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海中通信にも使えるパナソニックの通信技術、IEEEの次世代規格のベースラインに

 パナソニック ホールディングスは、同社が開発した技術がIEEE標準規格協会の次世代通信規格のベースライン仕様に採択されたと発表した。

 IEEEが策定する次世代通信規格「IEEE P1901c」は2022年5月に設置された新しいプロジェクトで、制約の多い環境で動作する高度な電力線通信技術をほかの通信媒体にも展開し利用するため審議を行っている。

 同社の独自変調方式「Wavelet OFDM」は、初版のIEEE 1901-2010規格にて国際標準として採用されているほか、最新版規格では、利用通信帯域を2段階で拡大(標準モードの2倍・4倍)して、最大1Gbpsまで通信速度を高める機能や、利用通信帯域を標準モードから2段階で縮小(標準モードの1/2倍・1/4倍)させることで、狭い帯域にエネルギーを集中させ、最大約2倍の通信距離を実現する機能などを実現している。

 今回採択された次世代通信規格では、利用通信帯域を1/32倍まで縮小することで、利用周波数を従来のメガヘルツ帯からキロヘルツ帯まで拡張し、更なる通信の長距離化を図れる。

 また、アンテナを利用し、微弱電波による無線通信に適用することで、セキュアかつ通信範囲を制限できる近距離高速無線が実現できるという。

 今回の規格は、有線や無線のほか、海中などさまざまな媒体で利用できるといい、海中IoT通信の実現や、IoT機器の導入コスト軽減に貢献できるとしている。

 なお、海中・水中IoTへの適用については、情報通信研究機構(NICT)のBeyond 5G研究開発促進事業「研究開発課題名 海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発」に採択されており、技術開発とともに実証実験が進められている。