると、壇上が携帯ショップのような雰囲気になる場面も。

イオンリテール 井原氏

 森永氏は「家計を見直したい」という相談を多く受けるものの、多くは「月に何にどれだけ使っているか金額すら把握していない」ユーザーが多いという。家計の見直しにあたっては、「まずいくら払っているかを知るべきで、自分の契約プランや平均でどれだけデータ通信を使っているか知らないと、家計の見直しは難しい」とコメントする。

 くわばたは、実際の利用環境について、自宅にWi-Fi環境があり、家で仕事をする際もほとんどWi-Fi接続でスマートフォンを利用していると回答。現在の契約プランも、契約しているキャリアショップのカウンターで数年前に相談したのが最後だという。

 森永氏は「キャリアショップで相談すると、そのキャリアのプランの中でしか比較検討できない。自分で調べないと、格安SIMの選択肢が出てこない」とし、携帯料金見直しのポイントを解説する。

 井原氏は、格安SIMについて「言葉自体は知られているが、自分事ではないと思われている気がする」と回答。これまでのくわばたの話から井原氏は「(格安SIMの乗り換えで)家族5人でおそらく5000円以下に、1万円は間違いなく切る」とコメント。くわばたは「毎日スーパーで10円でも安いものを買うためにいろんなところを走り回っているのに……」と驚きの声を口にした。

 一方で、くわばたは「安いのは、何か不安。(今のキャリアは)大手だから、生配信していても大丈夫だと思うが、家族5人で5000円の回線だと、なんだか映像が薄くなったりしそう……」と、格安SIMに関する不安を打ち明ける。

 井原氏は「使い方さえうまくやれば大丈夫」とアドバイス。

 森永氏も「格安SIMをそもそも知らなかったり、知っているけど怪しいという先入観がある。既存のプランを変更したり解約したりするのに、ショップで待たされた経験から、不安感や面倒だと(格安SIMに)移行しないユーザーは多い。家計を見直すために1日100円~200円と食費を抑えるユーザーが多いが、携帯料金の見直しをすれば、1カ月あたり数千円下げることができる」とアドバイス。

 くわばたはそれでも「スーパーの値引きシールを見つけて節約するのはすぐにできる。格安SIMへの移行も、周りから『やった方が良い』と言われているけど、今の利用環境で不便がないけど移行してこれまで通り使えるのか? 解約にいくのがめんどう……」とコメント。

 それに対し井原氏は「今は、番号移行で解約手続きすら不要(な場合もある)。最低利用期間もあるので、問題があればすぐに変更できる」とし、ワンストップMNPの仕組みなど近年の携帯市場の制度について言及した。

 また、くわばたの「(格安SIMは)安すぎる。裏があるのでは……」という不安の声に、井原氏は大手キャリアとの違いについて「わかりやすいのは通信速度が(格安SIMでは)大手よりも少し遅いことが多い。普段使いでは大丈夫」とコメント。また、「お昼の時間は遅くなる。使う時間をずらせたり、そもそもWi-Fiを使うのなら何の問題もない」と解説。

 井原氏は、最後に「物価が上がってきているの、節約ニーズは多い。携帯料金の見直しは、『めんどくさい』という気持ちを抑えて一度やれば継続的に節約できることを知ってほしい。節約できたお金で、新NISAなど投資に回すこともできるし、できればイオングループで買い物してもらえればなおうれしい」とコメント。

 くわばたも「簡単に見直しができる。そこまで安くなるんだ」と自身や家族の見直しをやっていきたいとコメントする。

 森永氏も「一般家庭の家計の5%を占めているのが通信費。5%は結構大きい」と指摘。その上で「食費を抑えるのは我慢が必要。通信費は、一度見直せばよく、質が落ちることもそうそうない」とし、まずは格安SIMのことを知ってもらい、検討してもらいたいとした。