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KDDIら4社、災害時に携帯電話の位置を推定するシステムを開発

 KDDI、KDDIエンジニアリング、KDDIスマートドローン、KDDI総合研究所は、ヘリコプターやドローンから、携帯電話の電波を捕捉できるシステムの試作機を開発した。本システムは、災害時や山岳救助時などにおいて、救助対象者の携帯電話の位置推定をすることを目的としている。

 ヘリコプターへの搭載を前提として開発され、ドローンへの搭載やハンドキャリーにも対応している。

 広角・中角・狭角の3種類のアンテナを使い分けることで、半径数キロメートルから数百メートルの範囲の位置推定が可能となっている。風などの影響にも配慮し、アンテナサイズは、最大で50×50×3cmのサイズを実現した。

 本システムを搭載するドローンは、災害現場での運用を見据え、防塵・防水や耐風性などの飛行性能や運用性を考慮して設計された。

 携帯電話事業者を問わず電波捕捉でき、事前のアプリインストールも不要となっている。

 1月26日には、鹿児島県薩摩川内市上甑島で本システムの実証を行い、地中などに埋まった環境下でもスマートフォンを検知し、位置推定ができることを確認した。

 背景として、近年大規模な自然災害が増加しており、人命救助においては早期の救出が重要となっていることが挙げられる。

 KDDIとKDDI総合研究所は2021年1月に、ヘリコプター基地局の実証において、通信の確保と携帯電話から発信される電波の補捉による在圏状況の確認や位置の推定に成功した。

 しかし、ヘリコプター基地局は、携帯電話の通信エリアを臨時に構築することを目的としていたため、広範囲に電波を放射していた。そのため、エリア内で被災者の携帯電話を検知しても、位置推定に時間がかかることが課題となっていた。

 そこで4社は、アンテナを使い分けることで、携帯電話の位置をより高精度に推定する今回のシステムを開発したという。