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NTTと東京電機大、量子アニーリングマシンで無線品質を推定する新技術

 NTT(持株)と東京電機大学は、超高速と高精度を両立する電波伝搬シミュレーションの実現アルゴリズムを開発し、実際の量子アニーリングマシン上での有効性を実証した。

 自動運転などの6G/IOWN時代に求められる、すべての端末がつながり続ける無線通信サービスの実現への寄与が期待される。成果は11月14~17日に開催される「NTT R&D フォーラム― IOWN ACCELERATION」で展示される予定。

壁面での電波散乱モデル

 無線通信品質推定のためのシミュレーション方法であるレイトレース法には、膨大な計算時間が必要という課題があった。

 NTTと東京電機大学は2022年12月、アニーリングマシン上で動作する伝搬QUBOモデルを考案。レイトレース法との比較で100万分の1以上、計算時間を短縮させる技術を確立していた。

新たな伝搬QUBOモデルを考案、検証も

 今回NTTと東京電機大学が考案したのは、新たな伝搬QUBOモデル。従来のリアルタイム性はそのままに、無線通信品質推定の高精度化を両立した。

 また、疑似量子アニーリングによる動作検証に加え、疎結合5640量子ビットの量子アニーリングマシンで新たな伝搬QUBOモデルを実際に動作させることに成功。アルゴリズムの有効性が実機で確認された。

電波の通り道推定例と推定結果の比較

 リアルタイム性と高精度化を両立した無線通信品質推定が現行のアニーリングマシン上でできるようになったことで、無線端末1台1台に対し、周波数や時間といった無線リソースの最適化を、実プロダクトの量子ビット提供レベルで実現する可能性が生まれた。

 今後はこの技術を無線通信ネットワークに組み込み、高速・大容量・低遅延で繋がり続ける無線システムの実証を行うとしている。さらに、2030年をめどに技術確立を目指す。