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MVNOへ電話番号を割り当てへ、総務省

 総務省の情報通信審議会 電気通信事業政策部会は、「デジタル社会における多様なサービスの創出に向けた電気通信番号制度の在り方」に対するパブリックコメントの結果を踏まえた答申を公表した。

現行の制度を維持する理由乏しい

 同部会では、MVNO事業者に対する携帯電話番号の指定などについて検討されている。現行の制度では、携帯電話番号の指定を受けられる事業者はMNOのみに限られている。しかし、MVNO事業者からは、さまざまなサービスの実現のため自ら携帯電話番号の指定を受けたい要望が上がっていた。

 答申の中では、MVNOへの音声伝送携帯電話番号の指定の可否については、事業者からの要望があることやイギリスやフランスなどは可能となっていることを挙げ、MVNOにおいてMNOと同等のサービス提供が期待できる場合、MVNOが指定を受けられない現状維持にこだわる理由が乏しいと、前向きな姿勢が示された。

 さらに、MVNOへ音声伝送携帯電話番号を指定する条件については、「音声呼の制御に必要な設備(IMSまたはこれに相当する設備)の設置」「加入者情報の管理・認証に必要な設備(HLR/HSS又はこれに相当する設備)を設置するとともに、IMSI20の指定を受けること」「MNO が提供エリアとする全国での発着信が可能となるようホスト MNO との連携を行うこと」といった、基地局の免許に変わる条件を設けることが適当とされているほか、音声伝送役務を提供する設備にMNO同等の技術基準の適用などが挙げられた。

 一方、音声伝送携帯電話番号の指定の条件ではないが、緊急通報についてはMVNO自らが緊急通報受理機関と接続すべきという意見が出たものの、全国すべてで実施するにはハードルが高く参入障壁となるおそれがある。他国での状況や固定電話網のIP網への移行時に生じる対応なども踏まえて、緊急通報は一部のエリアにおいてホストMNOのネットワークを介したかたちも認めることが適当とされた。

携帯電話への060番号開放は現時点で必要なし

 060番号の携帯電話への開放についても合わせて答申の中で方向性が示された。

 MNO4社へのヒアリングの結果やMVNOが携帯電話番号の指定を受ける場合、サービスインから2~3年後に100万~1000万番号を見込む事業者があるとしつつ、同審議会では、2024年度までは音声伝送携帯電話番号の割当が逼迫する状況にはないという認識を示した。

 現在、060番号を音声伝送携帯電話番号とする制度改正は必要ないとしつつも、一方で需要の動向は注視していく必要があり、060番号の開放が適時適切に行えるよう、対応する必要があるとしている。

 このほか、MNOに対して利用者が少ないMVNOへの音声伝送携帯電話番号の指定には、番号資源の適切な管理の観点から、MNOの10万番号単位より少ない1万番号単位が適当とされている。

 また、データ伝送携帯電話番号(020番号)の指定の条件について、「携帯電話に係る基地局の免許等を受けていること」は少なくとも音声伝送携帯電話番号の指定を受けるMVNOへは適用せず、制度の見直しが適当とされた。

パブリックコメントでは

 MVNO事業者の一社である日本通信からは、MVNOが携帯電話の料金低廉化・サービス多様化に寄与したとしつつ「それらは主にデータ通信に関するものであり、音声サービスを含めた多種多様なサービスを実現し、電気通信業界を継続的かつ健全に発展させていくには、MVNOがMNOとの相互接続により音声通信役務を提供できるようになることが極めて重要」としている。

 さらに、MVNOが携帯電話番号の指定を受けることで「ローカル4G/5Gの更なる発展」「IMS基盤を活用した多様な付加価値サービスの具現化」「国際ローミング料金(データ通信・音声通話)の低減」といったメリットが生まれると主張した。

 また、テレコムサービス協会からは、MVNO事業者のビジネス拡大が望めるとした上で「MVNOが実質的に参入できないこととならないよう、MVNOの意見が多く反映されることを希望する。MVNOとMNOとの事業者間協議が円滑に進むよう、十分注視するとともにMVNOとMNO間の音声接続に関して、MVNOガイドラインの見直しなど、必要な規律の検討を要望する」とした。

 MNOの楽天モバイルからも「MVNOなどへの音声伝送携帯電話番号の指定にあたっては、原則、現行ルール通りの対応が適切だと考える。そのルールに則った上で、電気通信番号の使用に関する条件がMNOなどと同等に MVNOなどへ適用されるのであれば、指定については異論はない」といった賛成意見が挙げられた。