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「5Gならソフトバンク」を目指す、パケ止まり防止・使い放題で魅力をアピール――榛葉副社長登壇の新サービス発表会

 ソフトバンクは14日、ソフトバンクブランドなどにおける新サービス発表会を開催した。

 発表の場にはソフトバンク 代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの榛葉淳氏が登壇した。榛葉氏は新型コロナウイルスの感染拡大に触れ、医療関係者やユーザーとの窓口であるショップスタッフなどに感謝を述べた上で主にソフトバンクブランドの今後の展開について発表した。

5G契約数は1千万超に

 榛葉氏は、ソフトバンクが3つのブランドで展開し、シンプルで分かりやすい料金プランを展開してきたと同社の料金戦略をアピール。

 ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOとマルチブランドでの展開を開始してから9カ月が経過した現在、全ブランドでのスマートフォンの累計契約数は2618万と前年比107%。順調な成長を見せていることが明かされた。

 この流れをけん引しているのはワイモバイルブランド。データくりこしやデータ増量オプションなどを追加しており、榛葉氏から初めて「ワイモバイル契約数は700万突破」と具体的な数字が紹介された。

 一方、LINEMOはMVNO時代の「LINEモバイル」の契約数含めて100万契約超だという。

 このほか、ユーザーの利便性向上の施策として、手数料撤廃やSIMロック撤廃、eSIM対応などの取り組みについても言及した。

 榛葉氏は「5G利活用の元年。多くの方がこれから5Gを利用する」と語る。同社では「New Lifestyle with 5G」として新たな5Gの世界で新たな価値をさまざまな価値を届けたいと。

 3ブランド合計での5G契約数は1000万超。さまざまなニーズに合わせた端末や5Gで楽しめるコンテンツ「5G LAB」、分かりやすい料金プランなどを提供した結果が出たのではと榛葉氏は分析する。

ソフトバンクのパケ止まり対策は

 ソフトバンク 常務執行役員 兼 CNOの関和智弘氏が同社の5Gネットワークについての取組を説明した。

 ソフトバンクでは、既存基地局の転用やKDDIとの協業「5G JAPAN」なども含めてエリア展開を進めており、9月14日段階での5G基地局はおよそ1万4000局。10月末にはこれを2万局超、人口カバー率では80%を目指していくとしている。

 関和氏によれば、具体的な数字は非公開ながらもこの展開には5G JAPANも一定の貢献があるという。

 5Gネットワークが徐々に広まりつつある中、それと同時に課題として取り上げられているのが「パケ止まり」だ。これはネットワークに接続されているにも関わらず、実際には通信ができなくなるというもの。

 ネット上でたびたび、パケ止まりと見られる現象に悩まされるユーザーの声が上がっており、本誌でも取り上げている。

 関和氏によれば、パケ止まりの原因のひとつは、その基地局がカバーするエリアの境界(セルエッジ)で通信することだという。この場合、遠くまで届きにくい高周波数な5Gでは、電波が弱くなりやすい場所において極端に通信速度が遅くなりユーザーからは、通信ができない、パケ止まりとして認識される。

 関和氏はネット上のパケ止まりを報告する声は、特定の通信事業者に限らないため5G黎明期の共通課題と説明。

 同社はこうした問題を解決すべく、基地局から端末への通信は5G、端末から基地局はLTE(4G)と組み合わせることでパケ止まりを抑制する策を取り入れている。周波数が高く届きにくい5Gに変わって、4Gを用いることでセルエッジでも安定した通信を実現できるという。

 ソフトバンクによる分析では、パケ止まりの要因となる上り速度における低速通信は、他社に比べ、割合が少ない。下り速度においては、100Mbps超の高速通信の割合が高いとして「パケ止まり対策の結果。下りでも快適、電波が多少悪くても上りも快適。5Gをつかめば快適にスマホを使える状況が示されている」と関和氏。

 同社の5GはLTEの3倍超。2022年春には人口カバー率90%を目指すという。「この広さで体感の良い5Gを提供する。モバイルブロードバンドやコンテンツを快適に使っていただける状況を達成する」とした。

Pixel 6 Proをキャリアとして独占販売、5G LABも強化

 ソフトバンクでは、5Gのインフラの上で提供されるコンテンツやプロダクトにもさらに磨きをかけていく。

 榛葉氏は5Gを使う際には「ギガを気にせずに使ってもらいたい」と無制限プランを提供する同社のプレミアムブランドとしての位置づけであるソフトバンクブランドでの今後の展開を紹介した。

 新しいプロダクトとしては、グーグル製のスマートフォン「Pixel 6/6 Pro」が今秋にもソフトバンクから発売される。両製品ともにグーグルの直販サイトからの購入も可能だが、キャリアの取り扱いとしてはPixel 6 Proはソフトバンク独占となる。

