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クアルコム、「CES 2023」で車載用プラットフォームの最新ソリューションを発表――最新コネクテッドカーをSoCで支援

 米クアルコム(Qualcomm)は、米国ラスベガスで開催中の「CES 2023」で、自動車関連の最新プラットフォームやSoCに関するソリューションを発表した。

 また、米国グローバルサプライヤー(自動車メーカーに部品などを提供する企業)のVisteon(ビズテオン)と協業し、次世代デジタルコックピット開発を加速させることも発表された。

次世代「Snapdragon Ride」2025年以降の生産車に搭載へ

 安全かつバージョンアップできる先進運転支援システムなどを実現するSnapdragon Ride」について、クアルコムは「第一世代は世界中の商用車に採用されている」とグローバルで採用されていることを強調。

 4nmSoCを採用した次世代の「Snapdragon Ride」は、安全かつ電力効率や熱効率が優れた先進運転支援システムを実現できる。車両のカメラやレーダー、ライダー、超音波センサーなどに対応しており、駐車場やドライバーのモニタリングシステムなど、自動車メーカーは個別のソフトを導入することもでき、ソリューションの差別化を図ることができるとしている。

 次世代の「Snapdragon Ride」プラットフォームは、2025年にグローバルで生産を目指す主要ティア1サプライヤーにサンプリング出荷されている。

「Snapdragon Ride Flex」を発表、デジタルコックピットと先進運転支援システムを同時に実現

 現地時間4日、クアルコムは「Snapdragon Ride Flex」SoCを発表した、デジタルコックピットと先進運転支援システムを1つのSoCで共存させられる。

 「Snapdragon Ride Flex」は、すでに自動車業界で実績のある「Snapdragon Ride Visionスタック」を統合させておりフロントカメラのほか複数のカメラやレーダー、ライダー、地図を使用し、拡張性の高い安全な運転支援や自動運転を実現する。「Snapdragon Ride Visionスタック」は、NCAP(New Car Assessment Program)と欧州のGSR(General Safety Regulations)の要件を満たしており、より高いレベルの自律性を提供できるという。

 また、「Snapdragon Digital Chassis」の幅広いSoCラインアップと互換性を持っており、自動車メーカーは、エントリーレベルからプレミアム、ハイエンドとあらゆる車種に最適な性能に最適化できる。たとえば、高い映像処理を必要とするグラフィックやゲーム用ディスプレイ、リアシートへのエンタテインメント体験、プレミアムなオーディオ体験などを提供できる。

 加えて、「Snapdragon Ride Flex」には次世代のソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV、ソフトウェア仕様の自動車)ソリューションを強化する車載向け中央演算プラットフォームとして設計されており、最高性能かつ異種混在型の演算を実現している。クラウドや機械学習なども統合できる仮想プラットフォームシミュレーションにも対応する。

 「Snapdragon Ride Flex」SoCは、2024年からの生産開始を目指し、現在サンプリング出荷されている。

クアルコムとVisteon「次世代コックピット」開発加速への取り組みを発表

 クアルコムとVisteonは、協業関係をさらに加速させ、世界の自動車メーカーが次世代デジタルコックピットを構築できる「高性能コックピット・ドメイン・コントローラ」の開発を目指すことを発表した。

 Visteonの「SmartCoreコックピット・ドメイン・コントローラ・ソフトウェア」は、デジタル機器やAndroidベースの車載情報システムなど自動車の運転システムの主要部分と、カーナビやラジオ、マルチメディア再生、音声アシスタント機能などクラウド対応アプリを統合するプラットフォーム。

 無線でソフトウェアアップデートでき、世界中のドライバーに地域別にカスタマイズされた体験を提供できる。また、車載カメラの画像を分析し、スマートフォンアプリからサラウンドやドライバーモニタリング、リモート監視できるという。

 今回の取り組みでは、「SmartCoreソフトウェア」と「Snapdragonコックピット・プラットフォーム」を組み合わせ、2025年生産目標のプロジェクトで次世代コックピットの高度な機能を迅速に実現できるようになるとしている。