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NUROのこれからが語られた「NURO EXPERIENCE」、NURO 光の回線品質については「モニタリング調査を強化」
壇上には、CM起用の戸田 恵梨香も登場
2024年1月16日 20:56
ソニーネットワークコミュニケーションズは16日、「NURO EXPERIENCE」と題した記者発表会を開催し、同社の最新技術や事業展開のほか、戸田 恵梨香が登壇し16日から放映が開始された新CMが披露された。
進化し続ける通信サービス
同社代表取締役 執行役員社長の渡辺 潤氏は、同社について通信業を営んでいる会社であると同時に「新しい事業をソニーグループの中でどんどん立ち上げていくという役割を担っている」と説明。
NURO 光は「より太い回線を提供しつづけることに大きな価値がある」とし、「1人あるいは1家庭にパソコン1台」だった時代から「IoTデバイスを含め多くのデバイスを利用」する時代になったとし、ソニーグループ内だけでもネットワークに接続する多くのデバイスが登場してきている。「ライフスタイルの変化に合わせて自社サービスを進化させてきた」と、これまでのサービス提供指針を振り返る。
渡辺氏は続けて、光通信のイメージが強いが、NUROモバイルやローカル5Gサービス(NURO 5G)、法人向けビジネスやAI、家庭向けのスマートライフやヘルスケア分野のサービスも進めているとし、「通信の上で使ってもらえるソリューションを展開し、10年間事業の拡大を続けている」とアピール。制約にとらわれない事業展開を「UNLOCK NEW YOU」「すべてのものを解放していく」というコピーを掲げ、今後もさまざまなサービスを展開していく姿勢をみせた。
今後の展開について
今後の事業展開については、同社執行役員 NURO事業部 事業部長の永井 直紀氏から説明された。
永井氏も、NURO 光について「当時世界最速の下り最大2Gbpsを実現した」と先進性をアピールしたうえで、サービス開始から10年間でサービスエリアが北海道から九州まで22の都道府県に広がり、150万回線近く提供しているとコメント。
10ギガ提供エリアについては、宮城県では既存のサービスではなく10ギガサービスのみを展開させているほか、4月に広島県、10月に茨城県、栃木県、群馬県に拡大させた。
あらたにNURO 光のサービスエリアとなる地域では、10ギガのサービスのみを展開しており、すでに10ギガサービスを提供している都道府県の数は既存サービスの都道府県を上回っているという。既存のサービスエリアに対しても、10ギガサービスの提供エリアを順次拡大していく。
本日からのCMには戸田 恵梨香を起用
16日から放映されるテレビコマーシャル(CM)では、女優の戸田 恵梨香を起用している。CMについて永井氏は、動画のストリーミング再生やスマートフォンでゲームを楽しむ家庭も増えてきていることを背景に、これまでのコアなターゲット層に加えて一般の家庭にもNUROの認知を広げるべく、今回のCM制作と放映に至った旨を説明する。
今回の説明会では、戸田も登壇し、今回のCMに対する意気込みなどを語った。
CMについて戸田は「(共演する)子供たちがかわいかった。そして、(CMで使われている)音楽が本当に耳から離れなくて、私も知らないうちに口ずさんだり、子供をあやすときにうたっていたり、怖いぐらいです」とコメント。今回は、CMに出演した園児もリモートで登場し、CMでも使用されている歌が披露された。
NURO 光のイメージを問われた戸田は、CMの最後のシーンを交えて「ソニーだからこその安心感と信頼があると思う。速くて安くて安心して使えるイメージ」とコメント。NURO 光が10周年ということにかけて、自身の10年後の理想像を問われた戸田は「迷わず一つのものをちゃんと選択できて、その答えを自分が信じていけるような女性になりたい」とした。
「NURO 光」今後の取り組み
「NURO 光」の今後について、同社NURO事業部 副事業部長 村田 真之助氏は、生活環境の変化に伴いトラフィック量が変化しており、現在10ギガの普及を強化し、時代に先駆けて通信インフラを進化させることで「ユーザーの快適な未来を先取りする“攻めるインフラ”を目指す」とコメント。
また、NURO 光では、ソニーグループである特長を生かし、プレイステーション5やソニーのテレビ「BRAVIA」シリーズとグリーン電力がセットになったオプションなども展開しており、ユーザーがリーズナブルでサービス利用ができる取り組みを進めている。
村田氏は、快適なサービス提供のために3つの取り組みを行っていると説明。
1つ目は、10ギガサービスをスタンダードにすべく、エリアの拡大と拡充を進めること。2つ目は、前年比200%となる規模のネットワーク設備の増強。
3つ目は、システムの強化を行い、ユーザビリティの向上や、ユーザーの窓口となるスマートフォンアプリを通じ、料金確認や新サービスの案内、問い合わせなどができる利用体験を提供する。
また、村田氏は「安心安全への取り組み」として、ユーザー環境下でのモニタリング調査強化を挙げた。ネットワーク網内でのモニタリング調査はこれまでも実施されているが、今後はアプリを通じて自宅の通信速度を計測する機能を実装し、よりユーザーの通信環境に近いところでの計測を行う。
