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ドコモがWeb3に最大6000億円投資、井伊社長「儲からないとクビになる」
2022年11月8日 18:45
NTTドコモは8日、アクセンチュアとともにWeb3に向けた取り組みを進めると発表した。同日午後に実施された決算説明会で、その狙いを井伊基之社長が語った。質疑応答では、巨額の投資を踏まえた問いに井伊社長は「儲からなければクビになる」と覚悟のほどを示した。
ドコモでは、今後5~6年かけて、Web3事業に5000億円~6000億円を投資する。単純に計算すれば、毎年度、1000億円程度を投じることになる。そのなかで、ブロックチェーン・ウォレット、暗号資産交換、トークン発行といった機能を開発、基盤として提供していく考えだ。
井伊社長は、ドコモの新たな取組となる今回の発表について、「ブロックチェーンには多くの可能性が秘められている。今、まだ想像もつかないようなWeb3のサービスが今後生まれるだろうと予想している」とコメント。
ドコモとして、「ブロックチェーン・ウォレット」「暗号資産交換」「トークン発行」などをWeb3のための共通機能として提供するとのことだが、専門的かつ高度な内容であり、ドコモだけでは難しいとして、10月31日にはAstar社と協力していく方針を発表済み。そこにアクセンチュアとの協業を組み合わせ、「Web3ならではのDAO(分散型自立組織)のアプローチを進めたい」とした。
質疑応答
――Web3のプラットフォーム、イネイブラーになるとのことだが、どういったユーザーやサービスを想定しているのか。新会社は共同出資になるのか。
井伊氏
国内でも、いくつかNFTを使ったサービスが登場しています。メタバースもそのひとつでしょう。そうしたアプリケーションがWeb3の上にたくさんあり、提供者もたくさんいらっしゃる。個人向けもあれば、法人向けもあります。
ドコモ自身がそうした事業者にならないわけではないのですが、そこ(Web3に分類される他社のサービス)に対して、共通的な機能を提供をする側の立場がやっぱり大事じゃないかと。
そこで、イネイブラー側、基盤側のサービスを提供できないかと考えています。新会社も単独ではなく何社からか、出資を募って作っていくのが順当だと思います。
――Web3とされるサービスを始めたい事業者さんに向けた基盤を提供するということですね。
井伊氏
たとえばウォレットは、端末にインストールしなきゃいけないアプリです。(ウォレットに入れる)暗号資産、トークンをどう取引するかという交換所も必要です。
金融機関に近いかもしれませんが、トークン自体、発行額を決めて、流通させて、手数料を頂戴するという三位一体です。個々のサービスはすでにばらばらで存在していますが、利用する際には各サービスに対応しなければ使えないという障壁もあります。
ちょっと大胆な提案ですが、おそらく、エンドユーザーが望んでいるのは、手続きが簡単で安心して使えるという環境でしょう。その上にアプリケーションがたくさん花開いていくのでしょう。
――どういった業界業種を想定しているのか。
井伊氏
いろんな方々と今後、一緒に連携するものです。いろんな機能、役割が必要で、海外を含めてすでに動いている方々と座組ができると思う。
志というか、ビジネスの考え方が同じでなければうまくいかないいでしょう。たとえばサービスのために投資が必要なときに、利益を先に、ということになると、おそらくマネジメントはうまくいきません。事業の方向性が合致する方々と議論したい。
――Web3は世界的にバズワードになっているが、本当に儲かるのかという懸念もある。そこで5000億~6000億という巨額の投資をする理由を教えてほしい。
井伊氏
儲かるようにするのがビジネスです。中期的に最大6年間で6000億円と、大きく指標を出しましたが、開始する際には、新会社を設立したり、買収したり、システムを開発したり、社員を雇用したりいするといった初期投資はどうしてもかかります。
金融業ですから、発行時にもお金が要ります。運転資金も出るでしょう。
ただ、たくさん(投資に)使うということは、それだけのリターンが期待できているとき。最初から小さく行くと、誰も一緒にやってくれる人は出てきません。
本気でWeb3に取り組んでいくことを示すための金額として示したとご理解ください。
儲かるようにやらないと私はクビになります。頑張ります。
――5000億~6000億円という投資の内訳を教えてください。
井伊氏
そこは非開示にしてくれと(社内から)言われておりまして、すべての使い道が決まっているわけではありませんけども、内訳がこうですとはならないのです。
特に人件費ですね。経費は比較的大きな金額ではないと思っていますが、サービスを開発していくコストが結構必要かと思っています。
加速度的にスピードを上げていくには、出資やM&A(買収)も必要でしょう。全てを我が物にしたいわけではなく、パートナーとしてやっていただけるのであれば、予定額以下で実現できる可能性もあります。
その過程で、具体的な毎年の投資額が決まっていくという風に思っています。今回は、これくらいの規模の事業に取り組むということを今回申し上げたことになります。