ニュース

月でネットを使える時代に、KDDI総研が月面モバイル通信に向け一歩

 KDDI総合研究所は、月面でのモバイル通信実現に向けた取り組みの一部をメディア向けに公開した。2028年ごろの実用化を目指す。

 各国で宇宙開発が進められるなか、宇宙空間での通信利用への期待が高まっている。KDDIでは、2030年ごろにも月面探査活動などが活発化。それにともない月面、月と地球間での通信需要が増加すると見ている。

 これに向け、宇宙空間での回線確保のための通信設計や通信エリア検討のための月面の電波伝搬などの検討が進められている。

 月は静止衛星のように常に同じ場所にあるわけではないため、人工衛星を経由した通信などが必要になる。当初は電波での通信が見込まれるが、地球と月との間で大容量のデータのやり取りが生まれてくると、光通信の利用も考えられるという。

 これにあわせて、月面でのエリア設計も検討。月面には金属成分が含まれた物質が存在していることなどから、地球と異なる可能性がある地面の反射係数を把握し通信エリアを設計する必要があるとしている。

 現状の課題として、地球と月との半径の違いからくるアンテナの高さの調整や空気がないため機器の冷却をどうするか、月の自転周期上、夜間の電力確保の難しさといったものがあるという。一方で実現すれば、月面で利用するIoT観測機器の利用や地球とのビデオ通話の利用などが期待される。