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「Nothing Phone (2)」発表イベント、他社のフラッグシップに対抗できるエキサイティングな製品をカール氏が解説
2023年7月12日 03:04
英Nothing Technologyは、「Nothing」ブランドの新製品として、Androidスマートフォン「Nothing Phone (2)」をオンラインイベントで発表した。日本では7月25日に発売され、21日からNothing公式サイトで予約受付が開始される。
価格は、メモリーとストレージの組み合わせが8GB+128GBが7万9800円、12GB+256GBが9万9800円、12GB+512GBが10万9800円。
オンラインイベント冒頭では、CEOのカール・ペイ(Carl Pei)氏と同社の株主でYouTubeパーソナリティ、映像作家、VloggerでもあるCasey Neistat(ケイシー・ナイスタット)氏が「最近カール氏が楽しみを失った」として、カール氏を元気づけるストーリーから製品に関わったスタッフと新製品「Nothing Phone (2)」を紹介する流れにつながっている。
ジェットコースター恐怖症のカール氏
「Nothingの使命は『テックを再び楽しくすること』なのに、カールは楽しみを失ったと言っている」とケイシー氏からの問いかけに、カール氏は「忙しかった。つまらなくなったとは思っていない」と返答しつつも苦手なジェットコースターに乗車する。
そして、ジェットコースターに2人は並んで乗車。ジェットコースターが動き出すと、ケイシー氏は手元に「楽しむ力」の本を用意し、「人生を楽しい方向に向いているかどうかのチェックリスト」を読み上げ始める。
カール氏は、ケイシー氏の問いかけなど構わず「あああー!!」と絶叫。その後、場面は切り替わり、落ち着いたスペースで会社設立当時のことを語り出した。
8年前、カール氏がOnePlus在籍中の頃にケイシー氏と出会ったという2人。カール氏が独立し、資金調達をした際カール氏は「不安だった、ケイシー氏が私たちに賭けてくれた一人だった」と当時を振り返る。
ケイシー氏は、当時カール氏から電話で「正直に言うと、僕たち(カール氏)は失敗するかも知れない」と聞いていたというが、参加できることに興奮し、カール氏のビジョンを「エキサイティング」だと評していたという。
Nothing Technologyの近況について、カール氏は「非常に厳しい環境だが、最近はかなりうまくいっている。もうすぐ出荷台数が200万台で、いいマイルストーンを迎えられそうだ」とした。
10m先からでもわかるデザイン
「Nothing Phone (2)」のデザインについてカール氏は「10m離れてもわかる製品」とコメント。また、先代モデル「Phone (1)」では、ハードウェアの設計に重点を置いて、ソフトは基本的な部分だけだった一方、今回はエンジニアスタッフが大幅に増え、ソフト面でも多くの取り組みが行えたとしている。
製品に使用しているアルミは100%リサイクル素材で、背面には「Gorilla Glass」を採用している。スペック面では、プロセッサーやカメラなど先代モデルから向上し、「フラッグシップモデルと真っ向勝負できる」(カール氏)という。
カール氏は「業界は今とても退屈。限界に挑戦していない。だから、私たちが挑戦しないと誰も挑戦しないのではないか。革新的なことをやり続けたい、業界をもっと楽しくしたい」とコメント。「大きな野望を持ち、これまでと違うことをやっている」小さな企業を応援したいなら、このスマートフォンを選ぶべきとした。
続けてVlogの撮影方法をケイシー氏から教わったカール氏は、自身で撮影を始め、過去と現在のテック業界を振り返った。
カール氏は「かつてはハイテクが楽しく、興奮していた頃を覚えている。毎年、画期的な新機種が発表されていた」と昔を振り返る。
現在について「悲しいことに今はそうではない」とし、「大きな市場シェアを持つ大手企業なら、毎年同じような製品を作り続けることで会社を維持することができる」ことを理解しているとコメント。
実際に、独創的な新製品や新機能を生み出す夢があっても、市場シェアの重みに従えば毎年同じような製品を作ってしまうとカール氏は指摘。
Nothing Technologyについて「会社は小さく大手のように同じデバイスに縛られることがない」とし、ほかとは違う美しい製品をデザインすることで、再びイノベーションを起こすとした。
進化したデザイン、Graphインターフェイスも強化
次にカール氏は、場所をロンドンのデザインスタジオに移し、デザインディレクターのアダム・ベーツ(Adam Bates)氏とともに、Phone (2)のデザインを説明した。
