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ローカル5Gなど活用の遠隔ロボット操作の実証実験を実施、NTT東など

 NTT東日本、NTT、オリィ研究所は、分身ロボット「OriHime-D」において、NTT東日本が提供するローカル5Gと、NTTが開発した通信品質制御技術を組み合わせることで、遠隔地の操作者がタイムラグを感じない遠隔ロボット操作の実証実験を実施した。

 「OriHime-D」は、オリィ研究所が運営する「分身ロボットカフェDAWN ver.β」常設実験店で活用されている。

 実証では、ローカル5Gと通信品質制御技術を用いて、遠隔地からロボットのスムーズな操作の実現を試みた。これにより、分身ロボットの適用領域の拡大および低遅延アプリケーションによるナチュラルなコミュニケーションや外出困難な人々の雇用と活躍の場の拡大、場所にとらわれない働き方の促進が期待される。

ローカル5Gと品質制御でスムーズな操作

 実証実験では、ローカル5Gをカフェ内に構築し、分身ロボットのような高いリアルタイム性が求められるユースケースに対して、ローカル5Gの有効性を実証した。

 NTT武蔵野研究開発センター、NTT中央研修センター、分身ロボットカフェDAWN ver.βを全長100kmの光ファイバーで接続。カフェ内のローカル5Gを経由し、障害のある操作者が、武蔵野研究開発センター内からカフェのサービススタッフ業務を行った際の、ロボット操作感やアプリケーション間でのネットワーク性能を評価した。

 ローカル5Gを活用することで、無線通信接続が切断される事象や、映像品質の劣化による遠隔操作のしづらさは解消され、分身ロボットの操作性向上効果が確認できたという。

 また、数十ミリ秒以上の遅延量増加が発生する大容量のダミートラフィックをローカル5Gへ付加した条件においても、通信品質制御技術を分身ロボットに関わる通信(映像、音声、ロボット制御信号)に適用することで、ダミートラフィックの影響を受けることなく低遅延性能を維持できることを確認した。

 NTTクラルティの協力のもと、ロボットを操作した操作者にもインタビューを行ったところ、ローカル5Gと通信品質制御技術を組み合わせた遠隔ロボット操作では、従来のネットワーク環境で感じていたストレスが低減でき、ロボット操作や接客もスムーズに行えた、といった意見が得られたという。

Wi-Fiでの課題を解決

 NTTは、オリィ研究所が運営する、障がいや病気で外出が困難な人が分身ロボットを操作して接客を行う「分身ロボットカフェDAWN ver.β」常設実験店に協賛し、共同実証実験を行っている。

 人間が操作する分身ロボットでは、音声や映像によるコミュニケーションから精密な動作まで、場所や状況に応じて臨機応変かつ自由に活動できることが期待されている。

 現在、分身ロボットはカフェ内に整備されたWi-Fiによって無線接続されているが、無線通信品質の低下が発生しやすく、タイムラグや通信断による操作の中断により、操作者のストレス増大や操作精度の低下、カフェでのサービスに支障が生じる問題があった。

 この課題を解決するため、外部電波などの影響を受けにくく高品質な無線アクセス環境であるローカル5Gをカフェ内に構築し、通信品質を制御する技術を組み合わせ、遠隔ロボット操作に関する実証実験が実施された。

ローカル5G・通信品質制御技術とは

 ローカル5Gは、地域の企業・自治体などが自社敷地内に構築・保有できる。外部の電波との干渉による通信品質の低下が起きにくく、高速大容量・低遅延通信の利用や、特定の端末通信を優先制御するなどのカスタマイズが可能となる。

 無線アクセスには、それぞれの無線通信規格に応じた無線通信品質制御技術が採用されている。各無線通信規格において、無線通信品質制御による高品質無線通信サービスを利用するには、無線通信規格に応じた設定を行う必要がある。

 一方で、さまざまなアプリケーションの登場によって通信品質に対する要求が多様化し、アプリケーションごとに適した通信品質を保証することが課題となっている。

 この課題を解決するため、NTTは、アプリケーション同士でやり取りされる通信パケットの通信優先度を集中制御する通信品質制御技術を実現した。本技術は、通信パケット量推定機能および通信パケットの送信タイミング制御機能から構成される。

 通信パケット量推定機能とは、無線ネットワークに通信パケットが入力されるポイントにおいて、ネットワーク中に流れる通信パケット量を予測するもの。送信タイミング制御機能は、アプリケーションごとの通信パケットの優先度に応じて、要求される遅延量となるように通信パケットの送信タイミングを制御する。

 2つの機能を組み合わせることで、通信レイヤー2(データリンク層)および通信レイヤー3(ネットワーク層)において、アプリケーション間の通信品質制御を実現するという。加えて、これらの機能は、各種デバイスや無線アクセスポイントに実装でき、利用する無線ネットワークの通信規格や無線通信装置に依存せずに通信品質制御を行える。