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「楽天ペイ ターミナル」へポイントカード機能を搭載――中小店舗の楽天ポイントカード加盟店普及拡大を目指す

 楽天ペイメントは15日、今年7月に発表したオールインワン型の決済端末「楽天ペイ ターミナル」で、新たに楽天ポイントカード機能を追加で提供したと発表した。あわせて、楽天ポイントカードの新規加盟店となる店舗向けに初期費用を0円にするキャンペーンを実施する。

 「楽天ペイ ターミナル」は、同社が7月27日に発表した決済端末。Android OSとNFC/FeliCaリーダー、カメラ、レシートプリンターを搭載しており、ターミナル1台で「コード決済」(楽天ペイ、au PAY)、「クレジットカード」(タッチ決済も対応)、「電子マネー」(楽天Edy、交通系IC、QUICPay、iD、nanaco、WAONなど)の決済ができる。

 今回は、決済機能に加え楽天ポイントカードの積算と利用機能が追加され、加盟店は決済とポイントカード機能を1つの端末で利用できる。

「楽天ペイ ターミナル」にポイントカードアプリが追加され、本体のカメラでポイントカードのコードを読み取る

拡大するポイント市場でシェアを持つ楽天

楽天ペイメント CMOの諸伏 勇人氏

 楽天ペイメント CMOの諸伏 勇人氏は「楽天ペイ ターミナル」について「想定を大きく上回る申し込みがあった」とコメント。楽天ポイントカードの利用については、動画プロモーションなどで徐々にリアル店舗での利用も浸透してきており、ユーザー満足度も高くなり、キャッシュレス決済の「楽天ペイ」の利用にもつながってきているとの分析を示した。

 また、ポイントサービス市場について、営業第二本部 本部長の末吉 覚氏によると、「2027年度には3.4兆円規模まで成長する」予測値が出ているという。

営業第二本部 本部長の末吉 覚氏

 このポイントサービス市場では、外部の調査結果で46.0%のユーザーが「買い物をする際に意識している経済圏」として楽天経済圏を、35.0%のユーザーが「最も活用しているポイントサービス」として楽天ポイントと回答している。

 末吉氏は、楽天ポイントは、拡大傾向にある市場でシェアを持っているとし、今後も規模を拡大させていくとした。

 楽天ポイントの総発行数は、2020年10月~23年9月までの1年間で6600億ポイントが発行されている。

 一方、加盟店側から見た「楽天ポイントカードの効果」について、末吉氏はポイント利用ありで「1人当たりの購買金額が2.7倍」、「1人当たりの利用回数が2.9倍」になるとコメント。さらに、楽天のキャッシュレス決済サービスの「楽天ペイ」や「楽天Edy」などのサービスとあわせて利用するいわゆる“クロスユース”では、それぞれ+30%を超える購買金額となり、同社でもクロスユースを推進するキャンペーンの展開を推進しているという。

 ポイント利用の継続率についても末吉氏は目を向けているといい、「当たり前の話だが」と前置きしながらも、利用企業数が多ければ多いほど翌月の利用継続率が高い傾向にあり、また購買回数も増加するとし、「ポイントカードを使うユーザーに向けたキャンペーンの展開」と「使える店舗を増やすこと」が重要と指摘する。

 すでに多くのチェーン店などで展開している楽天ポイントカードであるが、直近の4年間で2.6倍まで企業数が増加してきており、中小企業においても代理店を通じた加盟店獲得を実施しているという。今回の「楽天ペイ ターミナル」でのポイント機能対応は、この中小企業向けに自社で加盟店開拓を行う狙いがあるとし、パートナー数を近く2倍以上に伸ばしていきたいとした。

楽天グループ再編でシナジー効果を狙う

 楽天グループは8月、金融事業における組織再編を発表し、楽天ペイメントは同じグループの楽天カードの傘下に入ることになった。いわゆる兄弟企業から親子企業になるメリットについて末吉氏は「楽天カードのユーザーに楽天ペイメントのサービスを使ってもらえるようなシナジー効果を発揮」と説明。

 一つの事業体となることで、共同のキャンペーンの展開や、オンラインでの楽天ポイントや楽天ペイの利用推進など、楽天グループのアセットを活用してサービス利用を推進していきたいとした。

「楽天ペイ ターミナル」と「楽天ポイントカード」の導入メリット

営業第二本部 アライアンス営業部 部長の土田 智之氏

 営業第二本部 アライアンス営業部 部長の土田 智之氏は、加盟店から見た「楽天ペイ ターミナル」と「楽天ポイントカード」の導入メリットを説明。

 「楽天ペイ ターミナル」については、登場以降導入キャンペーンのエントリー数が好調で、導入店舗からも好意的な声が聞かれるとコメント。

 楽天ポイントカードの加盟店になるメリットを土田氏は、「新規ユーザーの送客」や「マーケティング」、「ユーザービリティ向上」を挙げる。

 あるパートナー企業の調査では、楽天ポイントを使うようになって使うようになったユーザーが4.8.%、以前から使っていたがポイントで利用が増えたユーザーが36.9%となり、実際に新規顧客の送客と利用回数利用頻度の増加が効果として出ていると説明。

 また、パートナー企業独自で個別にキャンペーンを実施でき、パートナー企業が個別に抱える課題を、楽天ポイント機能を通じて解決を図れるとした。

 今回の「楽天ペイ ターミナル」のポイントカード機能でも、曜日や時間帯でポイント倍率を変更できるシステムが取り入れられているといい、中小企業でも課題解決に向けて取り組めるとした。

導入キャンペーン

 「楽天ペイ ターミナル」でのポイントカード機能の利用には、ポイントカードの加盟店申し込みが別途必要となる。

 同社では、24年1月31日までの期間中、「楽天ペイ ターミナル」経由で楽天ポイントカードの加盟店申し込みを行い、一定条件を満たすと、加盟時に必要な初期費用1万1000円分を0円にするキャンペーンを実施している。

マクドナルドの加盟店脱退の影響は「小さい」

 末吉氏は、11月に発表された楽天グループのポイントプログラム「SPU」の制度変更に伴うポイントカード加盟店への影響について「(今回の変更は)主に楽天モバイルユーザーへの特典を厚くするものという認識。実店舗への影響は現時点で少ない。楽天モバイルユーザーは、楽天のほかのサービスを多く使う傾向にあるので、実店舗でも利用シーンが多くなるのでは」とコメント。

 また、マクドナルドが楽天ポイントカード加盟店から脱退する影響については「楽天ポイントカード全体でそれほど多くの企業が脱退しているわけではない。マクドナルドでの利用については、楽天ポイントカード全体における割合はそれほど大きくないので、影響は軽微」という旨の分析を示した。

左から末吉氏と土田氏