 榛葉氏は「これまで日本は、どちらかというと後回しにされてきたが、ソフトバンクはこうしたパートナーとタッグを組んで、日本でいち早く発表し、いち早く触れられるといったことにも取り組んでいきたい」と語った。

 また、以前より取組が発表されていたバルミューダ製スマートフォンについても11月以降に発売の見込みという。バルミューダによる外観デザイン含め、アプリも独自のカスタマイズがなされる模様だ。

グーグル オステロー氏
バルミューダ 寺尾氏

 榛葉氏は「大きく変わる5G時代、挑戦や革新が大事。これからもパートナーと一緒に5G時代に即したユーザーが喜んでいけるものをソフトバンクブランドから出していきたい」とした。

 これに加えて、ソフトバンクメリハリ無制限プラン加入者は半年間「YouTube Premium」が無料になるという特典が2021年度冬にも提供される。

SoftBank Airに5Gモデル追加

 さらに「SoftBank Air」では、5G対応の「SotBank Air 5G」を10月に発売する。同社のブロードバンド契約は累計820万件を達成した。

 現行モデルと比較しても下り通信速度がおよそ2倍程度と進化した。月額料金は4Gと変わらない。また、4Gモデルを新規契約すると2年間、基本料金が割引されるほか、5Gモデルに機種変更が無料となるキャンペーンもあわせて提供される。

 これに加えて、SoftBank Airとおうちでんわをセットで契約するとおうちでんわの基本料金分が割り引かれるキャンペーンも実施される。

 「5G LAB」ではコンテンツがさらに進化。スポーツのDX化として筑波大学との協力で経験のない競技の部活動顧問をする教師に向けて、指導の手本となる動画や骨格推定技術による分析を含めたフォーム指導、ゴルフではプロゴルファー星野陸也選手の協力による指導内容が提供される。

 このほか、バスケットボールのB.LEAGUE開幕に合わせて、顔認証で試合会場への移動や入場といった実用面での機能のほか、あらかじめ好きな選手を登録しておくとその選手からのメッセージを受け取れるといったコンテンツが提供される実証実験を行う。

SUPER FRIDAYがパワーアップして復活

 好評を博していた「SUPER FRIDAY」を進化させた「スーパーPayPayクーポン」という形で復活することが発表された。

 従来は金曜日に限定した形での利用だったが、今回はユーザーのライフスタイルに合わせていつでも利用でき、毎月連続で実施される。特典も複数の店舗で利用可能で、10月はガストや松屋など4ブランド、11月にも9ブランドで利用でき、1月以降も確定次第順次告知されるという。

 加えて、9月下旬~10月31日にはPayPayで支払うと全国のソフトバンクショップにおいてスマホアクセサリーが実質半額のキャンペーンも実施される。

「5Gならソフトバンク」を目指す

 榛葉氏は「やっぱり5Gならソフトバンクだと言ってもらえるように頑張っていく」とあらためて今後の展開への熱意を示す。

 「人口カバー率だけがすべてではない」としつつも、10月末の全国80%に向けて取り組んでいくことを語った。

 端末やサービスなども含めて「ソフトバンクの『New Lifestyle with 5G』。ぜひ、ソフトバンクのブランド、サービス、キャンペーンを利用いただきたい。まだまだ苦しいコロナ渦だが、我々も全力で取り組んでいく。ぜひ我々のサービスを選んでもらえれば。皆さまの声で常に進化しながら『5Gならソフトバンク』と言われるようにこれからも努力していく」と締めくくった。

質疑応答

――ソフトバンクブランドでは特徴的な端末を扱っていく予定なのか。“例年9月のビッグイベント”で登場する製品の扱いなどはどうなるのか

榛葉氏
 ビッグイベントについては、コメントが難しい。回答は控えさせてもらえれば。ブランドについては長期的に作っていくもの。ユーザーから見たときに特徴的なものはまずソフトバンクブランドで提供していく。

 5Gスマホが出てきたのもここ1~2年。今世に出ているものはソフトバンクブランドにマッチしたものが多い。これからもっと5Gが普及していったらワイモバイルブランドで、ということもあるかもしれない。

――セルエッジでは5Gの電波が届きにくいというが、4G転用周波数ではどうなのか?