また、SNSの声もヒアリングし、ユーザーの声を受けたサービス改善を目指すという。実際に「2Gbps→10ギガ」へアップデートできる仕組みも、こうしたユーザーからの声を受けて実現したものだという。
加えて、スポンサーシップ契約を結ぶeスポーツチーム「REJECT」のメンバーから実際の利用体験をレビューし、その内容を公表する取り組みを実施し、ユーザーとの信頼関係を深めていくとした。
村田氏は、「NURO 光はこれまでもこれからも、ユーザーの声に真摯に耳を傾け、快適な通信ネットワークで感動する毎日をお届けし、皆様の暮らしが豊かになるサポートをしていく」とし、今後も通信環境について目を光らせていく姿勢を示した。
NUROモバイルのこれからと今後「ワンストップMNPを6月に開始」
続いて、MVNO事業室 室長の田中 直樹氏からは、NUROモバイルのこれまでとこれからの取り組みが説明された。
NUROモバイルについて田中氏は、「トリプルキャリア対応に加え、ソニーのAI技術でプラン全体の通信量を予測して、ユーザーが快適に利用できるよう取り組んでいる」と説明。
また、ユーザーの使い方に合わせて特徴が異なるプランをラインアップしているとし、「多様化するライフスタイルやニーズに寄り添った豊富なサービスラインアップ」とアピールする。
田中氏は「NUROモバイルならではのサービス拡充によるユニークなサービスと、コストパフォーマンス、通信品質の提供により選ばれるブランドへ」をサービス方針に掲げているとし、今後の目標として「先進的な取り組みで存在感のあるマーケットポジションの確立と、オンライン化の促進でユーザーの利便性向上を図る」と挙げた。
これまでの取り組みの成果として、田中氏は「33カ月連続で純増となり、累計加入者数は(2021年3月から)約3倍になった」とアピール。この理由について田中氏は「原動力となったのは、2021年4月に開始したバリュープラスと11月に開始したNEOプラン。市場ニーズを早期にキャッチし、さまざまなサービスアップデートを実施してきた」と、好調の理由を明らかにした。
今後のサービス拡充として、6月に「MNPワンストップ」を導入することを田中氏は明らかにし、「オンライン化が進む中で、より一層の利便性向上を図り、ユーザーに選ばれる通信会社を目指す」とした。
NURO 5Gや法人向け事業など
光回線やMVNO事業だけでなく、NUROブランドでは、5Gをはじめとした無線通信や法人向け事業などを展開している。
イベント向けにローカル5Gを提供
たとえば、「NURO 5G」のブランドでは、光回線が導入できない集合住宅向けのインターネット回線サービス「NURO Wireless 5G」と、エンターテイメント現場に特化した法人向けローカル5Gサービス「MOREVE」を提供している。
ソニーワイヤレスコミュニケーションズ 執行役員の大津 康治氏によると、「MOREVE」は2023年11月に開始されたばかりのサービスで、エンターテイメントにおけるプレイヤーやそれを利用するエンドユーザーに最適なネットワークを届ける役割を担っているという。端末数や移動に制限のある有線接続と、安定性に課題のある無線接続の課題を解決するソリューションであると説明する。
イベント会場の施設管理者向けにローカル5Gのソリューションをワンストップで提供するほか、イベント主催者に向けても事務局用やブースで利用するといったサービスを提供している。
人を見守る低電力通信サービス
「NURO Biz」ブランドでは、低電力で広範囲の通信を実現するIoTネットワーク「ELTRES」事業を展開している。ソニーネットワークコミュニケーションズ NURO事業部 LPWA営業部 部長の新井 俊介氏によると、このサービスは日本で開発された国産サービスとして、主に屋外のモノの状態監視を得意とするサービスだという。
通信できるエリアは、見通し100km以上の範囲までカバーできているといい、富士山頂から約350km離れている和歌山県那智勝浦町の間でも通信できるほか、新幹線のような高速移動体との通信もできるもので「ほかの競合他社のサービスにはまだできないもの」とアピールする。
また、通信方法においてもソニーならではの技術が生かされているといい、質の高い安定した通信を実現している。
利用シーンとしては、人の見守りや物流、災害対策、状態監視、農業分野での利用が進められている。
説明会の後半には、この「ELTRES」を利用して山岳遭難対策事業「COCOHELI」のサービス展開を予定しているAUTHENTIC JAPAN 代表取締役社長の久我 一総氏も登壇。約15万人の有料会員をもつこのサービスでは、ユーザーに発信機を貸し出し、その発信機からの電波をヘリコプターやドローンなどに備えられた受信装置で受信し、遭難者の捜索範囲を絞り込んでいるという。
久我氏によると、登山届を出していないユーザーであっても、発信器の履歴などを辿ることで携帯電話のサービスエリア外であっても、遭難者の位置を絞り込むことができるという。
現在は山岳エリアでのサービスに特化している「COCOHELI」について、今後は海にもエリアを広げてサービスを展開していくという。新井氏によると、携帯電話の電波がつながりにくい海水面でも「ELTRES」の電波はつながるとしており、「ELTRES」の強みが発揮されるサービスになると期待感をにじませた。