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楽天ペイメントが店舗向け新決済端末、店舗への導入促進でキャッシュレス後押し

 楽天ペイメントは、楽天ペイ(実店舗決済)でオールインワン型の新型決済端末「楽天ペイ ターミナル」の提供を開始した。取り扱いを記念して導入0円キャンペーンを実施する。

左から楽天ペイメント 末吉覚氏、近藤嘉徳氏、井上卓也氏

モバイル回線にも対応する決済端末

 クレジットカード、コード決済、電子マネーの各種決済に対応しており、レシートプリンターの機能もあわせ持つ。Wi-Fi接続のほか、4G LTEにも対応しておりレストランの屋外席や自動車修理工場など、店舗外での決済も可能になる。

 これまでは、スマートフォンなどの端末に加えてプリンターや読み取り機などが必要だったが、今回の端末はすべての機能を兼ね備えたオールインワン型。Androidベースの端末で、楽天ペイメント独自の「アプリセンター」を用意した。物理SIMとeSIMをサポートしており、SIMロックフリーだが動作保証しているのは、楽天モバイルのSIMのみ。バッテリーは着脱が可能な仕組みになっている。

 店舗のニーズに合わせた機能の配信などが可能で今後、楽天ポイントカードを読み取りポイントを貯める・使う機能の対応やQRコード決済の対応ブランド拡大、POSレジとの連携などが予定されている。

左=ホーム画面。右=アプリセンター

 端末価格は3万8280円。10月31日までの期間で事業者を対象に導入0円のキャンペーンが実施される。

店舗と消費者の両輪でキャッシュレスを後押し

 楽天ペイ(実店舗決済)とは、店舗の運営者に向けた決済ソリューション。一般消費者に向けたアプリとしての「楽天ペイ」とは異なる。導入は、一般ユーザー向けの楽天ペイよりも古く「楽天スマートペイ」としてスタートした。

 当時から消費者向けに楽天カードなどのキャッシュレス決済があったものの、楽天ペイメント 執行役員 CMO 諸伏勇人氏は「決済の『フルデジタル化』は、エンドユーザー(への取り組み)だけでは実現できない。店舗と消費者の視点が必要」と語る。楽天ペイメントが提供してきたソリューションは、いわゆる「mPOS」(モバイルPOS、POS=Point of Sales)に位置づけられるもの。

 一般的なスマートフォンやタブレットなどと読み取り機、レシートプリンターなどをBluetoothで連携させるmPOSは初期コストが少なく、個人店などの小規模事業者でも導入のハードルが低いメリットがある。ここ最近では、すべての機能を1台の端末に統合したオールインワン型端末の需要が高まっているという。

 今回、発表された新端末はそうした時流の変化に対応したかたち。オールインワン型の端末の場合、レジカウンターなどひとつの場所にとらわれずに移動しやすいなどのメリットがある。今回の新端末ではWi-Fiのほか、モバイル回線にも対応しており、自動車修理工場において客先に出向いての納車時の決済など、さまざまな業態・さまざまなシーンでの決済に対応できることがアピールされた。

先行導入した事業者の声。自動車の修理後、客先へ納車。その場で決済している
ホテルでの導入。決済スピードが早いとして利便性の向上が示された

成長の余地見せる日本のキャッシュレス

 日本におけるキャッシュレス市場は成長の一途をたどる。同社が示した経済産業省の資料によれば、2022年時点でのキャッシュレス支払額の比率は36%。

 楽天ペイメント 執行役員 営業第二本部 本部長の末吉覚氏は、世界との比較では日本のキャッシュレス市場にはまだ成長の余地が大きいとの認識を示す。韓国の例では、政府が主導することでクレジットカードの利用率が増加。中国では、アリババの「AliPay」やテンセントによる「WeChat Pay」など、IT大手のサービスがキャッシュレス決済普及の道筋を作った。

 前出の2カ国の2020年におけるキャッシュレス決済率は、ぞれぞれ80~90%台なのに対して、日本32%ほどと低い値を示す。中国および韓国の事例では、中小規模事業者への対応が進められたことと反対に、日本では大規模に展開する商業施設などではキャッシュレス決済が普及しているものの、個人店など中小規模事業者での普及に遅れが目立つ。

 楽天ペイメントでは同社のソリューションを「安い、早い、便利」と銘打ち、小規模店舗における導入のしやすさをアピール。コストの低さや導入時の迅速性、決済後の入金の早さなど、事業者の求める機能性を取り揃え、消費者がキャッシュレスを利用する機会の増加を促進することで、さらなる普及を狙う構えだ。