関和氏
 上りの通信でパケ止まりが起きるというのはひとつの要因。転用周波数においてはまた別の要因でパケ止まりが起きるが、それについても最適に使えるように調整している。

――2万局のうち転用基地局や5G JAPANはどの程度の割合か

関和氏
 非公開とさせていただきたい

――povoなど、他社の料金に対しての対抗プランなどあるのか

榛葉氏
 前日のKDDIさんの発表は、オンライン専用のpovoということで興味深く拝見していた。いろいろな選択肢が増えるのは、競争の観点からも素晴らしいことで、我々も常に検討している。本日は、ソフトバンクブランドにフォーカスした。LINEMOでは3GBで900円のプランを発表し、ワイモバイルでも内容を改定した。来月には5Gカバー率80%を目指すという中、今一度(使い放題の)ソフトバンクブランドをもっと魅力的にしようということ。

 基本的には、5Gはどんどんデータ利用が増える。その中で、何か気にしなきゃいけない、(追加の容量を)買い足さなきゃいけない、Wi-Fiスポットを探さなくてはいけない、ということなく使ってもらいたい。もちろん、ワイモバイル・LINEMOを支持する意見もうかがいながら、必要ならいろいろと考えていく。

――バルミューダスマホについて、いつ発売するのか、特長はなにか

ソフトバンク 常務執行役員 菅野圭吾氏(以下、菅野氏)
 現在最終開発中で、発売時期は11月以降となる。確実な日程が決まれば再度発表する。特長は、バルミューダと共同で企画したハードウェアのデザイン。アプリにもバルミューダのデザインや感性を反映させたものになっていく。

――SIMフリーなら契約だけ他キャリアでもできるが、独占販売する意義はなにか

菅野氏
 こういった新しいもの、ワクワクするものを我々からいち早くお届けできるというのがメリット。パートナーさんと協力しながら販売していけるというのも意義のひとつだ。

榛葉氏
 バルミューダの寺尾氏は常識にとらわれない、革新的に挑戦していくとしており「第1弾」とコメントしていた。正式な決定はまだなにもないがバルミューダのような、革新的なベンダーと独占的な取組みができるのは、今後の展開を中長期的に深く相談できる。IoT・5G時代にもっと新しいものに挑戦できるのではないかと期待している。

――端末単体でも購入できる中、ソフトバンクが端末を扱う意義は。SIMロック原則禁止の流れの中でなぜ独占販売の端末を増やしているのか

榛葉氏
 SIMとセットで端末を購入するユーザーもまだ多数いる。独占的ということは排他的ということではなく、深く技術やモデルを交換しながら進められる。中長期的なメリットがある。その中で独占というのはベンダーと新しい試みを(他キャリアと)差別化しながらできるというのは大きい。

――では、今後も独占扱いの端末は増えていくのか?

榛葉氏
 一気に2倍も3倍も……とはいかないが、ひとつの考え方の軸としている。スマートフォンだけではなく、ベンダーとの深いパートナーシップにより、次の一手、IoTを含めた新たな開発を一緒にするということも踏まえて継続していきたい。

――5G JAPANの割合は非公表とのことだが、貢献しているということは間違いないのか

関和氏
 貢献はしていると考えている。これから日を追うごとに5G JAPANの貢献度は加速していく。10月末、来春に向けてエリアの品質アップにつながっていくと考える。

――eSIM対応端末はPixelとiPhoneのみだが、他メーカー製端末でも拡充していくのか

榛葉氏
 具体的な時期は控えさせていただきたいが、各ベンダーと協議しながら進めていく。そうした議論は常にしており、タイミングが合えば登場することもある。

――端末ベンダーの意見のほうが強いということか?

榛葉氏
 どちらが強いということはなく、双方の協議による。

――ソフトバンクブランドを魅力的にということだが、このタイミングの意味は? ARPUを急いであげる必要があるのか? ワイモバイル・LINEMOからソフトバンクにアップセル(上位サービスへ切り替え)してもらう策はあるか

榛葉氏
 我々はワイモバイル・LINEMOも5G対応しており、どちらも進化させている。(ユーザーの)一番の興味は「自分はいつから5Gを使えるのか?」ということ。5G利活用元年のこれからは、ギガをどの程度使っているかを意識せず、フリーで使っていただきたいと思っている。

 ユーザーが選択するときに「何GBでいくら、アンリミテッドでいくら」というだけでははなく、生活シーンのなかでもっとお得に便利に楽しく、ということをそろえていきたい。ソフトバンクブランドが最も支持されているが、そのユーザーに魅力的なものを提供したい。

――非ソフトバンク回線ユーザーもバルミューダスマホを買えると思うが、バンドの対応はどうなるのか?

菅野氏
 基本的には、我々が取り扱う端末はソフトバンクが対応する周波数については対応している。保証はしないが、他社のSIMを挿した場合でも日本で使う分には影響はないと思っている。

――5Gならではのコンテンツが出揃っていない感があるが?

榛葉氏
 今日もいくつか新たな試みは発表させてもらったが、今日で終わりということではない。常に最新のテクノロジーを活用しながら、LINEなどグループ企業とも相談し、もっと喜んでもらえるコンテンツも提供していければと思う。