ニュース

シャオミがハイエンドスマホを投入する理由――日本市場で描く戦略とは

 シャオミは、Androidスマートフォン「Xiaomi 11T Pro」など新製品を発表した。

 報道陣向けに行われた発表会には、シャオミ 東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン氏が登壇。参加した報道陣からの質疑に応えるかたちで、同社の戦略などについて語った。

シャオミ スティーブン・ワン氏

日本初のフラッグシップを投入

 シャオミは2019年の12月に日本市場への参入を発表。当時すでに世界シェアでも上位を争う位置につけていたシャオミだったが、日本市場への参入はライバル他社に比べてスロースタートとなった。

 本誌連載「法林岳之の『週刊モバイルCATCH UP』」では、2019年末に日本市場へ参入した当時のシャオミについて「SIMフリーで展開していたシャオミにとって、キャリアからの販売がメインの日本市場では、戦いにくかった」と分析している。

 そんなシャオミが日本参入とともに発表した機種は「Mi Note 10」と「Mi Note 10 Pro」というミドルレンジの2機種。同社はこの後にも廉価モデルの「RedMi」シリーズなどを中心に、ミドルレンジの手にとりやすさを重視したラインアップを展開していた。

 しかし今回は、市場から期待する声も聞かれていた、日本市場では同社初となるフラッグシップモデル「Xiaomi 11T Pro」と「Xiaomi 11T」の2機種が発表された。

 両者のスペックの差異としては 11T Proはクアルコム製の「Snapdragon 888」、11TはMediaTek製の「Dimensity 1200-Ultra」とチップセットやメモリー・ストレージ容量などが挙げられる。

 カメラについては同じレンズ構成だが、チップセットなどの違いにより仕上がりに多少の違いがある場合があるという。また、11T Proのみ8Kビデオ撮影に対応する。

 加えて11T ProのみFeliCaに対応するが、これについてスティーブン氏は、今後のFeliCa対応について「どのデバイスがどのチップを使っているかなどによる。今後どうするかをすぐには言えないが、ローカライズは進めていきたい」と語った。

今ハイエンドを出すのはなぜ?

 政策により、通信と端末の分離やキャリアによる値引き規制などハイエンドモデルよりミドルレンジモデルが伸びている日本市場であえてこのタイミングでハイエンドモデルに参入するシャオミの狙いはどういうものなのだろうか?

 スティーブン氏は「長期的な戦略として、すべてのレンジ(性能・価格帯)で製品を提供する」というものが前提と説明。それぞれのユーザーのニーズが違うため、それらに合わせた製品を提供したいという意図だ。

 「需要に応える形で、ミドルレンジのモデルで日本市場へ参入した」と語る一方で「日本のユーザーの多くが、フラッグシップモデルを求めている」と、ユーザーの声に応えるかたちで11T/11T Proを投入したという。

 スティーブン氏は、ハイエンドモデルとして理由について「一般的な(他社製の)ハイエンドモデルとは異なる。シャオミの場合、フラッグシップのスペックを持ちながら低価格で手軽に購入できる」と差別化ポイントを語る。

 11T Proの場合、クアルコムの「Snapdragon 888」を搭載しながらも8GB+128GBモデルなら6万9800円と、たしかに一般的なハイエンドモデルと比較するとかなり割安であると言える。

 「適切な製品を、適切な戦略で構築するには時間がかかる。しかしこれからも日本向けに検討していく」と今後も日本向けにハイエンドとミドルレンジの両面での展開を継続する可能性を示唆した。

Xiami Pad 5も投入

 シャオミは、スマートフォンの発表と同時にタブレット「Xiaomi Pad 5」もあわせて発表した。

 Xiaomi Pad 5は、11インチのディスプレイを搭載するAndroidタブレット。120Hzのリフレッシュレート・HDR10に対応。チップセットにはクアルコムの「Snapdragon 860」を搭載しており、タブレット端末としてはハイエンドモデルといえる性能を持つ。

 しかし、日本においてはAndroidタブレットの市場は縮小する傾向にある。そんな中、高性能なタブレットを出す狙いはどこにあるのか。

 これに対し、スティーブン氏は新型コロナウイルスの感染拡大により、グローバルでも日本においてもタブレットの需要は増加傾向にあると説明。さらに「日本の消費者の間ではコンテンツの閲覧や生産性向上の観点からタブレットが好まれるのではないか」と語った。

 一方でタブレット製品は市場で高性能で高価格か、低性能で低価格化と二極化していると指摘。そうした状況の中「ハイエンドな製品ながらより買いやすい価格で提供したい。それによってユーザーに対する価値を生み出せる」と説明。「今回が初のタブレット市場への参入。フィードバックを集め、市場での実績を見ていきたい」とした。