ニュース

ドコモとNEC、AWSを活用した5GCの冗長設計に成功

異なるCPUアーキテクチャでのUPF動作も確認

 NTTドコモとNECは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上の5Gコアネットワーク(5GC)と、ドコモの仮想化基盤上の5GCを接続した、キャリアグレードの基本冗長設計に成功した。キャリアグレードは、大規模な通信事業者向けの高い信頼性や品質水準を意味する。

 5GCを自社仮想化基盤とAWSのパブリッククラウドの双方に柔軟に配備して故障時に切り替え可能となるため、ネットワーク安定性の向上が期待できるという。両社は今回の設計を活用し、より可用性の高い柔軟なネットワーク実現に貢献すべく、さらに検討を進める。

設計イメージ

 今回の実証の一環で、NECが開発したソフトウェアベースのエッジコンピューティング用途の5Gのユーザー通信を扱う装置(User Plane Function、以下UPF)の基本的な機能を、高性能かつ低消費電力なプロセッサ「AWS Graviton3」を活用した環境での動作にも成功した。同プロセッサのスループット性能の検証では、現行アーキテクチャのCPUで動作するUPFと比較して1CPUあたりのスループットが2割向上した。

 実証実験は、AWS上のGraviton3プロセッサで、NECのUPFソフトウェアを動作させ、商用を模したユーザーパケットを処理することでスループット性能を測定した。

 具体的には、AWS Graviton3プロセッサベースのEC2インスタンスと、第6世代x86ベースのEC2インスタンス上に実験用のUPFをそれぞれ用意し、5GCに商用運用の平均と同サイズのユーザーパケットをUPFに対して徐々に増やしながら送信し、スループット性能の上限を測定した。

 これらの設計および、「AWS Graviton3」を活用した5GCおよびエッジ向けUPFの動作確認に成功したのは世界で初めてという。

「Graviton3」を活用したエッジ向けUPFの実証イメージ

 将来的には、IoT用途の顧客に対してGravitonを活用した5GCおよびエッジ向けUPFを合わせて提供することで、環境負荷が小さいネットワークの提供が提供や、サービス提供までのリードタイム短縮が期待できる。

 今回の設計をもとに構築したでも環境は、2月27日よりスペイン バルセロナで開催されるMobile World Congress 2023(MWC2023)のAWSブース内で紹介される。