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楽天モバイル鈴木氏、プラチナバンドは「今夏までにはなんとか開始させたい」

代表取締役 共同CEOの鈴木 和洋氏

 楽天モバイルは、同社の法人プラン1周年を記念し、「Rakuten Mobile Business Innovation Summit」を都内で開催した。

 講演後、メディア向けのラウンドテーブルに、同社代表取締役 共同CEOの鈴木 和洋氏が登場し、記者からの質問に応えた。

――今回の講演で、法人事業はあくまで音声通話やデータ通信が主体という印象を受けた。ほかのキャリアはDX化などをしているが、今後の法人事業をどのように考えているのか?

鈴木氏
 サードパーティソリューションといったものを今後拡充していく。ただ、数が多ければいいというのではなく、楽天でなければ提供できない「楽天オリジナルの商材」の開発に力を入れていきたい。

 「Rakuten Link Office」のデスクトップ版もその1つ。三木谷もお話したAIが今後キーワードとなる。OpenAIとも特別な提携関係なので、協力しながら他社では提供できないAI活用ソリューションを出していきたい。

――楽天市場加盟店向けに、SIMを無料で配布しているが、法人向けに無料で配っている意図や効果は?

鈴木氏
 楽天市場加盟店にSIMを無料配布しており、本人確認のうえお使いいただいている。

 大きな理由の1つに「働き方改革」がかなり浸透しており、オフィスの外からスマホでWeb会議したり、スマホで社内作業したりする働き方が一般化しており、そうなるとデータ通信をとにかく使うようになる。楽天モバイルの通信サービスを、市場の加盟店に体感いただいて、追加で回線契約してもらうようなプロモーションとして考えている。あくまで、取引のある特定の法人に配布しているもの。

 最終的に、サブスクライバー加入者(有償で契約するユーザー)の拡大につながるような形で実施しており、状況を見守りながらやっていきたいと思う。

――法人ユーザーが増えたことで、ARPU(1ユーザーあたりの単価)が下がったようだが、反転材料はあるか?

鈴木氏
 正直言うと、B2CとB2Bを比較してB2Bの方がARPUが低いというのは、(国内の)4キャリア全部共通だと思う。

 ただ、法人の場合は、ソリューションやサードパーティのソリューションもあり、自社開発のものも含めて伸びしろが大きいと思っている。

 単純に通信量ではなく、ユーザーがトータルで支払っている「ウォレットシェア」を我々の方に増やしてもらうことで、ARPUを向上させていきたい。

――販売代理店に関しての現況や今後の見通しは?

鈴木氏
 代理店ビジネスという観点では、継続して実施している。

 楽天の取引先を中心に代理店をお願いするなど、後発のキャリアなので、他社と同じようなことをしても、なかなかビジネスを伸ばせないと思っている。

 そういった意味で、代理店のリクルーティングに関しても、他社と違った取り組みをしていきたい。

――法人の回線数は?

鈴木氏
 具体的な数字は非開示。

 ただ、1万社を獲得しているということで、1社あたりの平均回線数をかけ算になると思うが、5回線のユーザーから8000回線のユーザーまでいる。そういう意味では、さまざまな法人がミックスされているが、(楽天グループの)90万社の基盤の話があるが、楽天市場の加盟店は、どちらかというと大企業より中堅中小、地方の法人が多いという風に思うので、そういったところから想像を膨らませていただければと思う。

――プラチナバンドの開始について、6月開始(矢澤氏の発言)という話があったが、具体的には?

鈴木氏
 正式に何月という話はしていないと思っている。今、鋭意準備中で三木谷も触れていると思うが、時期的には今夏前ぐらいにはなんとか……というような形で進めている。

 はっきりした時期が確定したら、またあらためて説明させていただきたい。

――IoTや5Gを活用したソリューションは今後あるのか?

鈴木氏
 日本国内に関して、会社としての公式な話ではなく個人的な意見として「IoTに関しては、やっぱり少しゆっくり進んでいる」と思っている。

 ネットワークスライシングなども2024年には実用化するという見立てが多かったと思うが、そこに関しても少しゆっくり進んでいるのかなと。

 ビジネス環境面でも、基本的にはマネタイズ、事業化がうまくいかないと、こういったものは普及しないと思っているので、タイミングがすごく重要。

 楽天モバイルとしても、世の中の動きに同期しながら進めていくというのが方針だ。

鈴木氏

――楽天モバイルの契約者情報を、マーケティングに活用していくソリューションなどはあるか?

鈴木氏
 そういうアイデアも、考えている中の一つにはある。

 ただし、楽天モバイルのデータは慎重に取り扱わないといけない。法律などの規制を遵守したうえで、そういったところもうまく使っていきたい。

 一方で、データとAIを掛け合わせれば、かなり最強のマーケティングのツールができ上がっていくんじゃないかなと。そこに関してはさまざまな検討がされている。確定できたところで、またお話させていただきたい。