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ソフトバンクGの23年第3四半期決算は7580億円の赤字、財務健全/Armの将来性をアピールも守りの姿勢は継続へ

Arm上場が「さまざまな可能性を検討中」

ソフトバンクグループ 取締役専務執行役員 CFOの後藤 芳光氏

 ソフトバンクグループは、2023年3月期の第3四半期決算を発表した。売上高は4兆8757億7300万円(前年同期比+6.4%)、四半期利益は-7582億4000万円の赤字決算となった。

 「SoftBank Vision Fund」(SVF)の低調が響いた形。ソフトバンクグループ 取締役専務執行役員 CFOの後藤 芳光氏は決算会見で「投資会社としての守りを固める重要性というのはこういうとき」とし、引き続き守りの姿勢を継続する姿勢を示した。

 会見冒頭、後藤氏は同社の「最重要指標」として、NAV(時価純資産)とLTV(保有株式価値に対する純負債の割合)、手元流動性(現金を含めたすぐに利用できる資産)を取り上げた。

 NAVは13.9兆円(前四半期比-2.8兆円)、LTVは18.2%(同+3.2ポイント)、手元流動性は3.8兆円(同-0.5兆円)となった。後藤氏は為替の影響が出ているとしつつも、指標としては「非常に安定したレベル」(後藤氏)とした。

 今後の株式市場については、「本格的な回復が年後半以降」という見方もあることから、攻めの投資に慎重な見方を示した。

 SVFについても累計の投資損益で-66億4500万ドルとなったほか、投資額も抑えており、引き続き「守りを徹底する」とした。

 SVFの方針については「AI革命への革新は不変」と方針が変わっていない旨を強調したものの、現在の環境で攻めの投資は行わず、新規投資先を厳選するほか、既存投資先の価値向上に向けて取り組みを進めるという。

 一方で、Armなどの投資先については、価値向上に向けて引き続き注力するとし、決算会見でも19枚のスライドを使ってArmの成長が加速している旨をアピールした。半導体市場も拡大を見せていることから後藤氏は「将来のデバイスでも多くのチップを搭載し、Armのオポチュニティーは拡大する」見通しをコメントした。

 なお、Armの上場について、ArmのIRバイスプレジデントイアン・ソームトン(Ian Thornton)氏は「さまざまな可能性を検討中」とし、決まった事実はないというコメントにとどめた。

ArmのIRバイスプレジデント、イアン・ソームトン氏