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NTT ComからIoT向け冗長化SIM、1枚で自律的な接続切替を実現

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、1枚のSIMで複数の通信キャリアを利用でき、障害の発生時などに自律的に接続先を切り替えられる「Active Multi-access SIM」の開発に成功した。

 データ通信用のSIMとしてIoTへの利用を想定し、6月にトライアル提供が始まる予定。

 「Active Multi-access SIM」は、1枚でNTT Comおよび仏Transatelの2つの通信キャリアを利用できる。前者ではNTTドコモの回線、後者ではローミングによってKDDIの回線に接続する。

 また、通信状態の監視や切替に関する機能がSIMに内包されている。そのため、新たに専用の端末を購入する必要などがなくなり、通信の冗長化を手軽に実現できる。

 「Active Multi-access SIM」のアプレットは、インターネット上のホストに対して定期的に通信の確認を実施する。一定の条件下で、メインの通信キャリアの通信障害を検知すると、予備の通信キャリアに自動で切り替える。一定時間が経過したあとはメインの通信キャリアへの切替を自動で実施するため、利用者が手動で切り替える必要はない。

 NTT Comの独自技術として「アプレット領域分割技術」が活用され、通信に必要な情報を書き込む通信プロファイル領域と、アプリケーションなどの情報を書き込むアプレット領域を完全に分離して管理する。パートナー企業などは、通信以外の機能を独自に実装できる。

 「ETSI」「3GPP」で標準化されたしくみにより動作し、これらに準拠したモバイル端末(SIM Toolkitが動作するもの)であれば利用可能。NTT Comでは今後、利用者側で動作確認ができるしくみや、動作確認済の機種リストの公開などを検討する。

 IoT向けのトライアルは6月に開始され、トライアル期間は9月まで。その後、2023年度内に「IoT Connect Mobile Type S」での商用サービス提供を予定している。