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ソフトバンク、5G・XRによるインプラント手術支援の実証実験を開始

 ソフトバンクとDental Predictionは、Holoeyesが実施する実証実験「5GネットワークにおけるXR歯科手術支援の有効性の検証」に協力する。実験の期間は7月12日~9月までで、5GやXR技術などを用いて遠隔でインプラント手術を支援していく。

 実験は3つのステップに分かれており、実験初日の7月12日にステップ1の実験が実施された。今回は、その様子をレポートとしてお届けする。

実験の内容

 ステップ1の内容は、東京会場(ソフトバンク本社)と、大阪会場(5G X LAB OSAKA)を5Gでつなぎ、セミナー形式でインプラント手術に関する遠隔指導を実施するというものだ。

 東京会場の指導医は、Dental Predictionの代表取締役であり、歯科医でもある宇野澤元春氏が務めた。そして、大阪会場には複数の若手歯科医が集まった。

VRを活用するメリットとは

 遠隔指導にあたって、宇野澤氏と若手歯科医のグループは、それぞれVRデバイスを装着した。宇野澤氏は、VR空間上にある人間の頭蓋骨の3Dモデルを動かしながら、インプラント手術に対する注意点を伝えていく。

【VRを用いた遠隔指導の様子】

 宇野澤氏はVRを活用するメリットについて、「これまで手術のノウハウは平面的に示すことしかできなかったが、(VRの活用によって)3次元的にひとつのものを共有できる」と語る。

 同氏は自ら手を動かすだけでなく、大阪会場の歯科医たちに3Dモデルの操作権を渡し、血管や神経の位置などを確認するよう促していた。「これまでは不可能だった、頭蓋骨の内部までチェックできることもポイント。術前にこうした形で確認することで、手術の安全性向上につなげられる」(宇野澤氏)。

血管は赤い線で示されている
頭蓋骨の内部も確認できる

 なお、今回の実証実験で使われたVR空間上の3Dモデルは、頭蓋骨の透過性を高められるほか、血管や神経の表示・非表示を個別に切り替えることもできる。「頭蓋骨の内部を知りたい」「神経の位置を確かめたい」というように、さまざまなニーズに幅広く対応するしくみだ。

実験に用いられたVRデバイス

ARや3Dプリンティング技術の活用も

 VR空間での指導が終わった後、宇野澤氏は顎骨の3Dプリンティング模型を使い、解剖手順などを説明した。

 このとき、AR空間上にその模型と同じ3Dモデルが表示されており、そちらでは神経の位置などをチェックできる。本来は同時に確認できない情報も、ARの活用によって確かめられるようになる。

顎骨の3Dプリンティング模型を使って指導する様子
AR空間上でも顎骨の3Dモデルが表示される

ソフトバンクの担当者に話を聞く

 今回の実験に関して、ソフトバンク 法人5G推進室の日野行祐氏に話を聞いた。

 同氏は今回の実験のポイントに関して、「XRコンテンツのリアルタイム共有を技術的にどう実現するかという点で、Holoeyesさんのプラットフォームを使えたのはひとつ大きなポイントだった。もうひとつ難しかったのは、こうしたシステムを実際に使用する現場の医師の方を呼ぶこと。そこは、Dental Predictionさんに医師の方を呼んでいただくことで解決した。これにより、システムの使い勝手や課題を生の声として集められるので、ソリューション化の検討を進めやすくなる」とコメントした。

 先日本誌でお伝えした通り、ソフトバンクは、個人ユーザーを対象とした5G×ARの取り組みとして、スマートフォンで楽しめるARアートを東京ビエンナーレと共同開発している。

 日野氏は、「個人向けのコンテンツは、ユーザーの皆さんに楽しんでいただくエンターテインメント性や、利便性の向上といった部分に主眼を置いている。それに対して今回のような法人向けのものは、社会課題や企業課題の解決に焦点を当て、そのためのソリューションとして開発している。今回の実験は商用の5Gを活用しているが、今後は法人向けのプライベート5Gなどと組み合わせた運用なども検討したい」と語った。