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DeNA南場氏が、ベイスターズの新入団選手に贈った言葉とは

 スマートフォンアプリなどを手がけるディー・エヌ・エー(DeNA)は21日、同社の本社オフィスにおいて、横浜DeNAベイスターズの2022年度新入団選手9名によるオフィス訪問を実施した。

 オフィス訪問に参加したのは、小園健太選手、徳山壮磨選手、粟飯原龍之介選手、三浦銀二選手、深沢鳳介選手、梶原昂希選手、村川凪選手、東出直也選手、大橋武尊選手の計9名。

画像および資料提供:DeNA(以下すべて同じ)

 同日にはDeNA創業者の南場智子代表取締役会長(横浜DeNAベイスターズ オーナー)が、研修として講義を実施。本記事では、メディア向けに公開されたその講義の内容をお届けする。

南場氏(写真中央)

 新入団選手たちに対し、講義の冒頭で「本当に入団おめでとう」と祝福の言葉を贈った南場氏は、DeNAの事業ポートフォリオを紹介した。

 DeNAが手がける事業領域は、スマートフォン向けゲームやライブストリーミングに加え、モビリティ分野やヘルスケア分野など、多岐にわたっている。

 南場氏はこれらの事業を分野ごとに分けた図を紹介し、「縦軸はリアルからバーチャル、横軸はエンタメから社会課題解決まで、すべての象限でさまざまなサービスを展開している」と語った。

 そのなかでも、南場氏が強調したのは「エンタメ型事業」と「社会課題解決型事業」のシナジー効果。たとえばヘルスケア分野の“歩く”サービスにおいて、利用者にいかに楽しく歩いてもらうかという点で、ゲーム分野で培ったノウハウが活用できるという。

 さまざまな事業を展開するDeNAが重要視しているのは、同社の企業ミッションにも使われている「Delight(驚きを伴うような喜び)」だ。

 南場氏は「私たちがベイスターズという球団を取得したのも、野球が持つ力、人々の顔を明るくする力を信じたから」と語る。同氏はバスケットボールやサッカーへの参入も紹介しつつ、「スポーツの力は本当に大きい」とコメントした。

 続いて南場氏は、「プロフェッショナルキャリア」という言葉を紹介。新入団選手たちに対し、「プロになってプレーの対価として報酬をもらうことには、大きな責任も伴う」と語りかけた。

 そのうえで同氏は、「プロ野球選手としての皆さんは、これから“ステージ”に上がって注目される機会が多くなる。それは“消えない記録の始まり”で、これまで多少は大目に見られてきたようなことも注目されるようになり、一挙手一投足が記録に残っていく」と強調する。

 では、過酷なプロの世界で生き残っていくために必要なことは一体何なのか。

 南場氏が引き合いに出したのは、プロ野球界で大きな実績を残した平松政次氏と高田繁氏の言葉だ。

 南場氏が平松氏に「本当に大成する選手とそうでない選手の、一番大きな違いは」とたずねたところ、少し考えた平松氏は「ひとつ言うなら、思いの強さ」と答えたという。

 「そのときどきの確固たる目標があるかどうか、経営者として常に自分に言い聞かせている」と語った南場氏は、「それ(目標)に対する思いの強さが、人を高みへ押し上げる」と強調した。

 そのうえで、「強い思いを持って、誰にも負けない強いものを持っているのかどうか、自分に問い続けてほしいと思う」とエールを贈った。

 もうひとつ、南場氏が紹介したのは「工夫」。これは、偉大な野球選手になれるかどうかを左右する要素として、高田氏が挙げたものだ。

 高田氏は、「プロ野球選手としてスランプを経験したときなどに、どのように工夫をするのか、自分の意思でどう解決するのか、深く考えることが大きな違いになる」と語ったという。

 講義の最後に「ここからはベイスターズのオーナーとしてのお願い」と前置きした南場氏は、「ファンへの感謝は決して忘れないでほしい、そしてそれを態度で表してほしい」と語りかけた。

 「プロ野球という業界は、ファンによって成り立つ。もちろんスポンサーの支援も大きいが、スポンサーが球団を支援するのは、ファンの目があるから。マスマーケットにとって野球が大切な存在だから、球団を支援してくださっている」と語った南場氏は、「最も重要なのは、ファンです」とあらためて強調した。

 また、「全力プレーで感謝を形にしていってほしい」と語る南場氏の熱のこもった言葉に、新入団選手たちは熱心に耳を傾けていた。