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「NTT法と電気通信事業法は両輪で公正競争を確保」、総務省のWG

 14日、総務省の公正競争ワーキンググループ(第3回)が開催された。検討が進められているNTT法の改正や、NTT東西の通信インフラのあり方について、公正競争の確保に関する基本的な考え方を踏まえ、会が進められた。

 今回のワーキンググループは資料に基づく説明が中心で、現状をあらためて認識した格好となった。

電気通信事業の特性とは

 電気通信事業の特性として挙げられるのは、国民生活や社会経済活動に不可欠な公益事業としての「高い公共性」と、多額の設備投資が必要で独占に向かいやすい「自然独占性」の2つ。それゆえ、市場原理にすべてをゆだねることはできず、公正競争の確保に向けた措置が必要となる。

通信市場自由化以降の動き

 電気通信事業分野では、1985年の電電公社民営化・通信市場自由化以降、2.4万以上の事業者が参入した。市場規模も5倍超に拡大し、サービスの多様化や料金の低廉化が進む。

 移動通信市場ではMVNOをはじめとした事業者による競争が活発化する一方、固定通信市場はNTT東西の回線シェアが高い状況が続く。

「線路敷設基盤」「ボトルネック設備」の重要性

 1985年ごろは固定電話やメタル回線が中心だった電気通信サービスや設備も、それぞれIP電話・ブロードバンドや携帯電話、光ファイバーやモバイル通信網へと変化している。

 電気通信サービスや設備は技術の進展に伴って変化する一方、設備の設置において、電柱や管路・とう道といった「線路敷設基盤」が不可欠であることに変わりはない。

 線路敷設基盤は新たに全国的に構築することが困難で、公平な利用の確保が重要とされる。

 NTTはかつての電電公社から全国の線路敷設基盤を承継しているほか、光ファイバー網など、移動通信サービスでも公共的な役割を果たす「ボトルネック設備」を有する。

 携帯各社からは、先述のような資産を有した状態でNTT東西が完全に民営化される場合、NTT東西とNTTドコモの連携が容易となり、公正競争の確保に重大な影響があると懸念されている。

 そこで、電気通信事業のなかでも「線路敷設基盤やボトルネック設備などを設置して提供されるサービス」は、公正競争の確保が特に必要とされる。

NTT法と電気通信事業法は“両輪”で公正競争の確保に貢献

 電気通信事業分野における公正競争の確保において重要な存在とされるのが、先述のNTT法と、電気通信事業法の2つ。

 NTT法は、NTTの公益性や巨大性・独占性に着目し、NTT(持株)やNTT東西の業務範囲などを定めた特殊会社法。

 電気通信事業法は、アクセス回線のボトルネック性などに着目し、ネットワークの開放ルールなどを定めた業法。また、接続関連情報の目的外利用といった禁止行為を規制したり、大規模事業者のグループ化に際して審査したりといったルールがある。

 公正競争ワーキンググループでは、「NTT法と電気通信事業法が両輪となり、公正な競争の確保が図られている」という考えが示された。

 事業者に対するヒアリングでは、MVNOサービス「mineo」やFTTHサービス「eo光」などを手掛けるオプテージが、NTT東西の業務範囲の見直しなどについて慎重な検討を求めた。