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テクノロジーで学校スポーツの課題を解決、ソフトバンクと筑波大学が連携

 ソフトバンクと筑波大学は、学校スポーツ改革に関する連携協定を締結した。その一環としてiOS・iPadOS向けスポーツコーチングアプリ「AIスマートコーチ」の提供を開始した。基本料金は無料。

 AIスマートコーチは、ソフトバンクと筑波大学が連携して部活動などの学校スポーツやアマチュアアスリートに向けて開発したサービス。現時点で対応する種目は、野球、サッカー、バスケットボールとダンスとなっている。

AIの力をスポーツに活かす

 「お手本動画」では、筑波大学の学生やDリーグダンサーなどが出演。現在対応する4競技で各10本程度の動画が用意されており、今後もバリエーションを増やしていく予定という。

 動きを確認するだけではなく、2つの動画を比較することも可能で、AIを活用した骨格解析にも対応。お手本の動画と自分の動画から骨格解析を活用して、理想的なフォームと自分のフォームの違いを視覚的に感じ取ることができる。

 お手本だけでなく、過去の自分と現在を比較もでき、自分の成長も確認できる。他人と実力を比較して思うように伸びずに競技を離れてしまうケースがあり、この機能は初心者の競技離脱を防ぐ一助として役立てられる。

 このほか、動画内に文字などを自由に書き込める「マーカー機能」も搭載。右利き・左利きを考慮した映像反転や気になる瞬間をじっくり見られる再生速度の調整にも対応する。

 基本的な機能の利用については無料だが、今後予定される撮影した動画を保存するクラウドサービスでは有料となる見込み。

 ソフトバンクでは、遠隔で登録しているコーチから指導を受けられる「スマートコーチ」も2015年から提供している。今回発表のAIスマートコーチは、AIなどテクノロジーをベースとしたコーチングである一方、スマートコーチは同サービスに登録する実際の人間から遠隔で指導を受けるものという違いがある。

 同社では今後、両サービスを統合することを目指しており、その際にはスマートコーチのサービスでもより利用しやすい新たな料金メニューを追加することも考えられる。

スポーツのDX化で地域活性化も

 ソフトバンク 代表取締役副社長執行役員兼COOの榛葉淳氏は、これまで同社がBリーグなどでテクノロジーを活用した新たなスポーツ観戦体験の提供に努めてきたことを紹介。

 プロスポーツでのデジタル導入が進む一方で、新たに課題として持ち上がっているのが学校スポーツだという。一般に中学校などでは、競技経験のない教員が指導にあたらねばならない状況や少子化による活動困難など、地域によってさまざまな困難を抱えるケースが多い。

 榛葉氏は、同社のICTテクノロジーとスポーツ科学の最前線を走る筑波大学の知見を活かして、学校スポーツのプレイヤー、指導員、地域への貢献につなげると今回の協定の意義を語る。AIスマートコーチはその取り組みの一環となる。

 ソフトバンク コンシューマ事業統括 サービス企画本部 本部長の原田賢悟氏は対応競技を増やし「すべてのスポーツのプラットフォームとして進化させたい」として最終的にはAIからコーチングを受けられる仕組みを目指していると説明。このほか、現状では個人利用となっているものの、チームとして活用できるよう開発していくという。

 2022年夏までには、競技人口の多いスポーツを中心に15種目までに対応を拡大、クラウドサービスも開始する予定となっている。

 筑波大学 アスレチックデパートメント 副アスレチックディレクターの山田晋三氏は「それ(アプリ)だけでは社会課題は確認できない。これから何ができるかも含めてソフトバンクと一緒にスポーツを通じて解決していきたい」と今後の展開に熱意を示す。ソフトバンク 原田氏も「我々だけではできないこと。自治体も巻き込んで学校スポーツから地域を発展させていきたい」とコメントした。

 両者は今後、サービスのアップデートなど含めてそれぞれの資産を活用して学校スポーツ改革に向けて取り組みを進めていく。