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生成AIの“使い魔”キャラやApple WatchがINFOBARになるケース――「au Design project」20周年で展覧会

 KDDIの「au Design project」が20周年を迎えたことを記念して、東京都港区の東京ミッドタウンで展覧会「Digital Happiness/いとおしいデジタルの時代。」展がスタートした。期間は12月10日まで。入場料は無料。

20周年を迎えたau Design project

 au Design projectは、KDDIのデザインにこだわった製品を手がける取り組み。深澤直人氏をはじめとする、時代を代表するプロダクトデザイナーが携わっており、2003年に発売された携帯電話「INFOBAR」を皮切りに携帯電話「MEDIASKIN」など多くの独創的な製品を生み出してきた。今年、2023年に20周年を迎えた。

au Design project1号機の初代「INFOBAR」

 「毎日、目にし、手にするたびにちょっと幸せな気分になれる」というのは、ネットに書き込まれたあるau Design projectのファンの言葉。au Design projectを手がけるKDDI 事業創造本部の砂原哲氏は、この言葉を「まさにau Design projectが当初から大切にしてきた人とモノの関係の理想的なありよう」と語る。今回の展覧会のタイトルである「Digital Happiness」には、そうした意味合いが込められているという。

 XRやメタバース、生成AI、メタバースなどさまざまな新技術が世に登場するなか、それらと「どう付き合うべきか」を提示したいとその意義を語る。単純な機能性だけではなく「愛おしい」と感じたり「エモーショナルな気分」になれたりといった関係性を重要視して、au Design projectを進めてきたという砂原氏。

KDDI 砂原氏

 一方で、近年では「そういった関係性が薄れてきている」との見方を示す。au Design projectとしては、2018年に発表したAndroidスマートフォン「INFOBAR xv」が最後になっている。

 およそ5年ぶりの新製品のひとつである、生成AIを用いる「Ubicot」は「Digital Happiness」を表すものと語った。

“使い魔”的なマスコットやINFOBAR型Apple Watchケース

 Ubicotは手のひらサイズのロボットのようなキャラクターで、デザインは深澤氏が手がけたという。生成AIを活用しており、ユーザーと会話ができることを目指している。砂原氏によれば、アニメ・マンガにあるような主人公と一緒にいる妖精や使い魔のようなパートナーをイメージした。

 Ubicotのプロジェクト自体は、2016年ごろから存在していた。近年では生成AIの登場や当時は難しかった小型化が可能になったことなどから形になりつつあるという。

Ubicotのプロトタイプ。展示されているものは一方的に喋るのみだが、会話ができるものを目指す

 あわせて披露されたApple Watchケースは、2003年に発売された初代INFOBARを模した形。寸法もほぼ同じという。

 INFOBARのディスプレイにあたる部分にApple Watchがはめこまれるようになっており、INFOBAR側のキーは押せないが通常通り画面をタッチして操作が可能。色合いや特徴的なキーなど、当時の佇まいが極めて精巧に再現されている。Apple Watch経由で通話すれば、2023年にふたたびINFOBARを使っている気分に浸れる一品だ。

本物のINFOBARとApple Watchケース。遠目では見分けがつかないほど精巧

 砂原氏は「INFOBARが20周年を迎えた。リアルなプロダクトが出せれば一番良かったがなかなか難しい時代。しかし何も製品を出さないのもファンに申し訳ない」として初代INFOBAR型のApple Watchケースという発想に行き着いたことを明かした。現時点で発売日など詳細は決まっていないが、商品化を目指しているという。

会場にはほかにも楽しめる展示があり、別棟でお土産も買える

 このほか、記念映像の上映、グッズの販売、ソニーと京セラの特殊なディスプレイを用いた「METAVERSE WATCH concept」の展示も行われる。

 「Digital Happiness/いとおしいデジタルの時代。展」は12月10日まで。東京都港区の東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で行われている。