Phone (2)に関しては、OSや背面のGlyphインターフェイス、素材やデザイン、ディスプレイ、カメラ、プロセッサーといったすべての要素がPhone (1)よりレベルアップしているという。
Glyphインターフェイスでは、ライトが増えてより表現力が増して新しい機能を追加できるようになった。この1年間でエンジニアチームのレベルが上がったといい、カウントダウンタイマーやアプリごとの通知設定などが追加されたほか、Uberで配車依頼時にドライバーとの距離感をディスプレイを見なくても確認できるようになっている。
これらのインターフェイスについては、「Uberの状況を確認しようとディスプレイ面を見てしまうと、メールの通知などあれもこれもとスマートフォンを見てしまう。これはスマートフォンに吸い込まれないためのものだ」としており、今後も対応機能を追加していくという。
ディスプレイに関しては、フロントカメラを中央に配することで左右対称のデザインとなっており、3Dガラスの採用で、薄さが際立っている。背面のカメラ部分は、新しいカメラを強調するため黒いベゼルとなっており、よりプロフェッショナルぽさが演出されている。
Phone (2)のデザイン面についてカール氏は「Phone (1)と似ている」と指摘。アダム氏は「継続性を持たせ、Phone (1)を土台に全く新しいことをするというバランスが重要。会社としてアイデアが欠乏しているわけではなく、あまりに早く変わりすぎると、ほかとなじんでしまうかも知れない」と基礎固めの重要性をアピールした。
製造拠点
カール氏は、生産拠点の一つである中国 深圳に場所を移し、デザインをさらに深く掘り下げるとした。
Phone (2)のテーマは「洗練」だとし、50以上のプロトタイプを経て完成させたことを明かした。試作54号機を手にしてカール氏は「Phone (1)の後継にふさわしいもの。見た目の高級感だけでなく、手にしたときのプレミア感が出ている。よりスリムなミッドフレームに丸みを帯びたガラスの背面、人工工学に基づいた満足のいく持ち心地」と評価。
ディスプレイについては、1Hz~120Hzの可変式リフレッシュレートをサポートし消費電力を30%削減しており「本当の意味でのフラッグシップディスプレイ」とカール氏はコメントする。
チップセットも「Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載し、全体的なパフォーマンスは80%向上している。
バッテリー容量は200mAh増加したほか、ソフトウェアの効率化などにより、カール氏個人的な体感値として約40%向上したとしている。
カメラ機能
Phone (2)のカメラ機能について、カール氏は「どんなフラッグシップモデルにも対抗できると自信を持って言える」と性能をアピール。スマートフォンのカメラはここ数年で性能が劇的に良くなったとしながらも、「ハードウェアをよくするとデザインを大きくしたり厚くしたりする必要があるかも知れない、妥協が必要かもしれない」と、センサー選びは慎重であるべきとコメント。
フロントカメラには、ソニー製IMX615を採用した3200万画素のカメラで、Phone (1)からピクセル数は2倍、センサーサイズは30%大きくなった。
背面のメインカメラは、IMX890を搭載した5000万画素のカメラで、ISPに最大4000倍のデータを送ることができる。
カール氏は、ハード面だけでなくソフト面からもカメラ機能向上にアプローチしているという。たとえば、背景と被写体の明るさが違う場合、新機能のアドバンストHDRでは、同じシーンを露出レベルを変えた8つのフレームで撮影し、最良のディテールを選択し融合するという。
また、動体検出アルゴリズムを向上させ、動く被写体をより正確に検出し、いつでも鮮明な写真を撮ることができる。
Nothing OS 2.0
Phone (2)のOS「Nothing OS 2.0」にもアップデートが加えられている。
モバイルOSの現況について「ホーム画面は乱雑になってきている」とし、今回OSにもNothingのDNAを投入したと説明。
「ユーザーに意図的であってほしい」としたUIでは、単色のデザインを採用し、「広告のように独自の色とロゴをもつアプリ」のアイコンから色を減らし、ユーザーに提供することで、すべてが整理されたように感じられるデザインとしているという。
デザインだけでなく、アプリを開く速度やアニメーションのスピード、モーションデザインなどすべてが重要とし、パフォーマンスを犠牲にすることなく、バッテリー駆動時間の最適化が必要とアピールする。
先代モデルのPhone (1)では、「クリーンで安定したものをリリース」としたが、今回のPhone (2)では、はじめて「Nothing自身のアイデアをOSに取り入れることができた」としている。