ニュース

ドコモとスカパーJSAT、上空約14kmから地上への38GHz帯の電波伝搬測定に成功

 NTTドコモとスカパーJSATは、成層圏下層(上空約14km)から地上にある受信機に向けた38GHz帯の電波伝搬実験を2022年10月12日に実施し、電波伝搬測定に成功したことを発表した。

 両社は、上空約20kmの成層圏に通信装置を搭載した高高度プラットフォーム(HAPS)を飛行させ、空や海などを含めたさまざまな場所へ通信サービスを提供することを検討している。今回の実験で、成層圏から地上にある固定局への38GHz帯の電波を利用した通信サービスの実現可能性が実証された。

 この結果を受けて、将来的にHAPSを用いた高速、大容量で遅延の少ない非地上ネットワークの実現が期待されるとしている。

実験概要

実験で飛行した有人航空機

 本実験は固定局への通信サービスを想定したもので、送信機を搭載した有人航空機が成層圏下層で飛行した。この送信機が38GHz帯の電波を送信し、地上の受信機で電波の伝搬特性を測定した。

 測定の結果として、厚い雲を電波が通過しても38GHz帯の電波への影響が小さいことや、小雨の場合に机上計算値と同程度の電波減衰が確認されたことなどが分かったとしている。

 通信エリアを拡大するカバレッジ拡張は、災害対策などさまざまなケースにおける活用が期待されている。NTTドコモは、本実験の結果を活用し、カバレッジ拡張に有効なHAPSを用いたネットワークの早期実現を目指すという。